「顔にブツブツができた」
「ニキビじゃないみたいだけど…」
ニキビじゃない顔のブツブツの原因として、
- コメド
- 毛嚢炎・毛包炎
- 稗粒腫(はいりゅうしゅ)
- 単純ヘルペス
- 蕁麻疹
が考えられます。
それぞれの治し方や、やってはいけないNG対処を解説します。
病院で治療した方がいいケースもあるので、受診目安も紹介します。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
1.「コメド」のブツブツ
毛穴にケラチンというたんぱく質や皮脂の塊が詰まることで生じます。
ホルモンバランスの乱れによって男性ホルモンが増えると、皮脂分泌のコントロールが乱れ、皮脂が過剰に分泌されます。肌のターンオーバーが崩れる30代以降にできやすい傾向があります。
<ブツブツの特徴>
- 白いポツポツ
- 炎症を起こすと、赤くなってニキビ化する
こんな人は要注意!
- 生理周期が乱れがち
- ストレスを感じている
- 食生活が乱れている
コメドの対処法
コメドは、生活リズムを整えることでできにくくなります。
また、脂っこいものや甘いものを摂りすぎるとできやすくなります。
食事のバランスも見直し、ビタミンAやビタミンB₁、ビタミンCなどの栄養素は積極的に摂りましょう。揚げ物やお菓子などは控えましょう。
2.「毛嚢炎・毛包炎」のブツブツ
皮膚の毛根を包んでいるところに生じます。
黄色ブドウ球菌などによる感染症です。
カミソリを使用する人は傷口から菌が入りやすいので要注意です。また、風邪やストレスなどで免疫力が低下している人も、「普段はなんともない菌」にも体が抵抗できずに、炎症を起こしてしまうことがあります。
こんな人は要注意!
- カミソリを使っている
- 免疫力が低下している
- 肥満、糖尿病
- 高齢者
毛嚢炎・毛包炎の対処法
ブツブツの数が少なく、症状が軽い場合は自然に治ることがほとんどです。
痛みやかゆみが強い場合は皮膚科の受診が必要です。
ニキビと症状が似ているため、間違えやすいですが、ニキビの治療薬は効果がありません。
使用しても治らなければ皮膚科を受診しましょう。
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2022-09-30
毛嚢炎(もうのうえん)が治らない…。
繰り返してしまうのはなぜ?
毛嚢炎を繰り返してしまう原因を、お医者さんに聞いてみました。
スキンケアなどの対処法も解説しますので、早く治したい人は必読です。
なぜ?「毛嚢炎」を繰り返す…
毛嚢炎を繰り返す人は、皮膚の常在菌のバランスが崩れている可能性が高いです。
特に下記に当てはまる人は、常在菌のバランスが崩れやすい傾向があります。
「毛嚢炎」を繰り返しやすい人
間違ったスキンケアを行っている
皮脂が多い
汗をよくかく
マスクなどで覆っている部分がある
紫外線を浴びる機会が多い
髭剃りや毛剃りの頻度が高い
睡眠不足など、生活習慣の乱れがある
免疫機能の低下をきたす病気を患っている(糖尿病など)
毛嚢炎は、細菌によって毛穴が炎症を起こしている状態です。
なんらかの原因で、黄色ブドウ球菌・マラセチア菌といった常在菌が増えすぎると、毛嚢炎を招いてしまいます。
「毛嚢炎」を放置すると…
毛嚢炎を放置して炎症が長引くと、
色素沈着
硬いしこり
クレーター(皮膚の凹み)
などが残るリスクがあります。
また、毛穴の細菌感染が悪化すると、全身に細菌がまわって発熱することもあります。
「毛嚢炎」を早く治す方法は?
毛穴の炎症を早く治すには、肌を清潔に保つ・肌に刺激を与えないといった点を守る必要があります。
普段の生活では、以下の4つを意識するようにしましょう。
早く治すための「4つのポイント」
髭・ムダ毛の処理を控える
不潔な手指で肌に触らない
朝と夜に、きちんと肌を洗浄する
洗浄後は必ず保湿をする
また、市販の抗菌薬を使用するのもよいでしょう。
抗菌薬を塗ると細菌の増殖を抑えられるため、炎症が治りやすくなります。
ただし、市販薬を使用する際は、必ず薬剤師に相談しましょう。
膿を出すのはNG?
患部から膿が出てきた場合、自分で膿を出してもよいでしょうか?
自分で膿を出すのは止めましょう。
膿を自分で出そうとすると、肌が傷ついたり細菌が侵入したり、と炎症の悪化を招きやすくなります。
炎症が長引き、肌の内部がダメージを受けると、「色素沈着」や「硬いしこり」が残ってしまうこともあります。
毛嚢炎を繰り返すときは、皮膚科の受診を
毛嚢炎を繰り返していると、肌へのダメージが蓄積されて、綺麗に治りにくくなります。
皮膚科では、塗り薬・飲み薬の処方などを通し、毛嚢炎の悪化・再発の防止を図ってもらえます。
毛嚢炎を繰り返している人は、一度医師に相談してみるとよいでしょう。
肌に跡が残る・硬いしこりが残るといったリスクを避けるためにも、できるだけ早めに治療を受けることをおすすめします。
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毛嚢炎の再発を予防するには
「毛嚢炎」を再発させないためには、体の内側と外側からケアをする必要があります。
そのためにも、
バランスのよい食事を心がける
生活習慣を整えて、規則正しく生活する
体調が優れないときは、無理をしないで休む
肌の基礎ケアを怠らない
といった対策をおすすめします。
予防法① 栄養バランスのよい食事を心がける
1日の3食、副菜・主菜・主食が揃ったバランスのよい食事をとるようにしましょう。
毛嚢炎を予防するには、食事から「ビタミン」「ミネラル」「タンパク質」などをしっかりとることが大切です。
食事から栄養分を摂取していると、肌のターンオーバーが促進されてバリア機能が高まり、毛嚢炎が再発しにくくなります。
予防法② 生活習慣を整えて、規則正しく生活する
夜更かししないで、たっぷり睡眠をとる
朝は早めに起きて、日中は活動的に行動する
といった点を心がけて、一定のリズムを保った生活を送るようにしましょう。
体のリズムを整えると、ターンオーバーが乱れにくくなり、肌のバリア機能強化につながります。
続けていくと毛嚢炎だけでなく、肌荒れ・肌老化にも強い肌になりやすいです。
予防法③ 体調が優れないときは、無理をしないで休む
「少し疲れたな」「体調が悪いな」というときは、ゆっくり休息をとりましょう。
また、ストレスもためないように、こまめにリフレッシュすることも大切です。
疲労やストレスで免疫が低下していると、肌の機能も低下して、肌荒れを起こしやすいです。
毛嚢炎の再発にもつながるので、体調が悪いときは無理せず休むようにしましょう。
予防法④ 肌の基礎ケアを怠らない
1日2回洗顔する
肌を洗浄した後は、必ず保湿する
髭・ムダ毛処理の際は、「処理前の保湿」と「処理後の保湿」を行う
日中は日焼け止めを塗る
毛嚢炎の再発を防ぐには、日頃から上記のようなスキンケアを行うことが大切です。
肌が清潔に保たれ、保湿が行き届いていると、毛嚢炎を起こしにくくなります。
紫外線も皮脂や汗の酸化を招き、肌荒れを促進させるので、日中は日焼け止めを塗って肌を守りましょう。
また、髭・ムダ毛処理の際には、清潔なシェーバーを使うようにしてください。
自己処理によって毛嚢炎を繰り返す人は、医療脱毛をして自己処理の回数を減らすというのも対処法の一つです。
▼参考
農林水産省 食事バランスガイドと従来の分類法との関連
新潟市 食事のバランスとれていますか?
3.「稗粒腫(はいりゅうしゅ)」のブツブツ
毛穴の奥に老廃物が溜まったり、やけどや深い擦り傷の治癒過程でできたりします。
目の周りや鼻先、顎などにできることが多いです。
<ブツブツの特徴>
- 1~2㎜の白くてかたいブツブツ
- かゆみや痛みはなし
こんな人は要注意!
稗粒腫の対処法
炎症が起きているわけではないので健康被害はなく、放置していても問題ありません。
子どもの場合は、自然に取れることが多いです。
大人も数週間で取れることがありますが、見た目が気になる場合は皮膚科で取ることができます。皮膚科では、注射器の針で取り除いたり、レーザーによる治療を行います。
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4.「単純ヘルペス」のブツブツ
ヘルペスウイルスによる感染が原因です。
年齢が高い人ほど、ヘルペスウイルスが潜伏している可能性が高いです。
ヘルペスウイルスに感染していても症状が出ないこともありますが、疲れているときやストレスが過剰になると免疫力が落ちるため発症します。
<ブツブツの特徴>
- 小さい水疱
- ムズムズとしたかゆみ
- 次第に痛みも生じる
こんな人は要注意!
- 免疫力が低い人
- 疲労が蓄積されている人
- ストレスを過剰に感じている人
単純ヘルペスの対処法
水疱が小さい場合は、しっかりと休息を取ることで自然と治ることがあります。
水疱が大きい場合や、かゆみ・痛みが強い場合は皮膚科への受診が必要です。
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5.「蕁麻疹」のブツブツ
蕁麻疹の場合、その原因は様々です。
例えば、食物アレルギー、薬剤、皮膚のこすれ、寒冷、日光、圧力、運動、入浴、感染症、疲労、ストレスなどが原因となります。
15~20%の人が「人生に一度はできる」とされています。
<ブツブツの特徴>
- 1~2㎜に盛り上がった赤いブツブツ
- 強いかゆみ
- 数時間~半日程度でなくなることが多い
こんな人は要注意!
蕁麻疹の対処法
数時間で消えることが多いので、放置していても問題ありません。
ただし、半日以上経っても消えない場合や広範囲にブツブツがある場合、かゆみが強い場合は皮膚科を受診する必要があります。
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やってはいけない4つのNG
- 不潔な手でブツブツを触る
- かきむしる
- 無理やり潰す
- 洗顔フォームをつけての過剰な洗顔
細菌が入りやすくなり、悪化につながる可能性があります。
皮膚科で治療するメリット
病院で治療することで、
などのメリットがあります。
セルフケアでは、治療薬が間違っていることもあります。病院で適切な治療を受けることで、無駄が少なくスムーズに治療を行えます。
早く病院を受診した方がいい症状
- ブツブツがしこりのように大きくなる
- かゆみが強い
- 掻いてしまう
- 症状が治まらない
- 顔以外にもブツブツができる
何科を受診すればいい?
皮膚科を受診しましょう。
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2021-02-24
蕁麻疹が毎日出る…どうすればいいの?
長引く蕁麻疹の原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
蕁麻疹が出ないように心がけることや、放置した場合のリスクについても解説します。
蕁麻疹が毎日出る…なぜ?
特に思い当たることはないのに、毎日蕁麻疹が出ます…なぜでしょうか?
「慢性蕁麻疹」になっている可能性があります。
蕁麻疹は急性(数日~1週間程度で膨疹や痒みが消失)と慢性に分類されます。「思い当たることがないにも関わらず毎日蕁麻疹が出る」という場合、慢性蕁麻疹が疑われます。
夕食後・入浴後の蕁麻疹の正体は?
夕食後や入浴後に必ず蕁麻疹が出るのは、どうしてですか?
「物理的刺激」や「体温の変化」があると、蕁麻疹は発生しやすくなります。
また、入浴・運動などで汗をかくことで発生する「コリン性蕁麻疹」の可能性があります。
かゆい…どう対処すればいい?
蕁麻疹のかゆみを軽減するために、患部を冷やしましょう。
保冷剤やアイスノンをタオルで包み、患部に優しく当てて下さい。
1時間程度冷やしても症状の緩和しない場合は、冷やすことを止めてください。
また、悪化した場合は寒冷刺激が原因となり、蕁麻疹を発症している可能性があります。
これはNG!間違った対処法
引っかく
冷却シートで冷やす
粘着部分が皮膚に刺激を与え、逆に症状が悪化するケースがあります。
病院に行く目安
蕁麻疹が数日~1週間以上続く
蕁麻疹を繰り返す
蕁麻疹と同時に、全身の倦怠感・発熱・関節痛・せき・息苦しい・呼吸困難などの症状がある
一度発生した膨疹が何日間も同じ部分に発生し続ける
膨疹が茶色っぽく変色・表面がガサガサ・ポロポロ状になる
という場合は、病院に行きましょう。
これらの症状がある場合、蕁麻疹の裏に何らかの病気(膠原病、血清病、血管炎など)が潜んでいる可能性があります。皮膚科を受診してください。
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蕁麻疹が出ないように心がけること
自分でできる対処としては
生活習慣を改善する
食生活を改善する
体を清潔に保つ
の3つがあげられます。
① 生活習慣の改善
蕁麻疹が発生する原因の一つとして、ストレス過多や疲労過多が挙げられます。
生活のリズムが整え、身体の安定を目指しましょう。
日頃から十分な睡眠を取る
規則正しい生活を送る
摩擦や圧迫がない、低刺激の素材(綿製品等)を着用する
室内環境(温度や湿度)を整える
適度な運動や趣味など、ストレス発散法を見つる
ストレスが消えない時は心療内科・精神科を受診する
▼適切な温度・湿度の目安
温度:夏は28度・冬は20度くらい
湿度:40~60%くらい
② 食事の改善
消化器官や自律神経系に負担を掛けないようにしましょう。
暴飲暴食・就寝直前の食事・偏食・刺激物・アルコール・脂肪分が多い食品の過剰摂取を控える
肉類や魚介類は新鮮なものを摂る
着色料や添加物を使用している食品を控える
タケノコ・青魚(サバ等)・餅等の過剰摂取を控える
蕁麻疹を発生させるヒスタミンに類似した物質が含まれている可能性があります。
③ 体を清潔に保つ
不潔にしていると蕁麻疹に加え、他の皮膚炎を発症する可能性があります。
衣類・シーツ・カバー等は常に清潔な状態なものを使用する
汗をかいたら着替え、シャワーを浴びる
爪をこまめに切る
お風呂に入るとき気をつけること
体を温め過ぎるとかゆみが増します。
長時間、湯船に浸かることは控えてください。
また、蕁麻疹が発生している部分はゴシゴシ洗わずに、優しく洗いましょう。
放置はNG!続く場合は必ず病院へ
早期に病院を受診することで、蕁麻疹の発生原因を特定できたり、症状に合った治療や薬を処方してもらえたりするため、症状の緩和や改善が期待できます。
蕁麻疹の裏に“何らかの病気”が潜んでいる恐れもあります。
膠原病、血清病、血管炎などの病気を見逃すリスクもあるので、気になる症状がある場合は放置せず病院を受診してください。
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▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 蕁麻疹
田辺三菱製薬 ヒフノコトサイト 「蕁麻疹(じんましん)」ひどくなった時の対処法
日本臨床皮膚科医会 ひふの病気 じんま疹