お風呂上がりに、いつも鼻水やくしゃみが出る…。
これって寒暖差アレルギー?
お風呂上がりに寒暖差アレルギーが出やすい理由について、お医者さんに聞きました。
花粉症・風邪との見分け方や、アレルギー症状の予防法も紹介します。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
お風呂上がりの「鼻水・くしゃみ」は寒暖差アレルギーかも
寒暖差アレルギーとは、急激な温度の変化が刺激となって起こる症状で、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。
浴室と脱衣場は温度差が大きいため、お風呂上がりは鼻水・くしゃみなどのアレルギー症状が出やすいです。
急激に温度が変化することで血管の収縮に対応できず、鼻の粘膜が腫れることにより、鼻水・くしゃみなどの症状が出ます。
脱衣所を温かくするなど、寒暖差が出ないようにすることが予防になります。
また、自律神経の乱れも影響しているので、普段からストレスを溜めないことも大切です。
寒暖差アレルギーが出やすいタイミング
- お風呂上がり
- 冬の寒い日に外に出る時
- 夏場にクーラーが効いた屋内に入る時
- カレーやラーメンなどの熱くて刺激の強い物を食べる時
上記のタイミングは、急激に温度が変化するため、寒暖差アレルギーが起こりやすいです。
寒暖差アレルギーのチェックリスト
- 一時的にくしゃみが続く
- 鼻がムズムズする
- 水っぽくてサラサラした鼻水が出る
- 鼻づまり
- 倦怠感
- イライラする
- 寝つきが悪くなる
- 食欲不振
花粉症や風邪との見分け方は?
寒暖差アレルギーの場合、花粉症に多い「目のかゆみ・充血」、風邪を引いたときにあらわれる「発熱」などの症状がでない場合が多いです。
花粉が多い季節に、「目や肌のかゆみ」を伴う場合は、寒暖差アレルギーではなく花粉症を発症している可能性があります。
また、微熱があったり、黄色くて粘り気のある鼻水が出たりする場合は、鼻風邪が疑われます。
寒暖差アレルギーの「鼻水の特徴」
★寒暖差アレルギー |
水っぽくてサラサラしている |
アレルギー性鼻炎
(花粉症など) |
無色透明なことが多い
(悪化すると黄色い鼻水がでることもある) |
鼻風邪 |
黄色くて粘り気のある鼻水が出ることが多い |
寒暖差アレルギーの「くしゃみの特徴」
★寒暖差アレルギー |
お風呂上がりなど、特定のタイミングで続けて何度も出る |
アレルギー性鼻炎
(花粉症など) |
続けて何度も出る |
鼻風邪 |
数回続けて出る場合がある |
発症の原因は?
急激な温度変化(7度以上)により、「鼻の粘膜の自律神経が乱れる」ことで、寒暖差アレルギーを発症します。
また、寒暖差以外にも、「タバコ・排気ガス」などの化学物質や、「精神的ストレス」などで発症する場合があります。
寒暖差アレルギーを発症しやすい人の特徴
- ストレスが多い
- 不規則な生活リズムを送っている
- 暴飲暴食、もしくは欠食している
上記のような生活習慣の人は、自律神経が乱れやすいため、寒暖差アレルギーを発症することが多いです。
アレルギー症状が出た後の対処法
アレルギー症状が出たら、
- 体を温める
- リラックスする
ことを心がけましょう。
自律神経が整うため、アレルギー症状の緩和が期待できます。
① 体を温める
- シャワーだけでなく湯船につかる
- 温かい飲み物を飲む
- 上着を羽織る
などをして、体を温めましょう。
体を温めると自律神経が整うため、アレルギー症状の緩和につながります。
➁ リラックスする
リラックス状態になると副交感神経が働き、アレルギー症状が緩和されます。
気が向いたタイミングで行うようにしましょう。
市販薬は何を使えばいい?
市販薬を使用する場合は、「抗アレルギー剤」や「鼻炎の薬」を選びましょう。
ただし、市販薬は寒暖差アレルギー専門の薬ではありません。
きちんと症状を抑えるには、医療機関で受診し、専門の治療薬を処方してもらう必要があります。
アレルギー症状を緩和・予防するための「5つの習慣」
寒暖差アレルギーの症状を緩和・予防するためには、自律神経を整えることが大切です。
普段から、以下の5つを意識しながら生活しましょう。
- 主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
- 毎日6〜8時間程度の睡眠をとる
- 毎日30分程度の運動をする
- ストレスをこまめに発散する
- 早寝早起きをする
おすすめ習慣① 主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜が揃った食事をとりましょう。
和定食のような食事が理想です。
体に必要な栄養をバランスよくとることで、血行の改善や自律神経を整えることにつながります。
おすすめ習慣➁ 毎日6〜8時間程度の睡眠をとる
毎日6〜8時間程度の睡眠時間を確保しましょう。
きちんと睡眠をとることで、「規則正しい生活」「ストレスの軽減」につながります。
テレビ・スマホ・パソコンは、就寝の2時間前までに閉じるようにしてください。
おすすめ習慣③ 毎日30分程度の運動をする
ウォーキングなどの適度な運動を、生活の中にとり入れましょう。
最低でも1日30分程度は、体を動かす時間を作ってください。
運動には、
といった効果が期待できます。
おすすめ習慣④ ストレスをこまめに発散する
ストレスは自律神経を乱しやすく、寒暖差アレルギーの原因となります。
こまめに息抜きすることが大切です。
「ストレス解消法」の例
- 趣味に没頭する時間を作る
- 誰かに話を聞いてもらう
- 湯船に浸かってリラックスする
- 外で日光浴をする
- 好きな物を食べる(過食はしない)
- 旅行に行って、気持ちをリフレッシュさせる
- ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を習慣にする
おすすめ習慣⑤ 早寝早起きをする
早寝早起きを心がけ、太陽の光を浴び、生活リズムを整えましょう。
規則的な生活を送ると、自律神経が整い、寒暖差アレルギーの予防につながります。
朝決まった時間に起きると、朝食をとる習慣も作りやすいでしょう。
症状がひどい場合は病院へ
- アレルギー症状が5日ほど続く
- 寒暖差アレルギーによって生活に支障が出る
といった場合は、医療機関で受診してください。
症状が悪化すると、睡眠障害につながり、そこから精神的な病気に進行するおそれもあります。
また、寒暖差アレルギー以外の病気が隠れている可能性もあるので、病院で検査を受けましょう。
病院は何科に行けばいい?
寒暖差アレルギーが疑われる場合は、「耳鼻いんこう科」を受診しましょう。
耳鼻いんこう科では、アレルギーの詳しい検査や治療が可能です。
耳鼻いんこう科を探す
合わせて読みたい
2020-01-30
「温度差で咳や鼻水がでる…これって花粉症?風邪?」
その症状、もしかしたら寒暖差アレルギーかも!
寒暖差アレルギーのセルフチェックリストから、原因と改善方法、花粉症や風邪との見分け方まで、医師が詳しく解説します。
寒暖差アレルギーのセルフチェックリスト
寒暖差でこんな症状は出ませんか?
蕁麻疹(肌の湿疹・かゆみ)が出る
鼻水・鼻づまり・頭痛・くしゃみ・咳の症状はあるが、熱がない
鼻水は透明の水のようである
食欲低下・胃腸が弱っていると感じる
ストレスを感じてイライラすることが多い
目のかゆみや充血はない
1つ以上当てはまる人は、「寒暖差アレルギー」を発症している可能性が高いです。
※なお、寒暖差アレルギーは「アレルギー」という名称が付いていますが、正式にはアレルギーではありません。「血管運動性鼻炎」という病名が正式名称です。
原因は…「自律神経の乱れ」!
寒暖差アレルギーは、寒さや熱さを繰り返し感じることで起きる「自律神経の乱れ」が影響しています。
寒暖差アレルギーを「発症しやすい人」
30~40代女性
日頃からストレスを感じている人
昼夜逆転の生活を送っている人
運動不足の人
脂っこいものをよく食べる人
偏食の人
など
花粉症や風邪とは何が違う?「見分け方」は?
寒暖差アレルギーは花粉症・風邪と違い、「目のかゆみや充血はない」「熱が出ない・粘り気のある鼻水が出ない」点が特徴です。
花粉症や風邪の症状と似ていますが、アレルゲンやウイルス・細菌感染は発症に関係ないのです。
医療機関では、寒暖差アレルギーそのものについて調べる検査は行われません。
そのため、ウイルスや細菌に感染がなく、アレルギー検査をしても異常が出ないのであれば寒暖差アレルギーが疑われます。
◆花粉症
花粉が体に入ることで起きるアレルギー反応
◆風邪
ウイルスや細菌が体内に入って起きる感染症
「アレルギー症状が出ないように」する対処法
「温度差7度以上」に注意する
ツボ押しで体を温める
自律神経を整える
の3つの予防法を実践しましょう。
対処法① 「温度差7度以上」に注意する
温度差が7度以上になると発症しやすいと言われています。
寒い日は、特に首回り・手首・足首を暖かくして出かけましょう。
寒暖差を避け、自律神経のバランスを整えればよくなっていく場合もあります。
不規則な生活を改善し、毎日の食生活や睡眠時間を整えて、バランスのよい生活を送りましょう。
対処法② ツボ押しで体を温める
外関(がいかん)と呼ばれるツボを押すと体が温まります。
手首上側(手の甲側)のツボで、少しひじ寄りの場所にあります。
③自律神経を整える
早寝早起き、栄養バランスの見直しを心がけ、自律神経の乱れを防ぎましょう。
自律神経を整えるには、ビタミンB1やビタミンC・カルシウム・ タンパク質を摂ると良いと言われています。
こんな食品がおすすめ!
◆ビタミンB1
肉類・うなぎ・鰹節・ごま・落花生など
◆ビタミンC
いちご・レモン・ピーマン・ブロッコリーなど
◆カルシウム
牛乳・ヨーグルト・小魚など
◆タンパク質
肉類・きなこ・油揚げ・納豆・卵・いわし・チーズなど
「アレルギー症状が出た後」の対処法
寒暖差アレルギーの症状が出たときは、症状に合わせて次の対処法を行ってください。
かゆみ
かかないようにして、かゆみのある部分を冷やしてください。
1日ほど行っても治らない場合は皮膚科・アレルギー科を受診しましょう。
鼻水・鼻づまり
マスクや鼻水をかむ、体を温めるなどしてください。
1日ほど行っても治らない場合はアレルギー科を受診しましょう。
頭痛
鎮痛剤を使う、安静にするなどしてください。
1日ほど行っても治らない場合は脳神経外科、脳神経内科を受診しましょう。
くしゃみ・咳
マスクをして体を温めてください。
1日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
食欲の低下
ゆっくり休んで無理しないようにしましょう。
食べられそうなものがあれば、食べてください。
2~3日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
胃腸の機能低下
腹部を温める、食べられそうなものを食べる、消化の良いものを食べるやなどのセルフケアを行ってください。
2、3日ほど行っても治らない場合は内科、消化器内科を受診しましょう。
イライラする
休息を取る、睡眠をたっぷりとるなどのセルフケアを行ってください。
3、4日ほど行っても治らない場合はアレルギー科、内科を受診しましょう。
市販薬は何を使えばいい?
寒暖差アレルギーの症状は、市販薬で対処することができます。
ただし、根本的な治療方法ではなく対症療法なので、薬剤師と現在の症状を相談して決めましょう。
抗アレルギー薬
「アレグラ」「アレジオン」など一般的な抗アレルギー薬を使うことで、寒暖差アレルギーの症状が緩和されることがあります。
アレルギー反応に関与する体内物質「ヒスタミン」の働きを抑えることで、寒暖差アレルギーに効くとされています。
鼻炎薬
鼻炎薬は、抗アレルギー薬の成分が入ったものを選びましょう。
寒暖差アレルギー自体には効きませんが、鼻水などの対処療法として使えます。
漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) という漢方薬が鼻づまりや鼻水をよくすることがあります。
冷えた体を温めながら水分代謝を促し、鼻水やくしゃみなどを抑えるとされています。
症状がひどい場合は病院へ
病院では、病院でも根本的な治療方法ではなく対症療法が行われます。
抗アレルギー薬や点鼻薬など使用されることがあります。
病院は何科?
まずは耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
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2021-08-31
「薬を飲んでいるのに鼻水が出るのはなぜ?」
「サラサラとした鼻水が止まらないけど大丈夫?」
この症状の原因を医師が解説します。
対処法や病院に行く目安もチェックしましょう。
なぜ?薬を飲んでも鼻水が止まらない…
原因となる症状に、薬が合っていないと考えられます。
例えば…
サラサラの鼻水はアレルギー症状(花粉症など)だけでなく、風邪などの感染症の初期にも見られる症状です。
感染症の鼻水場合、花粉症の薬を飲んでも良くならないことが多いです。
こんな症状は感染症の疑いアリ
倦怠感、体のだるさ
発熱
喉の痛み
咳
鼻詰まり
また、症状に合った薬を使っていても、薬の成分によって効果の出やすさに個人差があります。
どう対処すればいい?
薬を飲んでも鼻水が止まらないときは
薬の種類を変える
加湿する
体を温める
「鼻うがいキット」や「鼻吸い機」を使う
などの対処を行いましょう。
その① 薬の種類を変える
薬の働きが感じられない場合は医師に相談し、必要であれば別の薬に変えてもらいましょう。
市販薬の場合は、薬局で薬剤師に相談の上、薬の種類を変えてみてください。
<アレルギー性鼻炎におすすめの市販薬>
アレグラ(久光製薬)
クラリチン(大正製薬)
「フェキソフェナジン塩酸塩」「エピナスチン塩酸塩」「ケトチフェンフマル酸塩」「ロラタジン」「エバスチン」が含まれている薬をおすすめします。
眠気が起こりにくいため、仕事中にも使用しやすいです。
<花粉症の鼻水におすすめの市販薬>
パブロン(大正製薬)
エスタックイブNT(エスエス製薬)
上記の薬に含まれる「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分は、アレルギー性の鼻水に強く働きます。
自己判断で薬の量を増やすのは危険!
自己判断で薬を多く服用したり、複数の薬を併用したりするのは、危険ですので絶対にやめましょう。
過剰に服用すると血中の薬の濃度が上がって、体調不良を起こす恐れがあります。
薬の働きが感じられないときは、医師や薬剤師の指示に従いましょう。
その② 加湿する
空気が乾燥していると、鼻腔が刺激されて鼻水がたくさん出ます。
加湿して湿度を上げると、鼻水の量が減ると言われています。
加湿器を使用したり、濡れた衣類を部屋に干したりすると、部屋の湿度が保たれます。
鼻腔内の湿度を上げるには、入浴もおすすめです。
その③ 体を温める
入浴や厚着で体が温めましょう。
血行が促進されると鼻水が少なくなります。
また、ホットタオルで顔を温めて、鼻周りの血流を良くするのも良いでしょう。
その④ 「鼻うがいキット」や「鼻吸い機」を使う
鼻うがいでアレルギー物質を洗い流すと、鼻水を減らせます。
また、鼻吸い機を使用すると、余分な鼻水を奥から吸い取ることができます。
鼻うがい・鼻水の吸引は耳鼻いんこう科でも行っています。
症状が続いているときは、一度受診してみるのもおすすめです。
こんなときは病院へ
市販薬を1週間以上使用しても鼻水が止まらない
*ただし、薬の添付文書に「◯回服用しても改善がない場合は医療機関に相談すること」と記載ある場合はその指示に従う。
鼻水の症状が変わらない
鼻水の量が増えて悪化している
といった場合は、医療機関を受診しましょう。
花粉症は早期受診で症状悪化を食い止めることができます。
風邪やウイルス感染による症状も、初期段階で医師の診察を受ければ早めに治すことが可能です。
病院は何科?
薬を飲んでも鼻水が止まらないときは、耳鼻いんこう科を受診して相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
Hisamitsu アレグラFX
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。