高齢者のめまいって、何科に行けばいいの?
病気の可能性もある…?
高齢者の「めまい」は何科を受診したらよいか、お医者さんに聞きました。
高齢者に多い「めまいが出る病気」についても詳しく解説します。
命に関わる病気が隠れている恐れもあるので、要注意の症状をチェックしましょう。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
高齢者の「めまい」って何科?
症状
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おすすめの診療科
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耳鼻いんこう科
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脳神経外科
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高齢者のめまいは、「耳鼻いんこう科」、もしくは「脳神経外科」で相談できます。
診療科を選ぶときは、上記の表を参考にしてみましょう。
「耳鼻いんこう科」は、耳・鼻・喉の治療を専門とする診療科で、めまいの診察や治療も行っています。
「脳神経外科」は、脳の治療を専門とする診療科です。
脳に異変が起きていないか詳しく診察し、場合によっては手術も行います。
医師に伝えるポイント
- めまいのきっかけ(わかる場合)
- めまいの頻度
- めまいの持続時間
- めまいに伴う症状
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進みやすいです。
耳鼻いんこう科を探す
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こんな症状がでたら、すぐに病院へ!
- めまいを何度も繰り返す
- めまいを起こしている時間が長い
- めまいが止まらない
- 体のしびれがある
- 体が動かしにくい
- 呂律が回らない
上記の症状に心当たりがある方は、すぐに医療機関を受診しましょう。
放置していると、悪化して治療に要する期間が長引いたり、後遺症が出たりするリスクがあります。
また、高齢者のめまいには、「脳卒中」等の緊急性の高い病気が隠れているケースも多いです。
万が一のリスクを避けるためにも、早めに診てもらうようにしましょう。
▼「繰り返すめまい」がある方は…
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▼めまいに「体の不調」「喋りづらさ」を伴う方は…
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高齢者に多い「めまいがでる病気」の代表例
高齢者がめまいを引き起こす病気としては、
- メニエール病
- 脳卒中
- 椎骨脳底動脈循環不全症
等が挙げられます。
病名
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めまいの特徴
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メニエール病
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回転性のめまい
(自分や周囲がぐるぐる回る感覚)
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脳卒中
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ふらつく
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椎骨脳底動脈循環不全症
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回転性の激しいめまい
(ぐるぐると激しいめまい)
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上記の病気は、耳・脳に何らかの異常が起きている状態です。
それぞれを詳しく解説していきますので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
原因① メニエール病(回転性のめまい)
メニエール病の症状チェック
- 自分や周囲がぐるぐる回るようなめまい
- めまいの長さが、「数十分〜数時間以上」
- 何度もめまいを繰り返す
- 耳鳴りがする
- 難聴発作(突然、耳が聞こえにくくなる)
メニエール病は、耳の中にある「内耳」という平衡感覚を司る器官に、リンパ液が溜まっている状態です。
平衡感覚に異常が生じ、自分や周囲がぐるぐると回っているような「回転性のめまい」が起こります。
なりやすい人の特徴
メニエール病は、ストレスや疲労が溜まっている人・睡眠不足な人に発症しやすいです。
女性に多い傾向がありますが、男女ともに発症します。
こんなときは病院へ
といった場合は、医療機関へ早めに「耳鼻いんこう科」で受診しましょう。
メニエール病のめまいは、何度も繰り返すことが多いです。
放置していると悪化することが多く、難聴が治らなくなる人もいます。
早期に治療を開始できれば、2週間程度で快方に向かう人も多いです。
※治療を受けても完全には治らないケースもあります。
また、メニエール病が疑われるときは、早い時期に体調を整え、無理をしないことが重要となります。
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2023-02-28
メニエール病ってどんな病気?
どうしたら治るの?
メニエール病について、分かりやすくまとめました。
症状のセルフチェックや発症しやすい人の特徴も解説するので、メニエール病の可能性がある人は必見です。
メニエール病とは
メニエール病とは、耳の中にある「内耳」という平衡感覚を司る器官に、リンパ液が溜まっている状態です。
平衡感覚に異常が生じ、自分や周囲がぐるぐると回っているような「回転性のめまい」が起こります。
メニエール病の症状チェック
自分や周囲がぐるぐる回るようなめまい
めまいの長さが、「数十分〜数時間以上」
何度もめまいを繰り返す
耳鳴りがする
難聴発作(突然、耳が聞こえにくくなる)
耳の閉塞感
吐き気・嘔吐
上記の症状に当てはまる場合、メニエール病の可能性があります。
一旦治まっても再発することが多く、症状が繰り返しあらわれます。
▼参考
MSDマニュアル
メニエール病について
メニエール病の原因は?どんな人がなりやすい?
原因やきっかけは今のところわかっていませんが、疲労・ストレス・睡眠不足などで発症しやすいといわれています。
30〜50歳代の女性
自分をおさえ、熱心に仕事をする人
ストレスを溜め込みやすい人
忙しい生活をしている人
に多い傾向があります。
メニエール病を疑う場合の対処法
ゆっくり休養を取ることが大切ですが、まずは医療機関で原因を確認しましょう。
メニエール病は、治療しないと治らない病気です。
放置すると、最初は片方の耳のみだった症状が、もう一方の耳にも発症してしまう恐れがあります。
病院で受ける治療法
メニエール病は、薬を使って治療することが多いです。
浸透圧利尿薬・循環改善薬・抗不安薬などを使用します。
「内耳へ直に薬を投与する治療」や「手術療法」を行うこともあります。
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治るまでの期間は?
早期に治療を開始できれば、2週間程度で快方に向かう人も多いです。
※治療を受けても完全には治らないケースもあります。
早く治すためにはセルフケアも大切!
ストレスを溜めない
6~8時間の睡眠をとる
水分補給をする
上記3つを心がけましょう。
水を多く飲むことで、内耳の水はけがよくなると考えられています。
男性は1日2リットル、女性は1日1.5リットルほどの水分をとりましょう。
一度に大量に水分を補給するのではなく、こまめに水分をとることが大切です。
原因② 脳卒中(ふらつき・体のしびれ)
脳卒中の症状チェック
- めまいで起き上がれない
- ふらつく
- 頭痛
- 吐き気
- 体の片側が痺れる・動かない
- 呂律が回らない
- 言葉がでてこない
脳卒中は、「脳の血管が裂ける・詰まる」などにより、脳神経に障害が起こる病気です。
頭に溜まった血液による圧迫や、血流が滞って酸素不足が起きるなどして、めまいが現われます。
なりやすい人の特徴
脳卒中は、高齢者になるほど起こりやすいです。
また、
- 高血圧症・糖尿病などの持病がある
- 肥満
- タバコを吸う
- 飲酒が多い
といった人がなりやすいという特徴もあります。
「脳卒中」が疑われるときは、早急に病院へ
脳卒中が疑われるときは、早急に「脳神経外科」を受診しましょう。
※動けないときは救急車を呼んでください。
脳卒中を放置すると、重い後遺症が残ったり、死亡したりするリスクが高くなります。
早めの受診を心がけて、病気の早期発見につなげましょう。
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原因③ 椎骨脳底動脈循環不全症(ぐるぐると激しいめまい・気が遠くなる)
椎骨脳底動脈循環不全症の症状チェック
- ぐるぐると激しいめまい
- 気が遠くなる
- 目の前が暗くなる
- 話しにくい
「心臓から脳に向かう血流」が悪くなっている状態です。
血液量が減って脳に酸素が供給されなくなるため、めまいが起こります。
なりやすい人の特徴
糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を患っている人は、椎骨脳底動脈循環不全症を発症しやすくなります。
生活習慣病を持っている人は、血管が硬くなる「動脈硬化」を引き起こしやすいためです。
症状に心当たりがあれば、病院で相談しよう
椎骨脳底動脈循環不全症の症状に心当たりがある方は、「脳神経外科」で受診しましょう。
特に、
といった場合は早めの受診をおすすめします。
放置すると、悪化して「脳卒中」「脳出血」などの深刻な病気を招く恐れもあります。
リスクを避けるためには、血液循環を良くする継続的な治療や、生活習慣病を悪化させないことが大切です。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。