「腕に赤い斑点が出てる…。
「肝臓が悪いサインって本当?」
かゆみのない赤い斑点の正体をお医者さんに聞きました。間違えやすい湿疹との見分け方も解説します。沈黙の臓器といわれる肝臓。放置すると、重い肝臓の病気を見逃す可能性もあるので、しっかり確認しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
腕の赤い斑点は肝臓が悪いサイン?
腕にかゆみ・痛みのない赤い斑点があらわれたら、もしかしたら肝臓が悪いサイン「クモ状血管腫」かもしれません。
クモ状血管腫は、肝臓機能が低下すると出現する症状のひとつと考えられています。
<クモ状血管腫の特徴>
クモ状血管腫とは、見た目がクモが足を広げているように見えることからこの名がついています。
少し盛り上がって見える直径3~10m程度の大きさの赤い斑点を中心として、毛細血管が放射状に拡張した状態です。赤い斑点は、指で押して圧をかけると赤い色が消失します。
あまり心配いらないケース
1個もしくは少数のクモ状血管腫が発生している場合は、そこまで心配する必要はありません。
クモ状血管腫は、小さい子どもや健康体の成人でもよくみられます。また、妊婦の方にも現れやすく、出産後自然治癒するケースが多いです。
要注意のケース
クモ状血管腫が多数発生している場合は、注意しましょう。
また、クモ状血管腫とともに、手掌紅斑(※)や強い倦怠感、黄疸がみられる場合も、病院に行きましょう。
このような症状が現れている場合、肝臓が線維化して表面が硬い状態になってしまう「肝硬変」を発症していることが考えられます。
※手掌紅斑…手のひらの親指付け根と小指付け根が赤くなる症状
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「皮膚に赤い斑点が…もしかして肝臓が悪いの?」
「手のひらが赤いのはなぜ?」
肝臓異常のサイン「くも状血管腫」や「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」の説明から、肝臓のセルフチェックリスト、放置したときのリスクまで、医師が詳しく解説します。
肝臓が悪いと出てくる「赤い斑点」
肝臓が悪いことで生じる「赤い斑点」には
くも状血管腫
手掌紅斑
の2種類があります。
1.くも状血管腫
粟粒ほどの大きさの赤い斑点を中心に、細い糸のような血管がくも状に伸びます。
首・肩・胸・上腕などによくみられます。痛みやかゆみはありません。
2.手掌紅斑
親指下・小指下の付け根部分が赤くなります。
赤くなった部分に熱っぽさが生じます。
赤くなった部分を押すと、赤みが一時的に消失します。
手の平の外周部分のみに赤みが生じ、手の平の中心部分は白いのが特徴です。かゆみはありません。
他の皮膚疾患との見分け方は?
肝臓が原因の場合、
・かゆみはない
・黄疸が現れることがある
といった特徴があります。
病院では、血液検査や超音波検査で判断します。
あなたの肝臓は大丈夫?セルフチェックリスト
下記のチェック項目のうち、1つでも当てはまる症状がある場合は、肝臓の働きが弱まっていると考えられます。
●全身倦怠感
●疲れやすい
●無気力
●発熱
●頭痛
●吐き気、嘔吐
●食欲不振
◎白目が黄色っぽい(黄疸)
◎手が赤くなっている
◎皮膚に赤い斑点が出る
◎濃い色の尿(紅茶のような色)
◎膨満感が強い
◎血が止まりにくい
◎体のかゆみ
◎足のむくみ
◎お酒が飲めなくなる
◎右側のあばら骨周辺の痛み
◎腹壁の血管が浮いてくる
◎男性の乳房が膨らむ
◎お腹が張っている(腹水)
特に◎は要注意項目です。
肝機能低下を自覚したら、早期受診を!
万が一肝臓に疾患があったとしても、早期受診、早期発見により、重篤な状態に陥る前に症状の改善が期待できると考えられています。
肝臓は沈黙の臓器といわれているように、自覚症状が乏しいため、何かおかしいと感じてから病院を受診しても既に病状が進行してしまっているケースが多いです。
重症化を予防するためにも、定期的に医療機関を受診し、肝機能検査等の健診を受けて、日頃から自分の肝臓機能について把握しておくことが重要です。
全身にかゆみが起こっている
かゆみが強すぎて眠れない
黄疸が生じている場合(白目が黄色い)
全身に倦怠感があり、何をする気もおきない
上腹部(右側)が硬くなり、痛みがあり息苦しい
濃い茶色の尿が出る
上記のような症状が出ている場合は、すぐに病院へ行きましょう。
抗ヒスタミン薬等を用いてもかゆみが改善されなかったり、掻いてもかゆみが止まらない時も要注意です。
病院は何科?
肝臓に異常がある疑いがあるときは、内科・消化器内科等の受診をおすすめします。
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どんな治療をするの?
病院では、まず検査(血液検査や肝臓のエコー検査など)を行います。
その後、原因に応じて適切な治療を行います。
代表的な病気の治療例として、
脂肪肝
肝硬変
肝がん
のケースをご紹介します。
① 脂肪肝の治療
禁酒、食生活の見直し等で改善が期待できると考えられています。
肥満が原因の場合は、減量が必要なため、生活習慣の改善を行います。
② 肝硬変の治療
禁酒、食事療法、薬物療法がメインで行われます。
③肝がんの治療
病状に合わせて、抗がん剤治療、放射線治療、外科的切除による治療、肝動脈塞栓術等の治療方法が行われます。
手の「赤い斑点」の放置はNG!
皮膚の赤い斑点は、重い肝臓の病気のサインかもしれません。
肝臓の異常を放置すると、改善も遅くなるのはもちろん、症状が進行・悪化するリスクがあります。
肝硬変、肝がんを発症するリスクや、食道静脈瘤等の合併症を併発するリスクが高まります。
命に関わる重篤な状態に陥る恐れもあるので、早期受診が大切です。
▼参考
日本医事新報社 手を見て肝臓病を疑う─手掌紅斑[プラタナス]
東京都福祉保健局 増え続けるアルコール性の肝臓病
イムス総合サービスセンター 肝臓チェック
岩手医科大学付属病院 肝炎とは?
オムロン 肝疾患の三大症状と「かゆみ」の最新治療
大日本住友製薬 肝臓病のかゆみの特徴
間違いやすい「他の湿疹との見分け方」
クモ状血管腫の症状には、次のような特徴があります。
- 毛細血管が放射状に浮かび上がっている
- 主に上半身に発生する
- 痛みやかゆみを伴わないケースが多い
- 徐々に大きくなっていくケースが多い
蕁麻疹など他の皮膚疾患と見分ける際は、上記の症状を確認してみましょう。
思い当たる?こんな人は要注意!
クモ状血管腫は、成人男性に多くみられる傾向があります。
肝機能の低下によって発生するケースが多いため、
- アルコールを過剰摂取している
- 脂肪分が多い食品を過剰摂取している
- 運動不足
の方に多いです。
また、クモ状血管腫の原因となる肝硬変は、ウイルス感染によって発症することが多いので、次のような人にも現れる可能性があります。
- 血液や体液に触れる機会が多い
- 1992年より前に輸血経験がある
- 血液製剤の投与経験がある
- 長期間、血液透析を受けている
- ボディピアスや刺青を入れている
また、自己免疫性肝炎(自身の正常な肝細胞を壊してしまう原因不明の難病)を患っている場合も、あらわれることがあります。
肝臓が悪いと、他にこんな症状も…
◎黄疸がでる(白目が黄色いなど)
◎手が赤くなる
◎紅茶色の尿がでる
◎血が止まりにくい
◎全身がかゆい
◎足がむくむ
◎膨満感が強い
◎お酒が飲めなくなる
◎男性の乳房が膨らむ
◎腹水でお腹が張っている
◎右のあばら骨あたりの痛み
◎みぞおち下あたりの血管が浮いている
●全身の倦怠感
●疲れやすい
●無気力
●嘔吐・頭痛
●食欲不振
●発熱
●頭痛
特に、◎の症状がでている場合は要注意です。肝臓になんらかの異常がでている可能性が高いです。
病院に行くべき?
クモ状血管腫が多数発生している場合や、上記のセルフチェックに当てはまる症状があった場合は、病院の受診をおすすめします。
受診するのは何科?
内科、消化器内科等の受診をおすすめします。
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早期受診のメリット
早期に病院で検査を受けることで、早い段階から治療を開始できるため、肝疾患等の重症化を予防できます。
また、肝疾患以外の場合も、原因が特定されることで、精神的負担が軽減します。
病院に行かずに放置していると、重篤な疾患を見逃して、肝がん等を発症する恐れがあります。
気になる症状がある方は、必ず病院に行きましょう。
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「足に赤い斑点ができた…」
「かゆくないけど、これって大丈夫なの?」
自然に治る?病院に行くべき?
足にできたかゆくない赤い斑点について、お医者さんに聞きました。
対処法と病院に行く目安も解説します。
かゆくない足の赤い斑点の正体は?
足にかゆみがない赤い斑点が出ている場合、
薬疹
IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
の可能性が高いです。
原因① 薬疹
薬疹とは
薬に対するアレルギー反応
薬の副作用
長期間の摂取による薬剤の蓄積
少量の薬剤でも過剰状態(不耐性)
本来の薬理作用と異なる効果(特異体質)
がでている状態です。
薬を使用して数分以内に症状があらわれるケースもあれば、数時間・数日・数週間後にあらわれるケースもあります。
薬疹を起こしやすい薬を使用している、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人などがなりやすいと考えられます。
薬疹の「斑点の特徴」
赤い部分が盛り上がっていることが多いです。
皮膚が紫色・青色・灰色に変色することもあります。
赤い斑点以外の症状
倦怠感がある。
痛みがある。
口の中がただれる
熱が出る。
リンパ節が腫れる。
肝臓、腎臓、骨髄などの他臓器障害がある。
血圧が低下する。
ショックを起こす。
早く治すためにできることは?
原因となる薬を特定する必要があるため、医療機関を受診しましょう。
その際、おくすり手帳など使用している薬がわかるものを持っていくと良いです。
使用している市販薬があれば、あわせて伝えてください。
原因② IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
血管炎の一種で、頻度が高い病気です。
皮膚の細い血管に障害がおこることで、斑点が生じます。
細菌やウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。
3~15歳の子どもがなりやすいですが、どの年齢でもなる可能性があります
IgA血管炎斑点の「斑点の特徴」
膝から足首に、あざのような赤い斑点ができることが多いです。
斑点を触ると、軽いしこりのようなものがある場合があります。
※乳児の場合は顔、小児の場合はおしり・ふともも・背中・腕にできることが多いです。
赤い斑点以外の症状
血疱(血液を含んだ水ぶくれ)がある。
直径1cm以内の皮膚のもりあがり(丘疹)がある。
ただれている。
潰瘍がある。
微熱がある。
倦怠感がある。
関節が痛い。
腹痛や吐き気がある。
タール状の黒い便や下痢をしている。
最初の症状から数日・数週間後に、皮膚に新しい斑点や盛り上がりができることもあります。
早く治すためにできることは?
IgA血管炎が疑われる場合は、自己判断せず、早急に皮膚科を受診しましょう。
上記したような症状は通常は4週間ぐらいで治まりますが、数週間後に再発することが多いです。再発を予防するためにも、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
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受診するのは何科?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
特に、皮膚のもりあがりやしこりがある、皮膚症状以外にも症状がみられる場合は、一度病院に行きましょう。
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▼参考
皮膚病治療情報・皮膚科教科書 あたらしい皮膚科学 第3版 薬疹
MSDマニュアル家庭版 薬疹
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 血管炎・紫斑病
MSDマニュアル家庭版 IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)