「足首や足の一部が急に熱くなる…。これはなぜ?」
それは“下肢静脈瘤”や“むずむず足症候群”が原因かもしれません。
対処法や病院へ行くべき症状をお医者さんに聞きました。
病院で行われる治療法も解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?足の一部が急に熱くなる…
足に血液が溜まったり、ふくらはぎの筋肉の緊張によって血行不良になったりすることで、足の一部が急に熱くなることがあります。
症状が一時的なもので何度も繰り返さない場合は、一旦様子を見てもいいでしょう。
特に、こんな症状はすぐ病院へ!
- 激しい痛みがある
- 腫れている
- 発疹がでる
- 赤みがある
- しびれる
- 眠れないほどの熱くなる
という場合は、皮膚表面の異常や、細菌感染などを起こし、接触性皮膚炎、蜂窩織炎などを起こしてしまっている可能性が高いです。放置せずに早急に医療機関を受診してください。
受診するのは何科?
足の一部が急に熱くなるときは、まず内科・循環器内科を受診してください。
早めに治療をすることで、症状の重症化を予防しやすくなります。
重い病気の早期発見にもつながるよう、足に違和感を覚えたら医療機関の受診をおすすめします。
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考えられる2つの病気
足の一部が急に熱くなるのは、
- 下肢静脈瘤
- むずむず足症候群
といった病気が原因だと考えられます。
病気① 下肢静脈瘤
足の静脈にある血管が静脈弁の機能不全などで逆流して太くなり、コブのように浮き上がってくる状態です。
これにより、ふくらはぎが熱くなることがあります。
下肢静脈瘤の症状
- 足がだるい
- 足が火照ったように熱く感じる
- 足の腫れ、むくみ
- 足が重い
- こむら返りを起こしやすくなる
- 足の静脈瘤が腫れ上がる(血栓性静脈炎)
- 足の皮膚が黒っぽい色に変色する
- 足にかゆみを伴う湿疹ができる(うっ滞性皮膚炎)
どんな人に多い?
女性に多くみられる病気で、加齢に伴い患者が増加する傾向があります。
下肢静脈瘤は、
などによって、足の血管の弁に負荷がかかることで発症すると言われています。
自分でできる対処法は?
- 長時間の立ち仕事を控える
- 長時間、同じ姿勢で座らない
- 着圧タイプの弾性ストッキング、ソックスを使用する
- ふくらはぎのストレッチを行う
といった対処で、症状が和らぐ場合があります。
ふくらはぎの簡単ストレッチ
<立っている場合>
1日トータル5分〜30程度、つま先立ちになってみましょう。
※無理のない範囲で始めましょう。
<座っている場合>
つま先とかかとを交互に上げ下げしてみましょう。(各10回ほど)
病院を受診する目安
- セルフケアを1週間ほど行っても症状が良くならない
- 足のむくみがひどい
- 痛み、かゆみがある
- 皮膚炎を起こしている
- 潰瘍が生じている
- 血管が浮き出て、見た目が気になる
という場合は出ている場合は医療機関を受診してください。
病院は何科?
下肢静脈瘤の症状があらわれているときは、循環器内科・心臓血管外科を受診してください。
病院での治療法
レーザー治療(血管内焼却)・硬化療法・カテーテル治療などが行われるケースが多いです。
一度改善しても再発する場合があります。定期的に医療機関を受診しましょう。
レーザー治療(血管内焼却)
レーザーをあてて静脈を焼き、ふさぐ方法です。
症状により個人差がありますが、日帰り手術も可能です。
硬化療法
静脈瘤に「ポリドカノール」というアルコールの一種の硬化剤を直接注射する治療方法です。血管を硬くして、こぶをなくします。
症状により個人差がありますが、日帰り手術も可能です。
カテーテル治療
カテーテル治療とは細い管を静脈の中に入れ、血管内を焼き、ふさぐ方法です。
3日ほど入院が必要になることがあります。
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病気② むずむず足症候群
安静な状態の時(横になっているとき・じっとしているとき等)に、足に強い不快感が起こる状態です。
発症原因ははっきりわかっていませんが、脳内神経伝達物質であるドーパミンの機能異常や鉄分不足等が関与している場合があると考えられています。
むずむず足症候群の症状
- 足が火照るように熱くなる
- 足の中に何かが入っているようにむずむずする
- 足がかゆいような、痛いような感覚になる
- 眠れない
どんな人に多い?
女性に多くみられ、加齢により発症リスクが高まります。
また、
- 妊娠
- 睡眠障害
- 糖尿病
- 腎不全(透析)
- 関節リウマチ
などが原因となって発症するケースもあります。
自分でできる対処法は?
- ウォーキングなどを行い、毎日体を動かす
- 寝る前に足をマッサージして筋肉をほぐす
- アルコールやカフェインを過剰摂取しない
- 禁煙する
などの対処で、足の不快感が和らぐことがあります。
病院を受診する目安
- セルフケアを行っても日常生活に支障がでている
- 足の不快な症状が昼間にも出現する
- 不眠が続く
- 足以外にも腕や背中に同様の出現をしたり、だるいというような症状が出現している
という場合は、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
むずむず足症候群の症状があらわれている時は、内科・脳神経内科を受診してください。
病院での治療法
医療機関では、ドーパミン系薬剤(飲み薬・貼り薬)、非ドーパミン系薬剤(飲み薬)、鉄剤(飲み薬)等の薬を用いた、「薬物療法」が行われるケースがあります。
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2021-03-16
「なぜか、足がじわーと熱くなる…」
「更年期?それとも他の病気?」
どんな原因が考えられるのか、お医者さんに聞きました。
自分でできる対処法もご紹介します。
足がじわーと熱くなる…大丈夫?
足がじわーっと熱くなるのは、血行不良や身体の冷えが原因の可能性が高いです。
冷えた身体を温めようと、血行を良くする体の反応の過程で足が熱くなることがあります。
眠りに落ちる前などに手や足が暖かくなるのは生理現象なので、特に心配はいりません。
しかし、熱さに加えて
足がむずむずする
脚が落ち着かない
などの他の症状もある場合は、病気が潜んでいる可能性もあり、注意が必要です。
足が熱くなる2つの原因
足がじわーと熱くなるのは
更年期障害
むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)
が原因となっているケースが多いです。
原因① 更年期障害
更年期は女性ホルモンの急激な減少によって、様々な体の不調が起きる時期を意味します。
のぼせ・ほてり・イライラなどいろいろな症状がありますが、足のほてりもその一つです。
閉経を迎えるにあたり、女性ホルモンの分泌が急激に減ることが原因で、体にいろいろな症状が現れます。
なりやすい人
40~50代の閉経を迎える頃の女性が発症します。
一般的に閉経を迎えるのは50代ごろですが、その閉経前後5年ほどに更年期となる人も多いです。
更年期障害の症状
全身がほてる
イライラする
汗をかきやすくなる
頭痛が起きる
腰痛が起きる
しびれる
めまいが起きる
不安感が増す
不眠になる
皮膚にかゆみが出る
ドライマウスになる など
自分でできる対処法は?
「生活リズムを正す」「適度な運動」「質の良い睡眠を取る」ことを意識しましょう。
更年期障害の対処法
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝る
太陽を浴びる
寝る1時間前からパソコンやスマートフォンを触らない
ぬるめのお風呂にゆっくりつかる
1日20~30分程度、散歩する
1日30分ほど、ウォーキングなど適度な運動を行う
ストレスを溜めない
※ただし、1ヶ月ほど対処法を行っても足が熱くなる場合は、脳神経内科など病院を受診してください。
※更年期の症状が強い場合は婦人科をおすすめします。女性ホルモンに似たホルモンを補充する治療や漢方など、患者さんに合った方法で治療していきます。
原因② むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)
鉄分不足・糖尿病・一時的な神経伝達がうまくいかないなどが原因で、足のほてりやむずむずと落ち着かない症状が現れます。
はっきりとした原因はまだわかっていません。鉄分不足・糖尿病・遺伝などが関係していると考えられます。
なりやすい人
鉄分不足の人
妊婦
糖尿病の人
家族がむずむず脚症候群を発症した人
女性
むずむず脚症候群の症状
脚がむずむずして眠れない
脚が痙攣する
チクチクする
痛みを感じる
だるさを感じる
イライラする
虫が這っている様に感じる
自分でできる対処法は?
「規則正しい生活を送る」「鉄分を補給する」「眠る前に軽いストレッチ」を行いましょう。また脚同士をこすり合わせたり、さすったりすると楽になる場合もあります。
鉄分が多い食べ物
レバー
牡蠣
あさり
大豆
木綿豆腐
豆乳
小松菜
ほうれん草
切り干し大根
自分できる対処法を1ヶ月程度行っても症状が良くならない場合は脳神経内科へ行きましょう。
鉄分を補う薬・むずむずを和らげる薬などが処方されます。
糖尿病など基礎疾患がある場合は病気の治療を行います。
カフェインやアルコールはNG
カフェイン・喫煙・アルコールなどの刺激物質の摂取は、むずむず脚症候群の症状を強くするので控えましょう。
就寝前の激しい運動も症状を悪化させる可能性があるので、控えてください。
早期受診のメリット
早めに病院で検査を受けて原因を突き止めることで、短期間で治療していくことが可能になります。元々ある基礎疾患が原因だった場合も、早期発見に繋がります。
病院は何科?
足がじわーっと熱くなるときは、脳神経内科を受診しましょう。
※更年期の症状が強く現れているときは、婦人科の受診をおすすめします。
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▼参考
日本神経治療学会 標準的神経治療レストレスレッグ症候群
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2020-12-16
むずむず脚症候群は、何科で受診すれば良いの?
相談できる診療科に加え、原因や対処法も解説します。
おすすめの食材や、控えるべき行動をチェックしましょう。
むずむず脚症候群は何科に行けばいい?
脳神経内科、もしくは内科を受診しましょう。
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むずむず脚症候群の「原因」
むずむず脚症候群には
生活習慣の乱れ
鉄分不足
なんらかの病気
が原因として考えられます。
特に女性は、生理中や妊娠期に発症しやすいです。
「病気」が隠れている可能性も…
むずむず脚症候群には、重い病気が隠れている可能性もあります。
<むずむず脚症候群を引き起こす病気>
糖尿病
慢性腎不全
パーキンソン病
関節リウマチ
など
症状が気になる場合は、早めに受診しましょう。
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病院ではどんな治療をするの?
薬物療法、生活指導によって改善を図ります。
また、原因疾患がある場合には、その病気の治療も併せて行います。
<治療で使用する薬>
鉄分を補給する薬
けいれんを抑える薬
神経伝達物質を抑える薬
これらの薬を、症状に合わせて処方します。
どれくらいの期間で治る?
症状の改善には、少なくとも2週間以上必要です。
※個人差があるため、症状が長引く方もいます。
早く治すためにできること
食事で鉄分を摂取
むずむず脚を治すには、鉄分を積極的に摂取することが大切です。
\おすすめ食材/
鉄分
赤身肉、マグロ、あさり、ほうれん草 など
睡眠改善
規則正しい睡眠によって、症状が改善することもあります。
眠る前に脚をマッサージすると良いでしょう。
適度な運動
ウォーキングを1日30分程度行いましょう。
適度な運動は、むずむず脚症候群の改善を促します。
脚を温める、冷やす
症状が出たら脚を温めるか、冷やしましょう。
どちらが適しているかは個人差があります。
ご自身に合う方法を採用してください。
これはNG!治りが遅くなる行動
食後・就寝前のカフェイン摂取
カフェインは鉄分吸収を妨げるうえ、眠りを浅くしてしまいます。
コーヒーやチョコレートは、しばらく控えましょう。
過度の飲酒・喫煙
過度の飲酒と喫煙は、むずむず脚症候群を悪化させます。
お酒は適量を心がけましょう。
タバコは血流停滞を引き起こすため、禁煙をおすすめします。
食物繊維の摂りすぎ
食物繊維の大量摂取は、鉄分吸収を阻害します。
食べすぎないように気をつけましょう。
<食物繊維を多く含む食材>
玄米、大豆、キャベツ、白菜、イモ類、かんきつ類 等
早期の治療がオススメ。放置すると…
病気が隠れていた場合、放置すると悪化する恐れがあります。
むずむず脚には、糖尿病や慢性腎不全といった命に関わる病気も考えられます。
症状でお困りの方は、早めに病院を受診しましょう。
▼参考
一般社団法人 日本小児神経学会 むずむず脚症候群について教えてください
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。