「生理前ってなんだか眠気がすごい…」
「仕事に支障が出るレベルで眠い…」
眠気の原因を、お医者さんに詳しく聞きました。
自分でできる眠気の解消法もご紹介します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
生理前になると、なんでこんなに眠いの?
生理前になると眠気を起こす「アロプロゲステロン」という物質が発生したり、ホルモンバランスが変化したりするため、眠気が起こります。
ホルモンバランスの崩れは自律神経に影響を与えるため、睡眠の質が下がり、日中に眠くなります。
眠気で仕事に支障が…解消法は?
どうしても眠くなってしまったときは、10~30分程度の昼寝をしましょう。
ただし、昼寝時間は30分までに留めましょう。
目覚めが悪くなったり、夜に眠れなくなったりしてしまいます。
市販薬を使ってもいい?
市販薬や漢方薬(プレフェミン、命の母など)の使用もおすすめです。
一度、薬剤師やかかりつけ医に相談してみましょう。
ただし、3~5日服用しても症状が改善されない場合は、使用を中止し婦人科へ行きましょう。
根本的な対処法は?
自律神経を整えて、“質の高い睡眠”をとるようにしましょう。
自律神経の整え方
- リラックスできる空間づくりをする(アロマを焚く、ヒーリング音楽を流すなど)
- 日中は光を浴び、昼夜のメリハリをつける
- カフェインやアルコールを控える
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 規則正しい生活を心がける
- ストレスをためない
- 禁煙する
婦人科で相談も対策のひとつ
眠気くらいで、婦人科に行っていいのでしょうか?
もちろん、病院に来ていただいて構いません。
日常生活に支障をきたしているようであれば、治療を行う必要があります。
医師には「いつ、どんなときに眠気が生じるのか」「普段の睡眠時間」や「睡眠の質」などを説明しましょう。
生理前の異常な眠気でお困りの場合、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。
PMS(月経前症候群)
毎月、生理の3~10日間前になると、さまざまな精神的または身体的症状が現れる病気です。生理開始とともに、症状が改善するのが特徴です。
症状の特徴
情緒不安定、抑うつ、不安、イライラ、眠気、睡眠障害、集中力低下、のぼせ、めまい、倦怠感、食欲不振・過食、頭痛、腹痛、腰痛、お腹の張り、乳房の張り、むくみなど
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PMSってどんな症状が出るの?
つらいときはどうすればいい?
PMSの主な症状やセルフケア方法など、分かりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
PMSとは
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、月経の3~10日前から始まり、月経が始まると解消する心や体の不調のことです。
PMSが生じる原因は明らかにされていませんが、排卵後に起きる女性ホルモンの分泌量の変化や、ストレスなどが影響しているといわれています。
PMSは誰でもなるの?
日本では、月経のある女性のうち約7~8割が月経前に何らかの症状を抱えています。
また、100人中5人程度の人が「生活に支障が生じるほどつらいPMS」であるといわれています。
思春期の女性でPMSを示す割合が多い、という報告もあります。
PMSになりやすい人は?
真面目
几帳面
我慢しがち
上記に当てはまる人は、PMSになりやすいといわれています。
PMSの主な症状
頭痛
腹痛(下腹部痛)
腰痛
めまい・のぼせ
吐き気
乳房の張り感、痛み
食欲低下
倦怠感
イライラする
など
生理が始まると、「症状が軽くなる」「無くなる」という特徴があります
「PMS」と「PMDD」の違いは?
生理周期に伴う心と体の不調をまとめて、PMS(月経前症候群)と呼びます。
その中でも心の不調が強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
PMSの対処法
1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
お腹を温める
ストレッチや軽い運動をする
PMSの症状には、上記の方法で対処するとよいでしょう。
対処法① 1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
PMSの症状は、ホルモンバランスの乱れにより悪化しやすくなります。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとることで、栄養をバランスよく摂取でき、ホルモンバランスが整いやすくなります。
和定食のイメージで食事をとると、栄養バランスが整いやすいです。
食事を抜くと、体のリズムが乱れやすくなり、エネルギー不足になる可能性があるので、きちんと3食とるようにしましょう。
対処法② 1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
ホルモンバランスを整えるためには、十分な睡眠時間を確保する必要があります。
毎日6~8時間程度、質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態になるように心がけましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法③ お腹を温める
お腹を温めると腹痛の緩和につながります。お腹にカイロをあてて患部を温めるとよいでしょう。
温かい飲み物を飲んで、体の中から温めることもおすすめです。
対処法④ ストレッチや軽い運動をする
PMSによる頭痛には、肩や首回りの筋肉をほぐし、血流をよくすることがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で、体をほぐしましょう。
ただし、体を動かしていて、ズキンズキンと血流に合わせて頭痛が起きたら、体を動かすのをやめて楽な姿勢で休みましょう。
病院に行く目安
体や精神面の不調によって「つらい」と感じているときは、医療機関の受診をおすすめします。
特に、
PMSのつらい症状が毎月起こる
日常生活や対人関係に支障が出ている
痛みや倦怠感が重く、仕事や学校を休むことがある
といった場合は、早めの受診をおすすめします。
PMSが悪化すると、脳機能のバランスを崩し、うつ病を発症するケースもあります。
心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
PMSの治療法
PMSで受診した場合、病院では飲み薬・低用量ピル・漢方薬などを用いて治療をします。
低用量ピルを使うと、生理前と後のホルモンの量の差を軽減できるため、PMSの症状がかなり楽になります。
ただし、妊娠を望んでいる場合には、低用量ピルが使用できないため、生活指導を中心とした治療になります。
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PMDD(月経前不快気分障害)
生理前に精神的不調が強く現れる場合をPMDDと言います。
症状の特徴
情緒不安定や抑うつ、不安、イライラ、眠気、睡眠障害など
婦人科の治療方法
婦人科では、それぞれの症状にあわせて、「カウンセリング・生活指導」「薬物療法」「漢方療法」「排卵抑制療法」を行います。
カウンセリング・生活指導
自身の症状の重さや頻度を知るために、症状日記をつけます。
その後、規則正しい生活・定期的な運動・カルシウムやマグネシウムの摂取・アルコールやカフェインなどの制限を行います。
薬物療法
精神安定剤・利尿剤・鎮痛剤などが処方されます。
漢方療法
当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遥散・桃核承気湯・女神散・抑肝散などが処方されます。
排卵抑制療法
排卵による女性ホルモンの変化が根本の原因であるため、排卵が起こらないようにすることで、女性ホルモンの変動をなくし症状を改善します。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)を使用します。
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「寝ても寝ても眠い…」
「病院へ行くべき?」
ストレスや更年期など、考えられる原因を解説します。
うつ病や過眠症など病気のサインかもしれないので、放置はNGです。
なぜ?寝ても寝ても眠い…
女性の眠気には、ホルモンバランスの変化・乱れが関係しているケースが多いです。
よくある原因としては、
ストレス
更年期
PMS(月経前症候群)
妊娠
などが挙げられます。
原因① ストレス
ストレスがたまると、自律神経の一つである交感神経が刺激を受けやすくなります。
これにより脳や体が興奮状態になると、睡眠の質が悪くなり、寝ても寝ても眠気を感じることがあります。
対処法は?
深呼吸(腹式呼吸)をすると、眠気が和らぐことがあります。
また、
規則正しい生活を送る
お酒を控える
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる
といった習慣を心がけると、症状の改善につながります。
原因② 更年期
閉経に伴って女性ホルモンの分泌量が低下すると、眠りが浅くなりやすいです。
そのため、寝ても寝ても眠くなることがあります。
更年期の症状は、40~50代の女性に多く現れる傾向があります。
対処法は?
強い眠気で仕事や家事に支障が出ている場合は、婦人科を受診してください。
受診すると、ホルモン補充療法や心理療法(カウンセリング)などで改善を図ってもらえます。
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原因③ PMS(月経前症候群)
排卵に伴って分泌が増加した女性ホルモンからは、眠気を引き起こす物質(アロプレグナノロン)が発生されます。
生理前3~10日の期間に、寝ても寝ても眠くなる場合は、PMSの可能性が高いです。
また、ホルモンバランスの乱れにより、夜間の睡眠が浅くなり、日中に強い眠気が起こりやくなるとも考えられています。
対処法は?
睡眠日記をつけて、月経周期と睡眠変化の周期性を確認する
月経前の日中は日光を浴び、昼と夜の違いを体に覚えさせる
といった対処が行えます。
ただし、改善が見られないときは、婦人科で相談しましょう。
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原因④ 妊娠
妊娠中(初期)は、ホルモンバランスが急激に変化するため、強い眠気が起こりやすくなります。
また、妊娠を継続するために必要な女性ホルモン(プロゲステロン)は、眠気を引き起こす作用があると考えられています。
対処法は?
深呼吸をする
足先を曲げたり伸ばしたりする
など一定の動きを繰り返しましょう。
覚醒に関与しているセロトニンの分泌を促すことができ、眠気の解消が期待できます。
注意!異常な眠気は病気サインかも
寝ても寝ても眠くなってしまう病気には
非定型うつ病
過眠症(ナルコレプシー)
が挙げられます。
病気① 非定型うつ病
「新型うつ」と呼ばれるタイプで、気分が落ち込んだ状態が続きますが、楽しい・好きなことがあると、とたんに元気になるという特徴があります。
しかし、好転は続かず、また沈んだ気分になるのを繰り返します。
寝ても寝ても眠くなるのはなぜ?
睡眠の質が悪く、熟睡できていない可能性があります。
そのため、いくら寝ても眠気が起こるという悪循環に陥っていると考えられています。
たくさん寝ているというより、起きることができずに、「仕方がなく横になっている」「寝ている状態」が続いている可能性もあります。
主な症状
いくら寝ても眠い
過食
体重が増加する
不安な気持ちになる
強い疲労感を覚える
手足が鉛のように重く感じる
夕方から不調になる
非定型うつ病の原因
遺伝的に不安定になりやすい体質
育ってきた環境
脳の視床下部(※)の機能低下
運動不足
心に余裕がない生活環境
※脳の視床下部…ストレスを感知し、自律神経やホルモンの分泌に関与している脳の組織
非定型うつ病は、20~30歳代の女性に多く見られる病気です。
また、周囲に気をつかいすぎる人、責任感が強い人、緊張しやすい人は発症リスクが上昇すると言われています。
病気② 過眠症(ナルコレプシー)
夜間、しっかり睡眠をとっているのに日中に強い眠気に襲われて、起きていることが難しくなる病気です。
寝てはいけない状況でも強烈な眠気に襲われ、自身も眠った事に気が付かず起こされる事があります。
1回の発作は数分のことが多いと言われていますが、数時間のこともあります。
1日に何度も起こる事もあります。
寝ても寝ても眠くなるのはなぜ?
脳内にある覚醒維持に関与している「オレキシン」という物質の低下により、いくら寝ても眠気が起こるようになると考えられています。
主な症状
日中に強い眠気が起こる
居眠りする
睡眠時間が10時間以上になる場合がある
怒ったり笑ったりした後、急に体の力が抜けるような感覚になる
夜間に何度も目を覚ます
頻繁に金縛りになる
過眠症(ナルコレプシー)の原因
感染症(溶連菌感染症、インフルエンザ)の後遺症
交通事故などでの頭のケガ
などが挙げられます。
10代の男女に発症しやすい傾向があります。
「病気かも…」と思ったら
強い眠気で病気を疑うときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
ただし、生理や更年期が関係していると思うときは、婦人科で相談してください。
放置すると、肉体的・精神的に追い込まれてしまうこともあります。
つらい症状を緩和させるには、原因の特定が大切です。
寝ても寝ても眠い方は、早めの受診をおすすめします。
▼強い眠気で病気を疑うときはこちら
心療内科を探す
▼生理・更年期について相談したいときはこちら
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
田辺三菱製薬株式会社 過眠症とは
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 女性の睡眠障害
一般社団法人 日本看護学校協議会共済会 連載「睡眠」