めまいがして、冷や汗も出てきた…。
血の気が引いて立っていられない…。
それは「迷走神経反射」かもしれません。
突然気を失いそうになるのはなぜなのか、お医者さんに詳しく聞きました。
監修者
経歴
平成14年福井医科大学(現福井大学医学部)卒業
岐阜大学高齢科神経内科入局後松波総合病院にて内科研修、
岐阜大学高次救命救急センター出向。
美濃市立美濃病院内科。
東京さくら病院及び同認知症疾患センター勤務の後
令和元年7月かつしかキュアクリニック開業。
まずはこう対処しよう
めまいが起きたときは、まず安静にしてください。
しゃがむ、座る、横になるなどして、一旦様子を見ましょう。
刺激を避けられるよう、暗く静かな場所で休んでください。
なお、
- 激しい頭痛がする
- ろれつが回らない
- 顔や手足にしびれ
- 物が二重に見える
といった場合は、早急な受診が必要です。
内科を探す
血の気が引くめまいは「迷走神経反射」かも
自律神経の乱れによるめまい・立ちくらみ・失神を、「迷走神経反射」と言います。
副交感神経が過剰反応することによって、脳に十分な血液が届かなくなっている状態です。
症状が治まるまでの時間は?
迷走神経反射は、30秒~5分で治まるケースが多いです。
迷走神経反射が起こりやすいタイミング
- 精神的ストレスを受けたとき
- 強い痛みを感じたとき
- せきこんだとき
- 排便しているとき
- 長時間立っているとき
- 腹部の内臓疾患による刺激が加わったとき
迷走神経反射になりやすい人
- 若い女性(特に生理中)
- ストレスを感じやすい人
- 疲労が溜まっている人
- 立ち仕事を習慣にとしている人
- 睡眠が足りていない人
- 激しい運動を行う人
- 下痢、嘔吐の症状がある人
こんな症状が出たら失神に注意
- めまい、立ちくらみ
- 冷や汗
- 血の気が引く
- 頭痛
- 吐き気
- 視野がぼやける
- ふわふわする感じになる
- 手足のしびれ
- 過呼吸
- 眠くなる
上記症状が出たときは、すみやかに安全な場所に移動してください。
道路などで失神が起こると、事故に遭う恐れがあります。
症状を繰り返さないために
- バランスの良い食生活
- 十分な睡眠
- 適度な運動
で、迷走神経反射を防ぎましょう。
実際に「どのように対策をすればいいのか」を解説します。
①バランスの良い食生活
自律神経を整えるには、栄養バランスの良い食事が大切です。
特に、血流改善の作用がある青魚やビタミンEを、積極的に摂ってください。
\おすすめ食材/
青魚 |
マグロ、サンマ、サバ |
ビタミンE |
かぼちゃ、アーモンド、アボカド |
また、1日3食、毎日決まった時間での食事を心がけてください。
特に朝食は、自律神経を切り替えるスイッチとして役立ちます。
また、お酒を控えて、水分補給をしっかり行ってください。
②十分な睡眠をとろう
しっかりと睡眠をとり、心身に溜まった疲れを回復させましょう。
夜に入浴すると、質の良い睡眠を摂りやすくなります。
③適度な運動をしよう
脳の血流不足を防げるよう、運動で血行を促進させてください。
ストレッチやスクワット、ウォーキングなど無理なく継続できる運動がおすすめです。
また、立ち上がるときにめまいが起こる方は、起立調節訓練も行いましょう。
起立調節訓練のやり方(1日2回が目安)
- 立った状態で壁に背中をつける
- かかとだけを、壁から15cm程前に出す
- そのままの状態で30分間キープ
※気分が悪くなったら、すぐに中断してください。
注意!病気の可能性も
迷走神経反射には、
- 心臓の病気(不整脈、狭心症)
- 消化器の病気(胃潰瘍、腹部大動脈瘤破裂)
- 脳の病気(脳腫瘍、脳梗塞、てんかん)
- 肺の病気(肺動脈血栓症)
などが隠れていることも考えられます。
めまいだけでなく、次のような症状もある場合は、早急な受診が必要です。
<特に注意する症状>
- 胸の痛み
- 激しい頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 麻痺や痺れ
- 物が二重に見える
- 息切れ、息苦しさ
受診するのは何科?
内科、脳神経内科を受診しましょう。
内科を探す
不安な症状は早めに病院へ
めまいには、重い病気が隠れているケースもあります。
病気の進行を防ぐには、早期受診が重要です。
症状が心配な方は、一度病気で検査を受けてみましょう。
合わせて読みたい
2019-11-01
貧血になると、吐き気を伴うことがあります。これはなぜなのでしょう?
女性の場合は、生理とも関係あることも…。
貧血に伴う「吐き気の原因」から「対処法」までを、医師に教えていただきました。
貧血のせいで「吐き気」がでることがあります
貧血が起こると、体に十分な酸素を届けることが困難になります。
酸素不足になった場合、最初に影響を受けるのは「脳」です。
その結果として、吐き気が起きる可能性があります。
ストレスが原因に!?
さらに「ストレス」が貧血時の吐き気の原因になるケースもあります。
ストレスを抱えていると、消化器系の働きを阻害しやすくなったり、自律神経が乱れやすくなったりします。その結果、吐き気がでる場合もあります。
「消化器系」に問題がある場合も
貧血の時に吐き気が生じる原因として、消化器系に何らかの問題が起こっているケースが多いとも考えられています。
消化器系の働きが低下していると、鉄分の吸収が阻害され、吐き気を伴う貧血を誘発しやすくなるようです。
「生理」で「吐き気」がでることも…
生理で体内の血液量が不足して起こる「虚血性貧血」でも、吐き気を伴うケースが多いようです。
女性は、生理による出血があるため、ヘモグロビンが減少傾向になり、貧血を生じやすい状態になっています。
さらに、生理のとき、子宮収縮を活発にして血液排泄を促すプロスタグランジンという物質が過剰に分泌されることで、胃や腸の収縮活動も活性化した場合には、吐き気が生じるケースがあります。
また、プロスタグランジンが胃に作用した場合、胃酸過多になり、吐き気が起こると考えられています。
吐き気がするときの「4つの対処法」
安静にする
体を横にして安静にすると自律神経も安定します。
目を閉じて横になる、足を少し高くする等がおすすめです。
水分補給をする
一気飲みではなく、少量ずつ飲むようにしてください。
またできるだけ常温のものを飲むようにしてください。
体を締め付けないようにする
ベルトやボタン等で体を締め付けている場合は緩めてください。
その際、冷えないようにタオル等を体に掛けてください。
良質な睡眠を十分とる
睡眠をしっかりとると、鉄分を吸収しやすい体を作ることができます。
貧血のとき出やすい症状「めまい」「冷や汗」も
貧血のとき、吐き気のほかにも下記のような症状があらわれることがあります。
めまい
冷や汗
頭痛
動悸
倦怠感
立ちくらみ
顔面蒼白
冷え
下痢
意識消失
貧血が疑われるような症状や気になる症状がある場合には医療機関を受診してください。
婦人科や内科を受診するケースが多いです。
内科を探す
貧血の原因は「病気」のケースも
貧血といっても、その原因は様々です。
貧血の原因が「消化器系の病気」や「婦人科系の病気」のケースもあります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
消化器系の粘膜に炎症が生じて潰瘍が出現すると、出血症状が生じる場合があり、貧血を起こすケースがあります。
子宮内膜症、子宮筋腫
子宮内膜症による出血過多や、子宮筋腫による子宮内出血が原因で、貧血が起こるケースがあります。
がん(腫瘍)
消化器系のがん(胃がん、大腸がん、食道がん等)が原因で、吐き気を伴う貧血が起こるケースがあります。(虚血性貧血)
(がんによる出血が原因で、貧血症状が生じやすくなる。)
白血病
白血病の場合、貧血を伴うケースが多いです。
また貧血に伴い、発熱が生じるケースもあります。
多発性骨髄腫
形質細胞(血液細胞)のがん化により作られた骨髄腫細胞が体内で増殖し、正常な血液細胞を生成できなくなり、貧血、疲労感等の症状が現れるケースがあります。
慢性腎臓病
慢性腎臓病の場合、倦怠感、むくみ、食欲不振等の症状に加えて、貧血や吐き気を伴う場合があります。
参考
一般社団法人愛知県薬剤師会
一般社団法人西彼杵医師会
上尾市医師会
公益財団法人大同生命厚生
合わせて読みたい
2020-12-15
「吐き気がするほど腹痛がひどい…」
「冷や汗も止まらない…」
この症状から考えられる原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
お困りの方は、病院に行く目安もチェックしましょう。
腹痛に吐き気と冷や汗…どう対処する?
まずは衣類をゆるめ、姿勢を楽にしましょう。
可能であれば横になり、少し体を丸めてください。
病院に行く目安
安静にしても症状が改善しない
発熱がある
めまいがする
などの症状がある場合は、受診をおすすめします。
受診するのは何科?
内科、消化器内科、胃腸内科を受診しましょう。
内科を探す
考えられる3つの原因
これらの症状は
迷走神経反射
胃腸炎
急性胃炎
が原因となっているケースが多いです。
それぞれ詳しく解説しますので、心当たりがある方は病院で相談しましょう。
原因① 迷走神経反射
迷走神経反射とは、自律神経の急激な乱れで生じる症状です。
血圧や心拍数が下がることで、吐き気や冷や汗、腹痛などを発症します。
過度のストレスが主な原因です。
また、長時間立ち続けたときに発症することもあります。
発症しやすい人
几帳面な人
周囲に気を使いすぎてしまう人
緊張しやすい人
長時間の立ち仕事をする人
その他、あらわれやすい症状
下痢
顔面蒼白
めまい
失神 など
自分で改善する方法は?
通常、数十分から数時間で自然に体調が回復します。
改善が見られない場合は、一度病院で相談しましょう。
内科を探す
原因② 胃腸炎
胃腸炎を発症すると、腹痛や吐き気、冷や汗といった症状が起こります。
ウイルスや細菌に感染することが原因です。
これらは、主に口から感染します。
発症しやすい人
生の牡蠣(かき)を食べた人
他人の吐しゃ物を処理した人
周りに感染症患者がいる人
その他、あらわれやすい症状
下痢
発熱
など
自分で改善する方法は?
こまめに水分を摂ってください。
ウイルス感染の場合、おう吐と下痢が続くので、脱水症状に気をつけましょう。
症状が2日以上続く場合は、病院を受診しましょう。
内科を探す
原因③ 急性胃炎
胃の壁が急激に荒れると、腹痛や吐き気、冷や汗を生じます。
ストレスやアルコールなどが主な原因です。
血流が停滞したり、過度の刺激が加わったりすると発症します。
発症しやすい人
疲れが溜まっている人
ストレスを感じやすい人
よくお酒を飲む人
もともと胃が弱い人
その他、あらわれやすい症状
お腹が張る感覚
胃の不快感 など
症状が重くなると、吐血することもあります。
自分で改善する方法は?
1日程度の絶食をしましょう。
絶食中はこまめに水分補給をとりながら、安静にしてください。
食事を再開するときは、消化に良いおかゆ、柔らかい薄味のうどんから始めるのがおすすめです。
それでも改善が見られない場合は、一度病院で相談しましょう。
内科を探す
▼参考
厚生労働省 ノロウイルス に関するQ &A