「急に汗をかくようになったのは、なぜ?」
“女性に起こる発汗”について、お医者さんが解説します。
更年期障害や甲状腺の病気など、心当たりのある原因がないか確認しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
最近、急に汗をかくようになった…これって大丈夫?
急にたくさん汗をかくようになった気がします。
もしかして病気でしょうか?
今まではさほど汗をかくタイプではなかった人が、突然大量に汗をかくようになった場合には要注意です。
自律神経や甲状腺に病気が潜んでいる可能性も考えられます。
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急に暑くなったり寒くなったりする…。
自律神経との関係は?
女性が「体温調節できない」場合に考えられる原因を、お医者さんに聞きました。
甲状腺の病気の可能性もあるので、要注意の症状をチェックしましょう。
女性の「体温調節ができない」状態は大丈夫?
体温調節ができず、なぜか急に暑くなったり寒くなったりします…。
私の体は大丈夫でしょうか?
体温調節ができない場合、何らかの病気が隠れている可能性もあるため、一概に大丈夫とは言えません。
食事や運動などの生活習慣の見直しにより改善するケースもありますが、もし病気が原因の場合は病院での治療が必要になるケースもあります。
すぐにできる対処法は?
脱ぎ着しやすい服を着る
マッサージやストレッチをする
といった方法がおすすめです。
普段から、靴下・羽織ものなどを準備しておき、体温調節できるように備えておくとよいでしょう。
寒さを感じるときは、マッサージしたり、ストレッチなどの軽い運動をしたりして、血行をよくするのもおすすめです。
「体温調節ができない」よくある3つの原因
女性が体温調節できなくなってしまう原因としては、
更年期による自律神経の乱れ
貧血(鉄欠乏性貧血)
運動不足
などが挙げられます。
50代前後の女性の場合は、「更年期」の症状の一つとして、ほてり・冷えなどの症状が出ている可能性があります。
また、若い女性であっても、偏食や過度なダイエットによる「貧血」や日常的な「運動不足」によって、体温調節ができなくなることもあります。
それぞれ解説していきます。
原因① 更年期による自律神経の乱れ
女性は更年期(※)になると、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が急激に減少します。
すると、自律神経の調節を行っている視床下部の機能が低下することにより、体温調節ができなくなってしまうことがあります。
※更年期とは、閉経の前後各5年間(40代後半~50代前半頃の10年間)の時期を指します。
更年期によくある症状
ほてり・のぼせ・発汗
冷え
動悸
イライラ・抑うつ・無気力
不眠
疲労感・倦怠感
など
このように、更年期には、身体面・精神面に様々な症状が現れます。
個人差も大きく、人によって症状が異なります。
どう対処すればいい?
ご自身でできる対処法としては、
体温調節できるように衣服の調整する
(脱ぎ着しやすい服にする等)
腹式呼吸でリラックスする
などを実践するとよいでしょう。
ただし、更年期症状により、生活に支障が出てしまう場合は、一度病院で受診することをおすすめします。
病院では、「女性ホルモンの補充」や「漢方薬の服用」などの治療を行うことが一般的です。
更年期の症状に心当たりがある場合は、「婦人科」で受診するとよいでしょう。
婦人科を探す
原因➁ 貧血(鉄欠乏性貧血)
「鉄欠乏性貧血(鉄不足による貧血)」で赤血球やヘモグロビンが不足すると、酸素を体の隅々まで運べなくなるため、体温調節ができなくなってしまいます。
鉄欠乏性貧血は、
ダイエットなどにより、食事の量が極端に少ない人
栄養バランスが悪い食事をしている人
に多いです。
20代・30代の若い女性にも珍しくありません。
また、「月経に伴う出血」も鉄欠乏性貧血の要因の一つとして挙げられます。
貧血が疑われる症状
めまい・立ちくらみ
動悸・息切れ
全身の倦怠感
など
どう対処すればいい?
普段の食事で、鉄分を多く含む食品を積極的に摂取することを心がけましょう。
▼鉄分を多く含む食品
赤身の肉
魚
ひじき
ほうれん草
豆類
など
原因③ 運動不足
運動不足になると筋肉量が少なくなります。すると、全身を巡る血液量も少なくなり、末端まで血液が流れなくなることで、手足に冷えを感じやすくなります。
また、筋肉は熱産生するため、筋肉量が少なくなると体温調節ができなくなります。
さらに、発汗機能の低下により、体温が上手く下げられなくなることがあります。
どう対処すればいい?
運動不足を感じている人は、短時間ででき、道具の準備が必要のない手軽な運動から始めてみましょう。
ストレッチ
ウォーキング
などがおすすめです。
忙しくて運動の時間がなかなか確保できない場合は、「テレビを見ながらスクワットする」など、スキマ時間を活用した「ながら運動」もおすすめです。
注意!「甲状腺の病気」が隠れているケースも
「体温調節ができない」以外に、以下のような症状がある場合は、甲状腺の病気が疑われます。
動悸
体重減少または体重増加
イライラ・怒りっぽい
手の震え
疲れやすい
むくみ
甲状腺の病気には、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう「バセドウ病」、逆に作られなくなっていく「橋本病」などがあります。
どちらも自己免疫疾患(本来、体を守るべき免疫機能が正常に働かない病気)と呼ばれる病気です。
こんな症状があるときは病院へ!
喉ぼとけの辺り(甲状腺がある場所)が腫れてきている
首や喉に違和感がある
目が飛び出ているように見える
これらに心当たりがある場合は、甲状腺の病気にかかっている可能性が高いです。
放置していると、心不全・骨粗鬆症・不妊・流産・月経異常などのリスクが高まる恐れがあります。
早めに病院を受診しましょう。
病院は何科?
上記の症状に心当たりがあり、甲状腺の病気が疑われる場合は、「内分泌内科」で受診するとよいでしょう。
また、甲状腺の病気の症状は、更年期症状と共通する点も多く、見分けることが難しいケースもあります。
50代前後の女性の場合は、「婦人科」の受診を検討してみてもよいでしょう。
婦人科を探す
内分泌内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ ホットフラッシュ
e‐ヘルスネット 厚生労働省 自律神経失調症
e‐ヘルスネット 厚生労働省 パニック症/パニック障害
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 貧血
病院に行く目安は?
今まででは考えられないほど大量の汗をかく場合は、受診をおすすめします。
また、
- 一定の場所だけ大量に汗をかく
- 大量に寝汗をかく
- 動悸、息切れ
- 手の震え
- めまい
- 喉が渇きやすい
といった症状を伴う場合は、病気の疑いが強くなります。
心当たりがある方は、早めに受診しましょう。
糖尿病など命に関わる病気も考えられるため、放置は危険です。
何科で受診すればいい?
急に汗をかくようになった場合は、まず内科を受診してください。
お医者さんに伝えるポイント
- いつから発汗量が増えたのか
- 汗をかく場所
- 大量の発汗以外に不調はないか
- 体重変化の有無
といった点をできるだけ詳しく伝えることで、診察がスムーズになります。
内科を探す
考えられる2つの原因
急に汗をかくのは、
- 自律神経の乱れ(ストレス、更年期障害、糖尿病など)
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
といった原因が考えられます。
原因① 自律神経の乱れ(ストレス、更年期障害、糖尿病など)
なんらかの原因で自律神経が乱れると、発汗が起こる場合があります。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」のバランスによって、発汗や体温の調節を行っています。
「交感神経」は緊張時に優位に機能する神経で、「副交感神経」は安静時に優位に機能する神経です。
自律神経が乱れて交感神経が興奮状態になると、発汗しやすくなります。
こんな症状はありませんか?
- 汗をかきやすい
- 動悸
- 息苦しい
- 体が熱くなる
- 寒気
- 吐き気
- 頭痛(片頭痛)
- 肩こり
- 手足のしびれ
- 便秘、下痢
- 喉がつまる感覚
- イライラしやすい
自律神経が乱れる「原因」
原因別の「発症メカニズム」
<ストレス>
ストレス過多の状態が長期間続くと、副腎からコルチゾール(ストレスホルモン)が分泌されます。
このホルモンが自律神経に悪影響を与えると、自律神経の乱れが起こり、発汗しやすくなる場合があります。
<更年期>
更年期になると、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が減少していきます。
その結果、自律神経の働きが乱れて大量に汗をかく場合があります。
<糖尿病>
糖尿病により神経障害を併発した場合、自律神経の働きが鈍くなり、大量に汗をかきやすくなることがあります。
こんな人に多いです
自律神経の乱れによる発汗は、
- ストレスを溜めがちな人
- 睡眠不足の人
- 運動不足の人
- 45~55歳の女性
に起こりやすいです。
自分でできる対処法は?
栄養バランスの良い食事と、十分な睡眠を心がけましょう。
また、ストレスを溜め込まないようにすることも大切です。
生活習慣を見直しても症状が改善しない場合には、医療機関を受診しましょう。
病気が隠れている可能性があるため、検査が必要です。
病院は何科?
自律神経の乱れに心当たりがある場合は、内科を受診してください。
医療機関では、主に薬を使って症状の緩和を図ります。
更年期障害が原因の場合には、不足した女性ホルモンを補充する治療も可能です。
また、薬の処方だけでなく、カウンセリング等を行う心理療法や、マッサージ、ストレッチ等を行う理学療法を行うケースもあります。
病院で処方される薬の例
- 漢方薬(黄連、芍薬等)
- 自律神経を調整する薬
- 抗不安剤
- ビタミン剤(ビタミンA、B群、C、E)
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更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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原因② 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて新陳代謝が高まることで、大量に汗をかくようになる場合があります。
こんな症状はありませんか?
- 汗をかきやすい
- 動悸
- 息切れ
- 頻脈
- 手、足の震え
- 甲状腺(首)が腫れる
- 体温が上がる(微熱)
- 疲労感
- 暑がり
- イライラしやすい
- 体重減少(食欲はある)
甲状腺機能亢進症の原因
免疫機能の異常によって発症すると考えられています。
なお、発症の直接的な原因はわかっていません。
「免疫機能」は本来、外敵から体を守る役割を担っています。
免疫機能に異常が起こると、自身の正常な組織まで排除しようと暴走してしまいます。
甲状腺機能亢進症は、この暴走によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌された状態です。
こんな人に多いです
甲状腺機能亢進症は、20~40歳代の女性に発症しやすい傾向があります。
自分でできる対処法は?
体に無理をかけないように過ごしてください。
甲状腺機能亢進症は、頻脈や不整脈を起こしやすくなるため、心臓に負担をかけないことが大切です。
また、症状がつらいときには医療機関で相談しましょう。
甲状腺の病気と診断された場合、薬の処方などによって症状の緩和を図ってもらえます。
病院は何科?
甲状腺機能亢進症は、内科・内分泌内科で治療を受けられます。
病院で受けられる治療
<抗甲状腺薬を用いた治療>
薬の服用によって、甲状腺ホルモンの生成を抑える治療です。
<放射性カプセルを用いた治療>
ヨウ素131(放射性物質)が入っているカプセルを服用する治療です。(服用回数は1回)
放射性物質と聞くと心配になりますが、放出される放射線量はごく微量のため、発がんリスクはほぼないと考えられています。
※乳幼児や子供は放射能の影響を受けやすいため、服用後は乳幼児や子供との接触を控える必要があります。
<外科的療法>
手術により甲状腺を摘出する治療です。
甲状腺が大きい場合、妊娠を希望する場合に検討されます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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最近、不調が続く…。
これって自律神経失調症?
「女性に起こりやすい自律神経失調症の症状」を、お医者さんに聞きました。
セルフチェックリストで、当てはまるものがないか確認しましょう。
症状改善のための、おすすめ習慣も紹介します。
【セルフチェック】女性の自律神経失調症であらわれる症状
▼体の症状
発汗(特に顔や手)
ほてり
動悸・息切れ
頭痛
耳鳴り
手足のしびれ
食欲不振・吐き気
関節痛
便秘
下痢
倦怠感・疲れやすい
睡眠障害
など
▼精神的な症状
イライラしやすい
強い不安感
焦燥感
憂うつ・気分の落ち込み
など
上記の症状に当てはまる場合、自律神経失調症の可能性があります。
ただし、他の病気も考えられるため、自己判断で決めつけるのは危険です。
つらい症状がある場合は、原因を特定するためにも医療機関で診てもらいましょう。
自律神経失調症ってどんな病気?
自律神経失調症とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れてしまい、心身にさまざまな不調が生じる状態です。
過剰なストレス・疲労・女性ホルモンの乱れ等により、引き起こされると考えられています。
自律神経失調症を発症しやすい人
ストレスや疲労が溜まっている
生活リズムが乱れている
几帳面
完璧主義
感受性が過敏
女性ホルモンが乱れている
など
上記の特徴がある人は、自律神経のバランスが乱れやすいため、発症リスクが上がると考えられています。
また、もともとの体質的に、自律神経失調症の症状があらわれやすい人もいます。
自律神経は女性ホルモンの影響を受けやすい
自律神経系と女性ホルモンは、どちらも脳の「視床下部」という場所が司っています。
指令を出すところが同じなので、互いに影響を受けやすくなります。
女性ホルモンの分泌量が減少すると、脳の視床下部からホルモン分泌量を増加させるように指令が出されます。
こうして視床下部の活動が活性化すると、同じ指令元である自律神経系も一緒に活性化されます。
特に身体活動を高める神経系である「交感神経」が活性化されることで、体に不調が生じやすくなると考えられています。
「更年期」が原因となっているケースも
更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌が急激に低下します。
すると、自律神経が乱れやすくなり、自律神経失調症と同じような不調を感じる人もいます。
この症状は、閉経が近づく45~55歳頃の女性に多く見られます。
特に、ほてり・発汗の症状が強く出る場合は、更年期症状の可能性が高くなります。
自律神経失調症は自力で直せる?
自律神経失調症は、症状に応じて専門的な治療が必要なケースがあるため、セルフケアのみで治すことは難しいです。
また、うつ病や甲状腺の病気の可能性も否定できないため、つらい症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
こんな症状が続くときは病院へ!
動悸・息切れ
胸が締め付けられるような感覚
脈の乱れ
微熱が続く
夜に眠れない
上記の症状があらわれている場合には、病院の受診をおすすめします。
放置していると、症状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れもあります。
また、何らかの病気が隠れていることもあるため、一度病院で医師に相談してみましょう。
こんな病気が隠れていることも
心身症
適応障害
パニック障害
更年期障害
月経前症候群
貧血
バセドウ病
過換気症候群等
上記の病気により、自律神経失調症と似た症状があらわれている可能性もあります。
これらを放置して症状が悪化すると、うつ病等の精神疾患を併発したり、深刻な病気を見逃したりする恐れがあると考えられます。
病院は何科?
受診する診療科は、あらわれている症状に合わせて選ぶことをおすすめします。
以下の表を参考にしてください。
症状
おすすめの診療科
身体面の症状が強く出ている。
内科
精神面の症状が強く出ている。
精神科
身体面・精神面の両方の症状が出ている。
心療内科
特に、ほてり・発汗の症状が強く、年齢が45~55歳頃の人。
婦人科
病院ではどんな治療をするの?
薬物療法
心理療法・精神療法(認知行動療法)
等の治療が行われるケースが多いです。
薬は、症状に応じて、抗不安薬やビタミン剤、漢方薬、ホルモン剤等が使用されます。
快方に向かうまでの期間には個人差があり、1ヶ月程度で改善していく人もいれば、何年も治療を続けているという人もいます。
内科を探す
精神科を探す
心療内科を探す
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症状を和らげたい!おすすめの「5つの習慣」
自律神経失調症の症状を改善するためには、日頃の生活を見直すことも大切です。
普段から以下のことを意識して生活してみましょう。
起床時間と就寝時間を一定にする
6~8時間程度の睡眠時間を確保する
1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
週に3~5日程度、有酸素運動を行う
リフレッシュできる時間を作る
① 起床時間と就寝時間を一定にする
まずは、生活リズムを整えることを心がけましょう。
毎日決まった時間に寝て、起きることを習慣にして、夜更かしは控えてください。
規則正しい生活は、自律神経を整えることにつながります。
休みの日も「寝だめ」せず、できるだけ普段と同じ時間に起床するようにしましょう。
食事も毎日決まった時間にとるようにしてください。
② 6~8時間程度の睡眠時間を確保する
睡眠が不足すると、自律神経が乱れやすくなると考えられます。
1日6~8時間を目安に、睡眠時間を確保してください。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)までに寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
夜は音楽やアロマなどでリラックスする
③ 1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
欠食せずに、1日3食、食事をとるようにしてください。
「和定食」をイメージして、主菜・副菜・主食を揃えると、栄養バランスが整いやすくなります。
食生活の改善により、自律神経のバランスが整うと考えられています。
自律神経を整える「おすすめ食品」
ビタミンB6・トリプトファンを多く含む食品は、自律神経を整える作用があると考えられています。
腸内環境を整える作用をもつ乳製品や発酵食品も、自律神経の改善につながるため、おすすめです。
▼ビタミンB6を含む食品
マグロ
カツオ
大豆製品
卵
バナナ
▼トリプトファンを含む食品
大豆製品
乳製品
卵
ナッツ
バナナ
▼腸内環境を整える食品
乳製品
発酵食品(味噌・納豆・キムチ・ヨーグルト)
④ 週に3~5日程度、有酸素運動を行う
週に3~5日を目安に、
ウォーキング
ストレッチ
ヨガ
水泳
サイクリング
等の有酸素運動を習慣にしましょう。
体を動かすことで血流が良くなると、自律神経の乱れの改善につながると考えられます。
また、適度に運動することで心地より疲労感が得られるため、睡眠の質の改善も期待できます。
おすすめ習慣⑤ リフレッシュできる時間を作る
過剰なストレスは交感神経を刺激するため、自律神経の乱れにつながります。
趣味を見つけて没頭する
好きな音楽を楽しむ
ゆっくりお風呂に入る
などで、気分転換できる時間を作りましょう。
また、意識して深呼吸を行うことも有効と考えられています。
特に吐く息は副交感神経の働きを促進するため、リラックスしたいときにおすすめですよ。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 自律神経失調症
一般社団法人 日本臨床内科医会 自律神経失調症
オムロン 更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるのですか?