「傷口がジュクジュクして痛い…」
「化膿した傷口に市販薬を塗ってもいい?」
膿んでしまった傷口の“正しい対処法”をお医者さんに聞きました。
病院に行くべき?受診するのは何科?などの疑問にもお答えします。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
化膿したら…病院いくべき?
「傷跡を残したくないとき」は医療機関での治療を優先しましょう。
傷が化膿すると“傷跡”が残りやすいです。
傷跡を残したくない場合は、皮膚科または形成外科を受診することをおすすめします。
また、傷の状態が
- 痛みがある
- かぶれる
- 炎症が広がっている
- 腫れる
- 傷口周辺がしびれる
- 市販薬を1週間程度塗っても、良くならない
- 発熱する
という場合も、医療機関で治療を受けましょう。
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2020-12-04
「傷口がジュクジュクして治らない!」
ジュクジュク傷の原因と対処法をお医者さんに聞きました。
早く治す方法をはじめ、放置した場合のリスクも解説します。
病院へ行った方がいい症状もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ジュクジュク傷が治らない…これは大丈夫?
傷口を流水で洗った後、乾燥しないように絆創膏で覆っていれば、ジュクジュクしていても、正常に傷の修復が行われている可能性が高いので大丈夫です。
傷がジュクジュクしているのは、皮膚を再生するために白血球やマクロファージを含む浸出液が出て、損傷した皮膚を修復している状態です。
ただし、こんなときは要注意!
次の症状がみられる場合には、注意が必要です。病院に行きましょう。
傷口から緑色や黄色の液体が出ている(膿んでいる状態)
体液にねばりや臭いがある(膿んでいる状態)
痛みがひどくなる
熱を持っている
赤く腫れる
傷口に近い関節のリンパ節が腫れる
このような場合、傷口に付着した異物や壊死した皮膚組織によって細菌感染を起こし、化膿している可能性があります。
病院は何科を受診する?
傷口がジュクジュクして治らない場合には、皮膚科または形成外科を受診しましょう。
一般的に、皮膚科では塗り薬などで治療することが多いです。
一方で、形成外科では手術を中心に治療します。
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化膿して悪化させないためには、早期受診を
早期に病院で検査を受けることで、ジュクジュク傷の原因を特定し、短期間かつ傷跡を残さずに、治せる可能性が高いです。
また、細菌感染している場合、敗血症(※1)や蜂窩織炎(ほうかしきえん)(※2)などにかかる可能性があり、入院や手術が必要になることがあります。
(※1)敗血症:細菌をはじめとする種々の病原体が血管やリンパ管の中に入って組織や臓器など全身に障害を引き起こす病気
(※2)蜂窩織炎…皮膚から皮下脂肪にかけて細菌が入り込んで、赤く腫れる病気
▼参考
MSDマニュアル家庭版 敗血症
MSDマニュアル家庭版 蜂窩織炎
傷が化膿したら、どう対処する?
軽度の化膿であれば、石鹸で洗浄してください。
洗浄後、抗生物質が配合された市販薬を塗りましょう。
\注意/
消毒液を使うより、石鹸と水道水で洗う方が清潔です。
消毒液は細菌だけではなく、体から出る傷を治す成分(浸出液)も破壊してしまう可能性があります。
絆創膏を貼ったほうがいい?
絆創膏を貼った方がよい |
|
自己判断で貼らない |
- 化膿している(傷口が細菌に感染し、赤み痛みとともに膿が出ている)
- ひどい出血がある
- 傷口が熱をもっている
- 傷口が腫れている
|
傷口をきれいに治すためには、傷口を乾燥させないようにします。
浅い傷で化膿していない場合は、傷口をきれいに洗浄した後、密閉タイプ(湿潤療法)の絆創膏を貼りましょう。
化膿している・出血・熱や腫れがある場合、湿潤療法は適さず傷を悪化させる恐れがあります。医師の判断に委ねましょう。
化膿した傷はどれくらいで治る?
個人差はありますが、医療機関での治療後、安静にしていれば通常は4、5日ほどで良くなっていきます。
お風呂に入ってもいい?
医療機関での治療後、こすったり皮膚を刺激したりしなければ入浴可能です。
石鹸を泡立てて、きれいに洗い流してください。
入浴後に医師の指示に従って、薬を塗りましょう。
こすったり、刺激したりすると、炎症が広がって治りが遅くなります。
ただし、発熱など全身状態が悪いときは、入浴を控えましょう。
傷跡は残る?
化膿した傷は、跡が残ってしまうのでしょうか?
皮膚の治療が間に合えば、傷跡が残らないこともあります。
傷跡を残さないためには、
- 傷口が乾かないようにする
- 早めに医療機関で治療を受ける
ようにしましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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「傷口の汁が止まらない…」
「大量に出てくるけど大丈夫…?」
お医者さんに、傷口の汁が止まらない原因を聞きました。
「正しい処置」や「病院に行くべき症状」についても解説します。
傷口の汁が止まらないのはなぜ?
ケガをすると、傷口を治すために、細胞を修復する成分を含んだ浸出液が出てきます。
傷が深かったり大きかったりすると、浸出液が多く出るため「止まらない」と感じるケースがあります。
たくさん汁が出ているけど…大丈夫なの?
擦り傷や切り傷をしたときに、必ず傷から浸出液が出ますが、傷を治す成分がたくさん含まれているので、あまり心配ないです。
ただし、次のような症状が見られる場合は注意が必要です。
<要注意の症状>
緑色や黄色の膿が出ている
浸出液にねばりや臭いがある
痛みが悪化している
傷口が熱を持っている
傷口が赤く腫れる
傷口に近い関節のリンパ節が腫れる
このような場合、傷口に付着した異物や壊死した皮膚組織によって細菌感染を起こし、化膿している可能性があります。病院を受診しましょう。
病院は何科?
皮膚科または形成外科を受診しましょう。
一般的に、皮膚科では投薬を中心に治療し、形成外科では手術を中心に治療します。
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浸出液が出ているときの正しい処置
患者さん自身でできる処置の方法ご紹介します。
傷口が汚れている場合は、流水でしっかりと洗い流しましょう。
砂などの異物を洗い流せないときは、清潔なガーゼや綿棒で取り除いてください。石鹸を用いるのも有効です。
清潔なタオルやティッシュペーパーで、水気を取りましょう。
浸出液が乾かないように、傷口を絆創膏(創傷治癒効果のある絆創膏がおすすめ)で覆いましょう。
こんなときは早急に病院へ
傷口の悪化だけでなく、呼吸数・心拍数・脈拍・血圧などの変化、寒気や発熱、動悸、頭痛など、その他の症状が見られる場合は、特に注意が必要です。
早めに皮膚科、形成外科など医療機関を受診しましょう。
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早めの受診をおすすめする理由
早期に病院で検査を受けることで、短期間かつ傷跡を残さずに、治せる可能性が高いです。
また、細菌感染している場合、敗血症(※1)や蜂窩織炎(※2)などのリスクがあり、入院や手術が必要になることがあります。
(※1)敗血症:細菌をはじめとする種々の病原体が血管やリンパ管の中に入って組織や臓器など全身に障害を引き起こす病気
(※2)蜂窩織炎…皮膚から皮下脂肪にかけて細菌が入り込んで、赤く腫れる病気
▼参考
MSDマニュアル家庭版 敗血症
MSDマニュアル家庭版 蜂窩織炎