発熱後に発疹が!
これは一体何?
お医者さんに対処法を聞きました。
受診目安や病院に行く前に気をつけてほしいことも解説します。
何科に行く?仕事は行ってもいい?お風呂は?といった疑問についてもお答えします。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
なぜ出る?大人の発熱後の発疹の原因
代表的な原因として、
- 麻疹(はしか)
- 水疱瘡
- りんご病
- デング熱
- 発疹チフス
が考えられます。
それぞれの「症状の特徴」と「治し方」を解説します。自分に当てはまる症状がないか、確認してくださいね。
原因1.麻疹(はしか)
麻疹ウイルスによる、急性の感染症です。
熱は一回下がりますが、再度発熱し、全身に発疹が現れます。発疹は首・おでこ・耳の後ろから始まり、最終的に全身に生じます。肺炎、脳炎、中耳炎等の合併症を併発する可能性もあるため注意が必要です。
<発疹の特徴>
- 赤く平らな発疹がでる
- その後発疹が盛り上がり、約1mmの白っぽい凸凹状になる
- 発疹を指で押すと色が退色する
<それ以外の症状>
咳/鼻水/39度以上の高熱/倦怠感/結膜充血等
口の中の粘膜に、斑点(コプリック斑)が現れるケースも
麻疹の治し方は?
発熱や発疹があった場合、麻疹かもと思った場合は病院へ行きましょう。
麻疹に対する特別な治療法がないため対症療法がメインで行われます。
肺炎、中耳炎等の細菌性の合併症を併発した際は、抗菌薬を用いた治療が行われる場合があります。
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原因2.水疱瘡
子どもの病気のイメージが強いですが、大人が感染することもあります。
ウイルス感染後、14日間ほどの潜伏期間ののち、発熱や倦怠感が生じます。
水疱瘡の治し方は?
水疱瘡の疑いがあるときは、皮膚科を受診してください。
原因ウイルスの増殖を抑制するため、抗ウイルス薬での治療や発熱、かゆみの症状を緩和させるための治療が行われます。
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原因3.りんご病(伝染性紅斑)
ヒトパルボウイルスに感染して、発疹や風邪と似た症状が出現します。
稀に脳炎を起こしたり、妊婦の方は流産の恐れがあったりするため、軽視するのは危険です。
<発疹の特徴>
- (顔に)蝶々のような形の赤い斑点
- (手足に)蕁麻疹のような発疹
<それ以外の症状>
発熱/寒気/筋肉痛/喉の痛み/倦怠感等
りんご病の治し方は?
通常は自然治癒します。
という場合は、内科を受診してください。
病院では、症状に合わせた対症療法が行われます。
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原因4.デング熱
発症後、3~4日程度たってから発疹が出始めます。
稀に重症化すると、デング出血熱、デングショック症候群を起こす場合があるため、早期発見、早期治療開始が重要です。
<発疹の特徴>
- 赤い発疹
- 体の中心(体幹・胸部)から手足や顔へと広がる
<それ以外の症状>
発熱/頭痛/吐き気/嘔吐/関節痛等
デング熱は治し方は?
病院で早期治療を行いましょう。
出現している症状に合わせた対症療法が行われます。
発熱や痛みがある場合は、アセトアミノフェン等の薬剤を用いた治療が行われる場合があります。
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原因5.発疹チフス(リケッチア症)
発熱から2~5日程度経過した時点で、体幹に発疹が出現します。重症化すると、精神神経障害(うわごと、幻覚、錯覚、意識混濁等)が現れる場合があります。
<発疹の特徴>
- 腕・足から全身に広がる
- 初期段階の発疹(ピンク色)は、指で押すと色が消失する。
- 徐々に指で押しても消失しない暗紫色になる。
<それ以外の症状>
39度以上の高熱/寒気/頭痛/吐き気/嘔吐/脱力感/手足の痛み等
発疹チフスの治し方は?
発疹チフスの疑いがある場合はすぐに病院に行きましょう。
発熱してから2週間程度経過すると、急に熱が下がるという特徴があります。
テトラサイクリン系の抗菌薬を用いた治療が行われるケースが多いです。
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病院へ行くべき?
次のような症状が現れた場合は、早急に病院を受診しましょう。
- 皮膚の色が蒼白、暗紫色
- 高熱が続く
- 倦怠感が続く
- 激しい嘔吐、腹痛等が続く
- 水分等が摂れず脱水状態
- 発疹が化膿した
- 発疹(水ぶくれ)がどんどん増た
- 呼吸困難がみられる
発熱がある場合は、水分補給をこまめに行い、脱水症状を起こさないようにしてください。
※“人に感染する発疹”の場合、病院に行く前に事前に電話をして、症状を伝えるようにしてください。
病院は何科?
内科または皮膚科を受診しましょう。
発熱などの全身症状を伴う→内科
発疹など皮膚症状のみ→皮膚科
に行くとよいでしょう。
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お医者さんへ伝えるポイント
- いつ頃から発疹が生じているのか
- 発疹の状態(発疹の色/かゆみの有無/数の増減)
- 発疹が出現してからの体調の変化
- 発疹以外の症状の有無
- 海外渡航歴について把握しておく
症状がでてから毎日検温し、症状を記録しておきましょう。
発疹を写真に撮って、病院へ持参するのもおすすめです。
仕事は行っても大丈夫?
麻疹→解熱後3日間は自宅待機が必要とされています。
水疱瘡→軽症であっても、発疹が全部かさぶた状になるまで安静にして過ごすことをおすすめします。
りんご病→発熱などの症状が治れば、特に他に感染するリスクは低くなります。ご自身の症状が落ち着いたら出勤しましょう。
デング熱・発疹チフス→他の人への感染リスクがあるので、医師の許可が出るまでは自宅待機をしましょう。
お風呂は入っても大丈夫?
その場合は、短時間のシャワーや濡らしたタオル等で体を優しく拭いてください。
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2020-03-10
「風邪がいつまで経っても治らない・・・」
「治るどころか悪化している気がする・・・」
なかなか治らない風邪の原因と早く治すための対処法、隠された病気の可能性まで、医師が詳しく解説します。
なぜ?風邪が治らない原因
体力が低下している場合や免疫力が落ちている場合は風邪が長引きます。
また、風邪以外のウイルスや感染症にかかっている可能性があります(2次感染症)。
風邪とは鼻腔や咽頭、喉頭におこる感染症のことです。ほとんどはウイルスが原因です。
放っておいても、風邪のほとんどは1週間前後で自らの免疫力で治ります。
微熱が長引く
→インフルエンザやエイズなどの病気が隠れている場合もあります。
鼻水が長引く
→副鼻腔炎の可能性があります。副鼻腔炎は、副鼻腔の粘膜に炎症が起こっている状態です。炎症が続くと粘膜が腫れて膿が溜まってしまいます。
咳が長引く
→肺炎などの病気も疑う必要があります。
“解熱剤”によって風邪が長引くケースも
発熱時に免疫力が高まっている状態で、ウイルスや細菌と戦っている状態なので、無理に解熱剤を使って熱を下げてしまうと、ウイルスや細菌が死滅せずに風邪が長引く可能性があります。
発熱はウイルスや細菌と戦うための身体の正しい反応です。
解熱剤を服用する場合は、熱が上がり切ってから(38.5度以上)にしましょう。
“季節の変わり目”は風邪が長引きやすいことも
季節の変わり目に風邪が長引く理由として、朝・昼・晩の気温の差が激しいことがあります。
寒暖差が大きいと体温調節が難しくなり、風邪が長引く原因になります。
また、季節の変わり目は自律神経が乱れやすく、身体がうまく対応できずに風邪を引きやすく、治りにくい傾向にあります。
子ども・高齢者の風邪は長引きやすい
成人に比べると小さな子どもや高齢者は免疫力が低く、風邪が長引きやすいです。
特に、保育園や幼稚園に通っている子ども、施設に入っている高齢者は集団生活を行っていて、様々なウイルスに感染しやすい環境にいるため、風邪が長引いてしまう原因となります。
妊娠中は必ず病院へ
高熱が続く場合は、胎児に悪影響を与える場合もあるため、必ず病院へ行って診察してもらいましょう。
妊娠中は、市販の薬でも胎児に影響を与えてしまうものも多いため、医師や薬剤師に相談してから薬を服用するようにしてください。
「早く治したい!」どう対処すればいい?
睡眠をとる
水分補給をする
体を温める
手洗い・うがいをする
でている症状に特化した薬を選ぶ
上記の対処をおこないましょう。
睡眠時間をしっかりと確保し、水分補給をして身体を温めましょう。
また、他のウイルス感染を防ぐためにも手洗い・うがいは必須です。
薬は、熱を下げるのであれば「解熱剤」、頭痛やのどの痛みを和らげたいのであれば「鎮痛薬」、鼻水を抑えたいのであれば「抗ヒスタミン剤」を選ぶようにします。
また、これらをまとめたものを「総合感冒薬」といいますが、様々な風邪の症状を和らげてくれるため、長引く風邪にも有効です。
咳などが続く場合「麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)」、微熱や吐き気がある場合「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」などがおすすめです。
風邪の「病院に行くタイミング」
風邪は放っておいても、1週間前後で治ることが多いです。
そのため、2週間以上症状が続く場合は病院を受診しましょう。
病院は何科?
基本的には内科を受診し、咳などが気になる場合は呼吸器内科を受診しましょう。
妊娠中の場合は、まずはかかりつけの産婦人科に連絡し、指示を仰いでください。
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「ただの風邪じゃない!」重篤な病気が隠れているケースも
咳が治らない
微熱がなかなか下がらない
といったケースは、重篤な病気が隠れている可能性もあります。
咳が治らない場合
肺炎以外にも、ぜんそくや百日咳、中高年ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患という気道が狭くなる状態が続く病気)も考えられます。
特にCOPDは、重症化すると咳以外に体重減少やむくみなどが生じる特徴があります。
微熱がなかなか下がらない場合
インフルエンザ
肺結核
エイズ
白血病
悪性リンパ腫
なども考えられます。
白血病は大量の発汗や貧血・あざ・出血などが起こり、悪性リンパ腫は体重減少や大量の寝汗・リンパ節のしこりなどが見られます。
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2020-03-16
「ビタミンCが風邪に効くって本当?」
「ビタミンCを大量に摂ったら早く治る?」
風邪にビタミンCがよいと言われる理由、効かないと言われる理由を、それぞれ医師が解説します。
ビタミンCの含有量が多い食べ物・飲み物、より効果的な摂り方もご紹介しています。
風邪にはビタミンCがいいって本当?
現在、ビタミンCの効能は重要視されていますが、ビタミンCが風邪の治療に有効であるかどうかは賛否両論あるようです。
風邪に「ビタミンCがよい」といわれている理由
コラーゲンを合成する
免疫力・抵抗力を向上させる
などが理由といわれています。
ビタミンCには、免疫力や抵抗力を向上させる働きがあります。
そのため、毎日こまめに摂取することで、日々の風邪予防につながると考えられています。
コラーゲンは、体を形成する全タンパク質のおよそ3割を占めており、細胞同士を繋ぐ結合組織・骨・血管・筋肉・各器官等を強化する働きを持っています。
ビタミンCがコラーゲンを合成することによって、毛細血管が強化され、血液の流れをスムーズにして十分な栄養を各器官に送り、正常な機能をサポートします。
また、ビタミンCは免疫細胞を活性化して白血球の機能を補助する働きがあります。
血中の白血球、リンパ球はビタミンCを豊富に含んでいます。
そして、体内に細菌等の異物が侵入した際に攻撃してくれます。
風邪に「ビタミンCが効かない」といわれている理由
即効性のあるものではない
風邪をひく確率自体は下がらない
などが理由といわれています。
風邪の症状が出現した後に、急にビタミンCを摂取しても、あまり有効とは言えないとされています。
ビタミンCは薬ではないので、即効性が期待できるものではありません。
そのため、日頃からビタミンCを含む食品等を意識して摂取することが大切と考えられています。
また、臨床試験の結果から、一般集団において、ビタミンCを1日0.2g摂取しても、風邪をひく確率は下がらなかったと確認されています。
現在、ビタミンCの効能は重要視されていますが、ビタミンCが風邪の治療に有効であるかどうかは賛否両論あるようです。
ビタミンCは大量に摂取したほうがいいの?
ビタミンCは水溶性のため、多めに摂取しても尿から体外へと排泄されます。
そのため、摂り過ぎを心配する必要はほぼないと考えられています。
しかし稀に、ビタミンCの大量摂取により、吐き気・下痢・胃痙攣等が起こる場合がありますので、気を付けましょう。
1日の摂取目安は?
15歳以上のビタミンC摂取推奨量は、100mg/日とされています。
栄養ドリンクやサプリメントは風邪にいいの?
日常的にビタミンCの栄養ドリンクやサプリメントを摂取している場合、風邪症状が出る期間が短縮されたり、症状が軽く済んだりするケースもあるようです。
しかし、風邪をひいた後にサプリメントを摂取しても効能はあまりないと考えられています。
液剤でも錠剤でも、同じ成分で同量含有されていれば効能は同じと考えられています。
ビタミンCは排泄されやすいため、1度に摂るのではなく、朝、昼、晩というように分けて摂るようにしましょう。
他の薬を服用している場合は注意!
ビタミンCサプリメントは、他に服用している薬がある場合には注意が必要です。
サプリメントは食品と違い、栄養素が凝縮して入っているので、相互作用を起こす恐れがあります。
例えば、腎臓疾患がある場合や、利尿剤を飲んでいる方がビタミンCサプリをとると、尿中のシュウ酸がカルシウムと結束し、尿路結石や腎臓結石を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
ビタミンCが豊富な食べ物・飲み物
アセロラ 1700mg
ブロッコリー 120mg
いちご 62mg
キウイフルーツ 69mg
緑黄色野菜(小松菜39mg、キャベツ41mg)
トマト 15mg
じゃがいも 35 mg
グレープフルーツ 36mg
緑茶(玉露 抽出液 19 mg)
赤ピーマン 170 mg、緑ピーマン 76 mg
ゆず 160 mg
レモン 100 mg
(数値は100gあたりのビタミンC含有量)
などの食品にビタミンCが豊富に含まれています。
その他、みかん・オレンジジュースもおすすめです。
トマトジュースにレモン(レモン汁)を加えると、ビタミンCの相乗作用が期待できます。
緑黄色野菜もおすすめ
特に、緑黄色野菜は比較的ビタミンCも多く、その他の栄養素もバランスよく含まれているので、風邪のときには効率的に栄養素を摂取できます。
おすすめ常備レシピ「ゆずジャム」
<材料>
ゆず:1個(約50g)
砂糖:25g(ゆずの重量に対して50%分の砂糖を使用する。きび砂糖等でも可)
(作り方)
ゆずを半分に切って種を除去する
ゆずを薄切りにしてから細かく刻む
砂糖を投入し混ぜる
砂糖が溶けてとろっとした状態になったら完成
「ビタミン注射」って何?
ビタミン注射とは、注射や点滴によって、体内にダイレクトにビタミンCを注入する方法です。
通常の食品やサプリメントからの摂取に比べて、有効な成分を高濃度で体内に取り入れることが可能になり、全身細胞にビタミンCを高濃度で届けられます。
そのため、風邪等の疾病予防にも有効と考えられています。
また、高濃度ビタミンC点滴やビタミン注射は基本的に保険適用外です。
費用は各医療機関により異なりますが、10000円~15000円/1回、25gが目安と考えられます。
風邪をひいた後に注射すると早く治る?
ビタミン注射によって風邪が早く治るということは考えにくいです。
しかし、風邪をひくと体内のビタミンCが消耗するので、その補充としては役立ちます。
副作用はある?
ほぼ副作用なく受けられる療法とされていますが、稀に以下のようなケースがあります。
腎不全・心不全・透析治療中・胸水・腹水・不整脈等の持病がある場合、点滴を用いて血管内に水分を注入することで症状の悪化を招く恐れがあるため要相談です。
点滴をはじめる際、刺入部に痛みが生じる場合があります。
稀に低血糖になり、めまい、冷や汗等の症状が出る場合があります。
高濃度ビタミンC点滴は利尿作用があるので口渇になる場合があります。
ビタミンCはカルシウムを尿として排泄する働きがあるため、稀に低カルシウム血症を起こす場合があります。
ごく稀に結石が発生する場合があるようです。
ごく稀に薬剤に対するアレルギーによって、かゆみ、蕁麻疹、息苦しい等の症状が出る場合があるようです。
また、高濃度ビタミンC点滴療法を受けるには、はじめにG6PD採血※を行い、赤血球膜の遺伝子酵素異常※の有無を確認する必要があります。
※G6PD採血
赤血球機能を維持するうえで重要なグルコース-6-リン酸脱水素酵素があるかを確認する採血です。欠損していると、ビタミンC点滴によって、貧血などを起こす恐れがあります。
※赤血球膜の遺伝子酵素異常
グルコース-6-リン酸脱水素酵素が少ない、または欠損している状態を指します。
何科で受けられる?
美容皮膚科、内科、整形外科等、幅広い分野で取り扱いがあります。
▼参考URL
医療法人 清友会 笠松病院 ビタミンCについて
医療法人 愛恵会 湘南メディカル記念病院 風邪を早く治すために覚えておきたい 3つのポイント
一般社団法人 愛知県薬剤師会 ビタミン
大塚製薬 ビタミン総合
厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業「統合医療」情報発信サイトビタミンC
福岡天神内視鏡クリニック 高濃度ビタミンC点滴療法