なぜ？せっかくウォーキングしたのに股関節に痛みが…。長時間歩くのはダメだった？

「久しぶりにウォーキングしたら、股関節に痛みが…」
「歩いただけなのに…なぜ？」

ウォーキングで股関節が痛くなる原因を、お医者さんに聞いてみました。
ストレッチ・マッサージなど、痛みを緩和させる対処法も詳しく解説します。

監修者

フェリシティークリニック名古屋
医学博士

河合 隆志先生

経歴

’97慶應義塾大学理工学部卒業
’99同大学院修士課程修了
’06東京医科大学医学部卒業
’06三楽病院臨床研修医
’08三楽病院整形外科他勤務
’12東京医科歯科大学大学院博士課程修了
’13愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
’15米国ペインマネジメント＆アンチエイジングセンター他研修
’16フェリシティークリニック名古屋　開設

なぜ？「ウォーキングを頑張ったら股関節が痛くなった…」

健康のためにウォーキングを始めました。すると股関節が痛くなってしまって…。なぜでしょうか？

原因として、

1. 筋肉の柔軟性が減少している
2. 股関節の動きが制限されている
3. 股関節が変形している

などが疑われます。

それぞれの原因の詳細や、なりやすい人の特徴なども解説していきます。
「久しぶりに運動した」「太っている」などの人は、要注意です。

原因①　筋肉の柔軟性が落ちている

• 日常的に運動をしていない
• 長時間のデスクワークをする
• 太っている

などの人は、筋肉の柔軟性が落ちやすいです。

この場合、無理な関節の動かし方によって、股関節の痛みが出ていると考えられます。
この場合、筋肉の柔軟性があがれば、改善する可能性はあります。

症状チェック

原因②　股関節の動きが制限されている

• パソコン・スマホを長時間見る
• 腹筋の筋力が少ない
• 反り腰

などの人は、筋肉のコリ・緊張によって股関節の動きが制限されやすいです。

股関節を動かしにくいと、久しぶりのウォーキングで痛みが出ることがあります。
股関節の可動域が広くなれば改善する可能性はあります。

症状チェック

原因③　股関節が変形・すり減っている

• 先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全を指摘されたことがある
• 骨折などの外傷歴がある
• 太っている
• 力仕事をすることが多い

などの人は、関節の変形・すり減りが起こりやすいと考えられます。

この場合、骨同士が接触することで股関節の痛みが起こります。

股関節の変形・すり減りに対しては、病院での治療が必要です。整形外科を受診しましょう。

症状チェック

「股関節の片側だけ痛い」ときは、姿勢が傾いているかも！

片側だけの股関節の痛みは、重心のバランスが崩れることで発症しやすいです。
特に「片側の足で重心を支える癖」がある人に多い症状といえます。

また、生まれつき脚の骨を受け止めるくぼみが元々浅い「臼蓋形成不全」や、「妊娠の影響」などが原因で片側だけが痛くなることもあります。

痛くなったときの一時的な対処法～ストレッチ・マッサージなど～

おすすめの「痛みの緩和が期待できる」

• 対処法
• ストレッチ
• マッサージ

を解説していきます。

対処法を少し試して「痛いと感じる」場合は、負担がかかる姿勢や運動は避けて、安静を保ちましょう。

※あくまでも一時的な対処法です。
※ご自身での対処で症状を悪化させてしまうケースあるため、早めの受診をおすすめします。

おすすめの対処法

対処法としては、

• 湿布で適度に「冷やす」
• 入浴や蒸しタオルで「温める」

などがおすすめです。

痛みが強い時は、痛むところを冷やすことが効果的です。

慢性的な痛みは温めましょう。

「冷やす」ことは、炎症を抑える効果が期待できます。
「温める」ことは、血流がよくなり、緊張やコリが緩和されて症状が和らぐことが期待できます。

おすすめのストレッチ

上記の手順を、ゆったり呼吸をしながら、1セット10秒、両脚とも行ってみましょう。

※痛みを感じる方はお控えください。

おすすめのマッサージ

（※）腸骨筋…骨盤の骨の出っ張り(腸骨)から指3本分内側にある筋肉

特に回数や時間のきまりはありません。
慣れれば座った姿勢でも出来るため、スキマ時間にお試しください。

痛み予防のために「正しい歩き方」をマスターしよう

正しい歩き方をマスターするには、

1. 姿勢
2. 足・腕の動かし方
3. 歩くペース・歩幅

がポイントになります。

痛みの予防、症状の悪化防止のためにも、正しい歩き方を意識してみましょう。

ポイント①　姿勢

• 背筋を伸ばして肩は丸めない
• 軽く顎を引く
• 目線はやや上向きにする

ことを意識しましょう。

ポイント②　足・腕の動かし方

• 足の動き：かかとから足の親指の付け根（母趾球）に抜けるように蹴り出す
• 腕の動き：ひじは軽く90度の位置へ、自然に前後に振る

ポイント③　歩くペース・歩幅

ペースはゆっくり、歩幅は軽く広めを意識します。

ウォーキング前に、この3つをチェックしよう！

1. 足にあった靴を選ぼう
2. 運動量は徐々に増やそう
3. 呼吸を意識しよう

以上3点を確認してから、ウォーキングを始めましょう。

①　足にあった靴を選ぼう

ひもタイプのウォーキング靴がおすすめです。
紐でゆるさが調整できるため、靴内で足が動くスペースを無くして、足への負担の低減につながります。

②　運動量は徐々に増やそう

家の周りや近所を散歩する程度から始めましょう。
ケガのリスクを低減しながら運動量アップにつなげられます。

「張り切って30分！」など長時間のウォーキングは控えましょう。

③　呼吸を意識しよう

上記の呼吸で歩くことで、体幹が安定してエネルギー消費量も40%上がるとされています。

ただし、こんな症状があるときは病院へ

• お尻や太ももの強張り、しびれが続く
• 歩き始めや階段昇降時に痛みを感じる
• 足が一歩出しづらくなった

などの症状がある場合は、できるだけ早く病院で受診しましょう。

これらの症状が出るときは「変形性股関節症」になっている恐れがあります。

「変形性股関節症」って？

「股関節の受け皿の部分」と「隣接する太ももの骨」が変形して、痛みや動かしづらさなどが生じる病気です。
股関節のクッションの役目を果たす「軟骨」がすり減ることで発症します。

主な原因としては、

• 加齢による軟骨のすり減り
• 太りすぎ
• 生まれつき太ももの骨と骨盤の受け皿が噛み合っていない（先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全）

などがあげられます。

加齢による症状の場合、手術が必要になることもあります。

病院は何科？

ウォーキングで股関節に痛みが生じる場合は、整形外科で受診しましょう。

整形外科を探す

病院では、どんな検査・治療をするの？

病院では、まず「レントゲン撮影」で検査を行います。
精密検査として「MRI、CT撮影」なども行うケースもあります。

治療法は、

1. 軽度の場合…ストレッチ・薬の服用など
2. 重度の場合…手術

などの方法があげられます。

軽度の治療法

軽度の場合は、

• 生活指導（床に座らないなど）
• 杖の使用
• ストレッチ
• 痛み止めの服用

などの保存療法が行われるケースが多いです。

日常生活での股関節の負担を抑えたり、痛みの緩和を期待します。

重度の治療法

重度の場合は、

• 関節の適合性を改善する「骨切り術」
• 人工関節に置き換える手術

などが検討されることもあります。

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