「ダニに刺された部分が治らない!」
なかなか引かない赤みやかゆみの“正しい対処法”を、お医者さんに聞きました。
悪化すると跡が残ってしまう恐れがあるため、きちんとケアしましょう。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
なぜ?ダニに刺されて治らない…
他の虫刺されと比べて、ダニの場合は皮膚の炎症が深部にまで渡るため、しつこいかゆみが出ます。
ダニ刺されの症状
- かゆみ
- 皮膚の赤み
- 野外のダニに刺されると、焼け付くような痛みを感じることもある
ダニに刺されやすい部位
太もも、わき腹、二の腕、陰部など、皮膚の柔らかいところ。
こんなダニに刺されませんでしたか?
▼家の中にいるダニ(ツメダニ、イエダニ等)
- 布団やカーペット、畳に生息(ツメダニ)
- ネズミに寄生しているダニに刺されることもある(イエダニ)
- 肉眼で見えにくい(体長0.3~1mm)
▼野外にいるダニ(マダニ)
- 草むらや森林などに生息する
- 肉眼で見えやすい(体長3~10mm)
これはNG!症状の悪化を招く3つの行動
早く治したい場合は、
この3つは避けるのがおすすめです。
掻きこわすと、赤みやかゆみが長引く恐れがあります。
また、長時間の入浴・運動を行うと、体を温まることでかゆみが強くなってしまいます。
早く治すにはどう対処すればいいの?
炎症を抑えるステロイド成分が配合されている市販の塗り薬を使いましょう。
また、一刻も早く治したい場合は、皮膚科に相談するのが良いでしょう。
皮膚科を受診する出ことで「本当にダニが原因なのか」の診断と、あなたの症状に合ったお薬の処方をしてもらえます。
野外でダニに刺されたら早めに皮膚科へ!
野外(森林や公園など)に生息するマダニに刺されると、重い感染症を引き起こすリスクがあります
マダニに刺されて感染症になると、
などの症状が現れます。
感染症にはつつが虫病、日本紅斑熱、ライム病が挙げられ、重症化すると命に関わるケースもあります。
散歩やキャンプの最中など、野外でダニに刺された場合は早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けましょう。
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なかなか跡が消えない…きれいに治す方法は?
ダニの跡をきれいに治したい場合は
- 刺された部分を日光に当てない
- 刺された部分に刺激を与えない
- 生活習慣を整える
の3つを実践しましょう。
次から詳しく解説します。
その① 刺された部分を日光に当てない
ダニに刺された部分は、紫外線に当たるとシミが残りやすくなります。
これは体の防御反応として、皮膚の弱っている部分にメラニン色素が多く排出されるからです。
外出時に日傘を差すなど、患部を日光に当てないようにしましょう。
その② 刺された部分に刺激を与えない
患部に刺激を与えると皮膚のメラニン排出量が高まるので、シミが残るリスクが高くなります。
また、刺激が多いとかゆみや赤みがぶり返すため、かゆみ止めを塗って患部を触らないようにしましょう。
その③ 生活習慣を整える
質の良い睡眠、栄養の整った食生活、適度な運動は、皮膚の回復を促すために必要です。
不規則な生活を送っている人は、生活習慣を見直しましょう。患部に炎症があるときこそ、自然治癒力を上げることが大切です。
また、皮膚の再生を促すたんぱく質、ビタミンCなどを、積極的に食事に入れましょう。
おすすめ食材
たんぱく質 |
肉類、魚、卵、乳製品、大豆製品 |
ビタミンC |
イチゴ、キウイフルーツ、ブロッコリー |
こんなときは皮膚科で治療しよう
- 患部の腫れや痛みがひどい
- 市販薬を使っても症状が治まらない
- 2、3日様子を見ても、改善が見られない
といった場合は、皮膚科を受診しましょう。
悪化すると傷がひどくなり、改善にさらに時間がかかるケースもあります。
また、ダニ刺されによる感染症は、命に関わる恐れがあるため注意が必要です。
発熱や倦怠感、頭痛を伴う場合は、早急に受診しましょう。
お医者さんにどう伝えたら良い?
- いつから症状がでているか
- 何か思い当たる原因はあるか
- 発症してからの症状の変化
- 自分で行った対処法
など説明しましょう。
皮膚科ではどんな治療をするの?
塗り薬・飲み薬を処方し、患部の炎症やかゆみの改善を図ります。
シミ(色素沈着)になりそうな場合は、ホワイトニングの薬などを処方できます。
なお、ホワイトニングの薬には保険が適用しないケースもあるため、希望する治療法を医師と相談しましょう。
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2021-08-23
「虫刺されが一年以上治らない…!なぜ?」
「ずっとカサカサしている」
それは、ただの虫刺されではなく「結節性痒疹」が原因かも。
症状の特徴や治療法について、お医者さんが解説します。
虫刺されが1年以上治らない…なぜ?
虫刺さされが一年以上も治らない場合、「結節性痒疹」になっている可能性があります。
この症状は、ブヨや蚊に刺されて発症するケースが多いです。
結節性痒疹の「症状の特徴」
虫に刺された部分が硬いしこりになる
しこりが盛り上がる
カサカサと乾燥した状態になる
強いかゆみがある
結節性痒疹に「なりやすい人」
アレルギー体質の人
アトピー性皮膚炎の人
妊婦(妊娠性痒疹)
結節性痒疹の原因はっきりとはわかっていませんが、虫さされによるアレルギー反応で発症すると考えられています。
また、妊娠や病気(糖尿病・アトピー性皮膚炎・肝疾患など)が影響して発症する場合もあります。
セルフケアで治せる?病院行くべき?
結節性痒疹は、自己判断でセルフケアを行うと悪化してしまう可能性が高いです。
医療機関を受診しましょう。
処方薬を医師の指示に従って使用することで、症状の改善が期待できます。
病院は何科?
虫刺されが1年以上も治らない場合は、皮膚科を受診しましょう。
結節性痒疹はかゆみが強いので、かきむしると皮膚の損傷や色素沈着などが発生しやすいです。
早めに医療機関で治療を受けて、重症化しないようにしましょう。
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どんな治療を受けるの?
湿疹部分にステロイド外用薬を塗ったり、光線治療(※)を行ったりします。
かゆみが強いときは、抗ヒスタミン剤を使用します。
抗ヒスタミン剤は飲み薬が基本ですが、かゆみが引かない場合には注射での投与も検討されます。
※光線治療とは
患部に光を当てる治療方法です。
ゆっくりと効果があらわれて、長期間に渡って痒みや湿疹を抑えることができるのが特徴です。
光線治療で改善が見られる場合、ステロイド外用薬の使用量や使用期間を減らすこともできます。
どのくらいで治る?
結節性痒疹が快方に向かう日数は個人差が大きく、一概には言えません。
数ヶ月から年単位での治療が必要になる人もいます。
痕を残さずきれいに治すことは可能?
どの程度きれいに治るかは個人差がありますが、通常は皮膚のターンオーバーによって次第に痕が薄くなっていきます。
しかし、かきむしってしまうと皮膚に損傷が起こり、ずっと痕が残ってしまう恐れがあります。
痕に残したくないのであれば、適切な治療を受けてかき壊しを防ぐことが大切です。
早く治すために注意すること
汗をかいたらすぐに洗い流し、薬を塗る
皮膚を清潔に保つ
7~8時間は睡眠時間を確保する
栄養バランスの良い食事を心掛ける
免疫力が低下すると、症状が悪化しやすい傾向があります。
「正しい治療」が早く治す近道
決められた容量や回数を守って薬を使用し、きちんと通院するのが、痕に残らず早く治る近道です。
長い治療が必要な疾患ですが、治療をやめないで続けることが重要です。
つらいことは医師に相談しながら、治療を継続させましょう。
治療をやめてしまった途端に、症状がもとに戻ったり悪化することも少なくありません。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本皮膚科学会ガイドライン 痒疹診療ガイドライン2020
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2021-08-30
「ステロイドを塗っているのに湿疹が治らない…」
「塗り続けても大丈夫?」
湿疹にステロイドが効かない原因を医師に聞きました。
どう対処すればいいのかも解説します。
湿疹にステロイドが効かない…一体なぜ?
ステロイドを塗っても湿疹がよくならない場合、
薬の量が足りず、患部全体に塗れていない
そもそもステロイドが適応する湿疹ではない
体調不良や何らかの皮膚炎が進行している
冬場の乾燥、夏場の汗・湿気などで湿疹が悪化している
医師の指示、もしくは説明書通りに薬を塗れていない
といったケースが考えられます。
よくあるのが、「薬の量が少なすぎて、皮膚をこすっている」「薄くのばしすぎて塗れていない箇所がある」と治らないことがあります。
また、ステロイドを怖がり、自己判断で使用を中断した期間がある場合も、湿疹が治りにくくなります。
どう対処すればいい?
まずは「塗る量は足りているか」「湿疹の範囲全体に濡れているか」を確認してください。
ステロイドは、「決められた期間、使用量を守って使用すること」で効果が得られます。
使用説明書通りに、必要量を湿疹全体に塗ってください。
朝晩と2回塗るように指定があるものは、入浴の後と朝に塗りましょう。
\ステロイドは危険じゃない!/
ステロイドは正しく使用すれば、副作用を気にすることなく使用できる安全な薬です。
「患部が黒くなる」「皮膚が薄くなる」「効きが悪くなる」ということはないので、ご自身の判断で塗る量を減らすのはやめましょう。
正しく使用しても改善しないときは…
市販のステロイド剤を使っている場合
市販薬を数日間使っても良くならない・悪化したという場合は、すぐに使用をやめて医療機関を受診しましょう。
市販のステロイド剤を使用している場合、薬があっていないことも多いです。
処方されたステロイド剤を使っている場合
薬の塗り方や量を、再度医師に確認してください。
徐々に快方に向かうこともあるので、何度か通院し診察してもらいましょう。
こんな症状が出ていたら、すぐ皮膚科へ
湿疹が増えている
赤みやかゆみが強くなっている
その他、不調が悪化している
という場合は、早急に皮膚科を受診しましょう。
湿疹の原因が感染症だった場合、人にうつしたり、感染が広がることもあります。
病院で医師に伝えること
皮膚症状はいつから出ているか
今までに同じような皮膚症状が出たことはあるのか
今までに皮膚症状が出たことがある場合、どれくらいで快方に向かったか
今までに皮膚症状が出たことがある場合、医療機関を受診したか
今までにかかったことのある病気
アレルギーがあるかどうか
処方薬を指示通り使用しているか(休んだ期間があればその日にち)
薬の塗り方・量は適量だったか
上記の点を、医師に伝えましょう。
可能な限り詳しく伝えることで、診断がスムーズになります。
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病院では、どんな処置を受ける?
皮膚の症状には、触診や視診といった診察を行います。
必要であれば、アレルギー検査・真菌検査・パッチテスト・細胞診検査なども行います。
治療では、症状に合わせて軟膏・保湿剤・飲み薬を処方します。
早く治すための「6つのセルフケアポイント」
皮膚を清潔に保つ
毎日入浴し、肌は手で優しく洗浄する
洗浄の際は、刺激の少ない石鹸で、よく泡立てて使用する
薬を塗る前に、処方以外の薬や保湿剤を塗るのはやめる
薬を塗った箇所は、極力触らない
医師の指示通りの期間・用量を守って薬を使用する
お肌の不調を改善するには、日頃のセルフケアが大切です。
上記の6つポイントを心がけて、皮膚の回復をサポートしましょう。
生活面で気になる点があれば、医師に相談することをおすすめします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎 Q9ステロイド外用薬はどのようにつければ良いのでしょうか?