最近、体の調子が悪い…。
生理不順が続いている…。
それは、エストロゲン不足のサインかもしれません。
「エストロゲン不足になると出る症状」を、お医者さんに聞きました。
不足しやすい人の特徴や、エストロゲンの分泌を整える生活習慣についても解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
エストロゲン不足で出る症状って?
- 顔のほてり
- 発汗
- 息切れ
- 耳鳴り・めまい
- 頭痛
- 疲れやすい
- 体が冷えやすい
- 寝付きが悪い・眠りが浅い
- イライラしやすい
- 不安感に襲われる
「エストロゲン」の分泌が少ない場合、上記のような症状があらわれることがあります。
エストロゲンの不足によってホルモンバランスが崩れて、心身に様々な影響を与えるからです。
エストロゲン不足が続くと…
エストロゲンは血管をしなやかに保つ働きがあるため、症状を放置すると動脈硬化が進んで「心筋梗塞」「脳梗塞」などの病気を起こしやすくなります。
また、エストロゲンには骨を丈夫にする働きもあるため、エストロゲン減少による症状を放置すると、将来的に「骨粗しょう症」のリスクが高くなります。
エストロゲン不足かも…病院に行くべき?
病院に行くべきかの判断は、まず月経の有無が大切です。エストロゲンが極端に不足すると、月経がこなくなります。無月経が続く場合は、すぐに病院へ相談しましょう。
その他、
- 不正出血(生理以外の膣からの出血)
- 憂鬱な気分が続く
- 不眠
などの症状がある場合も、医師に相談してください。
「婦人科」で受診しましょう。
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なぜ?エストロゲンが不足する原因
20代~30代でエストロゲンの分泌が不足する場合、
- 職場・人間関係・家庭内でのストレス
- 過度なダイエット
- 激しい運動
などの影響が考えられます。
上記によって心身に負担が大きくかかると、自律神経が乱れて、エストロゲンの分泌量の低下につながります。
心当たりは?エストロゲンが不足しやすい人の特徴
- 低血圧・朝すっきり起きられない
- 冷え性
- 月経不順
- 生理痛がひどい
- 生活習慣が不規則
- 何でも思い悩む
- 神経質
- ストレスを溜め込みやすい
- 人間関係に問題を抱えている
上記に5つ以上当てはまる場合、エストロゲンが不足しやすいと言えます。
エストロゲンの分泌を整える「5つの習慣」
エストロゲンの分泌を促すには、食生活・睡眠・運動などが重要になってきます。
普段から、
- 6~8時間程度の質の良い睡眠をとる
- 1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
- 15~30分程度の軽い運動を定期的に行う
- ストレスをこまめに発散する
- 漢方を取り入れる
といったことを意識して生活しましょう。
おすすめ習慣① 1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとり、バランス良く栄養を摂取しましょう。
特に、「大豆製品」や「ビタミンB6を含む食品」がおすすめです。
大豆には女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」が多く含まれています。
即効性はありませんが、イソフラボンは、ホルモンバランスを整えるサポートをしてくれます。
また、「ビタミンB6」はエストロゲンの代謝に関与しており、ホルモン分泌を助けると言われています。
過度のダイエット(食事制限)や暴飲暴食は、ホルモンバランスの乱れにつながるので、控えましょう。
\イソフラボン・ビタミンB6を豊富に含む食品/
おすすめ習慣➁ 6~8時間程度の質の良い睡眠をとる
女性ホルモンのバランスを整えるには、十分な睡眠時間を確保することが重要です。
6~8時間程度の質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。
朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態であれば、「睡眠が足りている」と判断できます。
“深い眠り”を得るためのポイント
- 朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
- 昼寝は15時までに30分以内にする
- 夜は11時(遅くとも12時)には寝る
- 夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
- 夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
- 飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
- 就寝の2~3時間前に入浴する
- 就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
おすすめ習慣③ 15~30分程度の軽い運動を定期的に行う
週3~5日(毎日でもOK)、1回15~30分程度を目安に、
等の軽い運動を行いましょう。
血行が改善されるため、脳や生殖器等の活性化につながり、ホルモン分泌が促進されると考えられています。
なかなか運動の時間が取れない場合は、仕事や家事、勉強の合間にストレッチをしたり、テレビを見ながらスクワットをしたりして、スキマ時間を活用するのもおすすめです。
おすすめ習慣④ こまめにストレスを発散する
過剰な精神的・身体的ストレスは、ホルモン分泌に悪影響を与えると考えられています。
できるだけストレスを溜め込まないよう、上手に発散する方法を身に付けましょう。
「ストレス発散方法」の例
- 熱中できる趣味を持つ(ガーデニング・映画鑑賞など)
- 生活の中に、好きな香りを取り入れる
- 湯船に浸かってリラックスする
- 外で日光浴をする
- 好きな物を食べる(過食はしない)
- 旅行に行って、気持ちをリフレッシュさせる
- ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を習慣にする
おすすめ習慣⑤ 漢方を取り入れよう
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
- 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
などの漢方は、ホルモンのバランスを整えるのに役立つと考えられています。
漢方を取り入れる場合は、服用回数や注意点について、必ず薬局の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
また、医療機関で受診して、医師から症状に合った漢方を処方してもらうことも可能です。
※漢方の効果には個人差があります。
不安な症状は婦人科で相談を
エストロゲン不足を感じている方や、不調がなかなか改善しない方は、一度婦人科で相談してみるといいでしょう。
医師に症状を伝えるポイント
- 具体的な症状
- 症状が出始めた時期
- 症状が強くなるタイミング
- 月経周期
- 過去にかかったことのある病気
- 生活習慣
受診の際は上記の点を医師に伝えられるようにしておくと、スムーズな診察に役立ちます。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2022-05-30
「生理がきそうでこない…」
それはホルモンバランスが乱れやストレスが原因かもしれません。
生理が遅れているときの対処法をお医者さんに聞きました。
ツボ押しの方法なども詳しく解説します。
生理がきそうでこない…どうすればいい?
お腹や腰が重い感じがして、そろそろ生理がきそうなのに、なかなか出血がありません。どうすればいいのでしょうか?
生理前の兆候があるのに生理がこない時は、ストレスをためずにリラックスして過ごしましょう。
心身ともに安定した状態でいると、生理がきやすくなります。
生理のことを意識しすぎると、生理が遅れることがあります。
気になると思いますが、意識せずに過ごしましょう。
生理が遅れる時に行う3つのセルフケア
体を温める
ツボを押す
リラックスして過ごす
といったケアで体調を整えると、生理がきやすくなります。
その① 体を温める
38~40度程度のお風呂につかり、体を温めましょう。
熱いお湯に長時間入るとのぼせるので、ぬるめのお湯にゆっくりとつかってください。
体を温めることで血流が良くなり、生理がきやすくなります。
体が冷えていると月経不順にもなりやすく、生理の遅れにつながる場合があります。
心身ともに安定した状態にするには、体を温めることが大切です。
\「厚着」はNG!/
厚着は体を締め付けてしまう場合もあるので、おすすめできません。
その② ツボを押す
リラックスした状態で呼吸を整えて、「合谷」「湧泉」などツボを押しましょう。
ツボを刺激することで血の巡りが良くなり、体を温めることにつながります。
また、体に刺激がいくため、ストレスを緩和できるとも言われています。
合谷(ごうこく)
親指と人差し指の間にある「合谷(ごうこく)」というツボを押しましょう。
ストレスを緩和させる働きがあるツボです。合谷を押して平常心を取り戻しましょう。
手のツボは押しやすいので、手軽なケアとしておすすめです。
湧泉(ゆうせん)
ツボ押しに慣れてきたら、足の裏にある「湧泉」というツボを押しましょう。
足の指を曲げたときにできる“くぼみの部分”にあるツボです。生理周期を整えるツボと言われています。
その③ リラックスして過ごす
自分の好きなことを行い、体の力を抜いてリラックスする時間を設けましょう。
生理のこと気にしすぎると、ストレスを感じて余計に遅れてしまうことがあります。
体調を整えるためには心を穏やかにすることも大切です。
リラックスした状態でいると、ホルモンバランスが安定しやすくなります。
生理がきそうでこないのはなぜ?
妊娠でもなく、閉経でもない場合、
ホルモンバランスの乱れ
多嚢胞性卵巣症候群
甲状腺の病気
などの原因で生理が遅れることがあります。
原因① ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量のバランスが崩れると、生理周期がズレてしまうことがあります。
発症にキッカケには
過度なストレス
睡眠不足
偏った食生活
過度なダイエット
激しいスポーツ
などが挙げられます。
若い世代では過度なダイエットをする人に多く見られます。
特にストレスを感じやすい人は、一時的に生理が遅れたり、生理周期が乱れたりしやすいです。
こんな症状が出ることも…
下腹部痛
情緒不安定
胸の張り
頭痛
倦怠感
吐き気
ホルモンバランスの乱れかも…どうすれば?
ストレスをためずに、規則正しい生活を送りましょう。
自分の体の状態を把握するためにも、基礎体温の記録をつけましょう。
ご自身の状態がわかれば不安がなくなり、生理がくることもあります。
\自己判断での薬の服用は控えよう/
自己判断で市販薬や漢方薬を飲むのは、できるだけ控えてください。
体に合わずに悪影響となる場合があります。
気になる症状がある場合は、自分で判断せず医療機関を受診しましょう。
原因② 多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群は、排卵周期に異常をきたす病気です。
月経周期が長くなったり、順調だった月経周期が突然不規則なったりします。
10代~30代に多く見られる病気です。
ホルモンバランスが崩れ、男性ホルモンが多く分泌されることで発症します。
こんな症状が出ることも…
肥満
にきびができる
血糖値の上昇
多嚢胞性卵巣症候群かも…どうすれば?
残念ながらご自身でできる対策はありません。
生理がなかなかこず、月経周期が長くなってきたと感じる場合は、すぐに婦人科で受診しましょう。
多嚢胞性卵巣症候群をはじめとする婦人系の病気は医療機関での治療が必要です。
治療内容は?
医療機関ではホルモン療法を行います。
具体的には、排卵誘発を促すクロミフェン(経口薬)を内服したり、ゴナドトロピン療法(注射薬)をおこないます。
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原因③ 甲状腺の病気
甲状腺の機能は活発すぎても低下しても、生理や生殖機能に影響します。
甲状腺の病気は、免疫機能に異常が発生することで発症します。
甲状腺の病気でもバセドウ病は、20~30代の若い女性に多く見られる病気です。
同じく甲状腺の病気である橋本病は、40歳以上の女性に多く見られます。
こんな症状が出ることも…
体温が上がる
頻脈
情緒不安定
下痢
むくみ
甲状腺の病気かも…どうすれば?
甲状腺の病気はセルフケアで改善することはありません。
薬での治療が必要なので、まずは医療機関へ相談しましょう。
「生理が来ない」ときは婦人科で相談を
目安として月経が60日以上遅れている場合は、婦人科を受診しましょう。
生理が来ない以外にも、腹痛など気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。
受診の際、基礎体温を記録している場合は、持参してください。
その他に腹痛や吐き気などの症状がある場合は医師に伝えましょう。
また、婦人科を受診する際は、検査で触診することがあります。
着替えやすいようスカートのような上下別れた服がおすすめです。
どんな治療をするの?
低用量ピルを服用し、月経周期を正常に整える場合があります。
それでも、月経不順の場合は別の薬でホルモンバランスを整えます。
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2022-03-31
「生理不順が続いて太りやすくなった気がする」
「ホルモンバランスの乱れが原因?」
ホルモンバランスの乱れで太るのか、栄養士さんに聞いてみました。
生理不順の人におすすめのダイエット方法も解説します。
ホルモンバランスと体重の関係
ホルモンが持つ働き
多く分泌されると…?
エストロゲン
脂質の代謝を促す
精神状態の安定、機嫌がよくなる
痩せやすい
プロゲステロン
体内に水分を溜め込む
食欲旺盛になる
太りやすい
女性ホルモンのバランスが乱れると太りやすくなることがあります。
これは「プロゲステロン」の分泌が多くなり、むくみや食欲が増進するために起こります。
なお、ホルモンバランスが乱れていない通常時でも、「プロゲステロン」は排卵~生理前の期間に多く分泌されます。
そのため、特に生理前は「太った」「食欲が止まらない」と感じやすいです。
エストロゲンは多いほどいい…わけではない!
エストロゲンは痩せやすい点がメリットですが、過剰な分泌はホルモンバランスの乱れにつながり、生理不順・不正出血を起こすリスクがあります。
また、分泌量が多いと乳がんになるリスクが高くなるともいわれています。
あくまでも「バランスのとれた状態」で正常に分泌されることが大切なのです。
生理不順=ホルモンバランス崩れのサイン
生理不順の主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。
特に、
ストレスが多い人
食生活が乱れている人
生活リズムが乱れている人
40代以上の人
などは、ホルモンバランスの乱れによって、生理周期が不安定になりやすいです。
「生理不順があって、体重の増加も気になる…」という方には、ホルモンバランスを整えてみることをおすすめします。
ダイエットSTEP①「生活リズムを整えよう」
ホルモンバランスを安定させるには、食事や睡眠の見直し、ストレス対策などを行うことが大切です。
生理不順の方には、
3食バランスのよい食事を摂る
質のよい睡眠を7~8時間とる
規則正しい生活リズムに整える
ストレスを抱え込まない
などの対策をまずおすすめします。
方法① 3食バランスのよい食事を摂る
1日3食、栄養バランスのよい食事を摂りましょう。
和定食をイメージして副菜・主菜・主食を揃えると、バランスが整いやすいです。
糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルをきちんと摂ると、体が上手く働いて代謝のサポートやホルモンバランスの安定につながります。
朝ご飯を食べる習慣がない人は、まずは朝何か食べることから始めましょう。
方法② 質のよい睡眠を7~8時間とる
寝つきをよくする方法
就寝の2~3時間前に入浴する
スマホやPCの使用を控える
質のよい、十分な睡眠を確保しましょう。
特に「夜更かししてしまう人」は毎日の就寝時間を決めると、睡眠時間を確保しやすくなります。
女性ホルモンの分泌と自律神経は、脳の同じ部分で調整されるため連動します。
質のよい睡眠で自律神経が整えられると、女性ホルモンの分泌も安定しやすいです。
一方「睡眠不足」は、食欲を増進させるホルモンを分泌させて過食につながるので避けましょう。
方法③ 規則正しい生活リズムに整える
規則正しい生活リズムに整えましょう。
できる限り毎日の就寝・起床時間を同じにして、同じ時間に食事をとりましょう。
生活リズムを確立することによって、体内時計が安定します。
体内のホルモン分泌や代謝も規則的になるため、ホルモンバランスも整うようになります。
方法④ ストレスを溜め込まない
ストレス発散方法の例
友達とおしゃべりをする
ウォーキングやヨガなどの軽い運動をする
熱中できる趣味の時間を作る
できる限りストレスを溜め込まない、発散するようにしましょう。
自分なりのストレス発散方法を持つとコントロールしやすくなるでしょう。
ストレス過多は、自律神経の乱れにつながります。
ストレスを感じたら解消する習慣をつけることで、自律神経も乱れにくく、ホルモンバランスも安定しやすくなります。
STEP②「軽めの運動を継続しよう」
バランスのよい食事をベースに「軽めの運動」を習慣づけて、カロリーを消費させましょう。
ランニング
ジョギング
ウォーキング
などを1日20分以上行うと、脂肪燃焼効果があります。
ダイエットの基本は、「摂取カロリーよりも消費カロリーが多い」状態を維持させることです。
まずは「ウォーキング」などの継続できそうな運動から始めてみましょう。
また、習慣的に体を動かしていると筋力が増えて「基礎代謝」も高くなり、ダイエットの効果が出やすくなります。
生理後1週間がダイエットチャンス!
生理後1週間は“ホルモンバランスが安定しやすい”ため、ダイエットの効果を実感しやすいです。ぜひ、この期間から始めてみましょう。
【逆効果】こんなダイエットはNG!
糖質や脂質を“極端に制限”するダイエットは、控えましょう。
過度なダイエットを行うと、栄養不足によって生理不順が悪化したり、筋肉量が減って痩せにくい身体になるリスクがあります。
▼参考
日本末病システム学会雑誌「エストロゲンの肥満抑制作用について」
和田努「エストロゲン・プロゲステロンによるインスリン抵抗性」
公益財団法人神戸医療産業都市推進機構、国立大学法人京都大学「新しい乳癌誘導系でエストロゲンによる発癌メカニズムの一端を解明」
岩崎基「これだけは知っておきたいリスク要因と予防要因 最終回乳がん」
「食欲調整ホルモン(レプチン、グレリン)と睡眠時間・睡眠の質との関係」体力・栄養・免疫学雑誌(JPFNI)第25巻第1号,2015年. 日本医師会 〈 注意喚起 File.1 〉