お酒が好きなら二日酔いの予防は必須ですよね。
飲み会の前には、薬やサプリ、ドリンクなどを買う人も多いはず。
この記事では、二日酔いの予防について、詳しく解説してもらいました。
薬をはじめ、お酒を飲む前後にできる予防法や、二日酔い防止を期待できる食べ物や飲み物もご紹介しています。
もう二日酔いの頭痛や吐き気で苦しまないように、しっかり予防してお酒を楽しみましょう。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
二日酔いを予防するサプリ・漢方薬
ハイチオールC
アルコール分解を助けるLシステインという成分が含まれており、二日酔い予防が期待できます。
飲酒時の服用がおすすめです。
漢方薬
五苓散や黄連解毒湯などが二日酔い予防に良いとされており、食前の服用がおすすめです。
ビタミンB群のサプリメント
ビタミンB群のサプリメントなどを活用するのもおすすめです。
ビタミンB2、B6、B12などは、アルコール代謝で消耗するビタミンなので、二日酔い予防の作用が期待できます。
飲むタイミングは?
漢方や薬によって飲むタイミングは異なります。医薬品には摂取のタイミングが記載されているので、そちらを確認しましょう。
ビタミンB群のサプリメントは水溶性のため、比較的体から排泄されるサイクルが早い成分です。
目安量を守って、こまめに摂取するのがおすすめです。
飲酒の前に栄養ドリンクは効く?
ウコン入りドリンクの効果
ウコンには抗炎症作用や肝臓保護作用があると言われています。
そのため、ウコンが使用されている栄養ドリンクは二日酔い予防や改善に役立つのかもしれませんが、今のところヒトでの研究データがありません。
肝臓の働きを助ける「肝臓水化物」は?
肝臓水化物などアミノ酸が多く含まれている栄養ドリンクは、 肝臓の働きをサポートするためのアルコールの代謝を助ける可能性はあります。
しかし、製品には二日酔い予防や改善などの表記はありません。
栄養ドリンクはあくまでも食品ですので、医薬品のように「いつ」飲めばよいか、飲むことで「二日酔い予防になる」かどうかは、はっきりしていません。
お酒と一緒に摂りたい食べ物・飲み物
たんぱく質
アミノ酸を含み、アルコールの分解を助けます。
例)枝豆、冷奴、カルパッチョ、から揚げ、焼き鳥、卵焼き、チーズなど
脂質
胃の粘膜を保護し、アルコールの吸収を抑えます。
例)揚げ物、アヒージョ、チーズ、ナッツ、レバーペーストなど
ビタミンB1
アルコールの分解(アセトアルデヒドの分解)に必要です。
例)とんかつ、鰻の蒲焼、焼きたらこなど
ビタミンB6
アルコールの分解を助けるたんぱく質の代謝を促します。
例)かつお、まぐろなどの魚類、ニンニク、レバーなど
ビタミンB12
アルコールを分解する肝臓の機能を助けます。
例)レバー、しじみの酒蒸し、いくらなど
水分
アルコールの分解に水が必要です。血液中のアルコールの濃度を下げ、アルコールの分解を助けます。アルコールの利尿作用による脱水症状の予防にもなります。
例)水、お茶など
二日酔いしづらいお酒の選び方・飲み方
蒸留酒がおすすめ!
焼酎やウィスキー、ブランデーなどの蒸留酒と呼ばれるお酒は、アルコール分解されやすく、二日酔いしづらいと言えるでしょう。
飲み方は水割り・お湯割りで
また、水割りやお茶割りなどにすることで、アルコール度数をさげることができ、二日酔いの予防に繋がります。
飲酒した後、寝る前にするべきことは?
ずばり、水を飲んで寝ることです!
コップ1~2杯、200ml〜400mlほどを目安に飲みましょう。
これはNG!二日酔いを招く行動
二日酔い最大の原因は「飲みすぎ」
まずは当然ですが、飲みすぎは二日酔いの最大の原因です。
厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」として示している量は、一日当たり平均して純アルコール20g程です。お酒に換算すると以下になります。目安として覚えておくと良いでしょう。
- ビール中瓶 1本(500ml) 20g
- 清酒 1合(180ml) 22g
- ウィスキー、ブランデー ダブル(60ml) 20g
- 焼酎1/2合(35度90ml) 25g
- ワイン 2 杯 24g
女性や高齢者、お酒を飲む習慣のない人、アルコールの代謝能力が低い体質の人は、より少ない量にしてください。
一気飲みをする
一気飲みをすることで、短時間でたくさんのお酒を飲むことになります。
すると、体がアルコールを分解する早さがお酒を飲む早さに追い付けなくなり、結果二日酔いを招いてしまうことになります。
お酒ばかり飲む
お酒には利尿作用があるため、トイレに行く回数が増え、喉も渇きます。そんな時、喉が渇いたからと言って、お酒ばかり飲んでいると飲みすぎるだけでなく、脱水症状にもなります。
お酒を飲むときは、飲んだお酒と同じくらいの量の水も飲むようにしましょう。
空腹で飲む
お腹が空いている状態でお酒を飲むとアルコールの吸収が良く、酔いもまわりやすくなります。胃の負担にもなります。お酒は、食事と一緒にいただきましょう。一気飲みもそうですが、二日酔いを招くだけでなく急性アルコール中毒になる可能性もあるので注意が必要です。
飲んだ後お風呂に入る
たくさん飲んだあとの入浴は控えましょう。血流が良くなり、酔いが回りやすくなり逆効果です。
また、血圧の変動や不整脈により脳や心臓の発作が起こったり、湯船で溺れてしまったりする原因にもなり、最悪の場合死を招くこともあります。どうしても汗を流したい場合は、ぬるめのシャワーがおすすめです。
二日酔いになってしまったら…対処法は?
二日酔いになった時の対処法
- 水分を摂る
アルコールの利尿作用による脱水症状を改善できます。
- ヨーグルトを食べる
アミノ酸やビタミンB1を含み、アルコール分解を助けます。
- あさりやしじみの味噌汁を飲む
ビタミンB12を含み、肝臓の機能を助けます。
ラムネは二日酔いに良いって本当?
ラムネはブドウ糖を多く含み、二日酔いの症状である低血糖の解消に繋がるかもしれません。
低血糖解消に関しては、ラムネ以外にもフルーツジュースなど、糖分が入っているものを飲むのも良いでしょう。
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2019-11-08
「お酒を飲みすぎて気持ち悪い…」
「水を飲んでも吐いてしまう…」
二日酔いを早く治すためにできることや、頭痛や吐き気の対処法なども、管理栄養士が詳しく解説します。
二日酔いを早く治したい!
とにかく水分補給をしましょう。
おすすめは経口補水液です。
二日酔いのときは水分補給をしてください。体内に水分を素早く補給できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。
二日酔いが酷く、水も受け付けないという場合は病院で点滴を受け、水分補給をすることもできます。
二日酔いの原因
二日酔いの原因は、アルコールが分解されてできる有毒なアセトアルデヒドです。
アセトアルデヒドが、寝て起きた次の日も体内に残っていると、頭痛、吐き気、胃の不調などの原因となります。
アルコールには利尿作用があり、飲んでいる間は体内の水分がどんどん排出されてしまいます。その後、水分を取らないと体が脱水状態のままです。
脱水状態では、肝臓がアルコールやアセトアルデヒドを分解する力が落ちてしまい、二日酔いがひどくなってしまうという現象が起きます。
アセトアルデヒドをさらに無毒化するための力は個人差があり、いわゆるお酒が強い、弱いという方が存在します。
「頭痛」がひどいときの対処
頭痛がひどいときは、薬剤師に相談の上で鎮痛剤を使用ができます。また水分補給もしましょう。
二日酔いによる頭痛は、アルコール(アセトアルデヒド)が体内に残っていたり、脱水状態になっているのが原因です。
なので、水分補給をし、早めに排泄させることでも頭痛を軽減することができます。
「吐き気」がひどいときの対処
胃腸が弱っているので、胃腸薬の使用をおすすめします。また、水分を受け付けるようであれば水分補給をしてください。
吐き気が強い場合は、しばらく経ってから少しずつ水分を入れ胃腸の調子が戻るのを待ちます。脂っこいもの・刺激の強い辛いもの・香辛料の効いたものは避けてください。胃痛の原因となります。
食べ物・飲み物のおすすめ
おかゆやうどん、経口補水液がおすすめです。
胃に負担がかからないもの、ビタミンやミネラルを補給できるものを摂りましょう。
食べ物→おかゆ・うどん・シジミの味噌汁がおすすめ
胃に負担がかからない温かいおかゆやうどんがおすすめです。
また、シジミの味噌汁はビタミンミネラルを補給できます。即効性を求めるのであれば、お酒を飲んでいる時からシジミの味噌汁も合わせて飲むと良いでしょう。
飲み物→経口補水液・ウコン等ドリンク剤がおすすめ
脱水状態の時には、体内に水分を素早く補給できる経口補水液が良いでしょう。経口補水液以外にも、できるだけ多くの水分を摂取してください。
また、二日酔いになってしまった後のウコンなどのドリンク剤は肝機能を高めるので多少効果が期待できます。(※お酒を飲む量など個人差があります。)
こんな対処はNGです!
サウナ
長湯
迎え酒
はNGです。
ただでさえ脱水症状を起こしているのに、サウナや長湯をすると、さらに体の脱水を招きます。入浴は、さっとシャワーを浴びる程度にし、まだふらつきがある場合は入浴は避けましょう。
また、迎え酒という、「二日酔いで苦しい時にさらにアルコールを摂取すると二日酔いがよくなる」という言い伝えのようなものがありますが、医学的・栄養学的にはNGです。
アルコールにより一時的に二日酔いの症状が麻痺されたように感じる人もいますが、すぐにひどい二日酔いになります。
二日酔いは、いつまで続く?
個人差はありますが、一般的にはしっかり睡眠をとり、体を休めれば、1日程度で体調は快方に向かいます。
こんな症状は病院へ
二日酔いだと思っていても、風邪や胃腸炎の場合があります。
過度のふらつきや、発熱している→風邪やインフルエンザ感染
胃腸の具合が悪く、何度も水を大量に吐く→胃腸炎への感染
というケースも考えられます。
また、脱水が進むと意識障害が出る場合もあります。いつもと違う症状があれば、病院を受診しましょう。二日酔いがきつい場合は、体の免疫も落ちている場合が多いので、体調変化には気をつけましょう。
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2021-09-15
「禁酒の効果はいつから出るの?」
禁酒の効果が出るまでの期間、具体的なメリットについて、栄養士に聞きました。
「平日だけの禁酒に効果はある?」「3週間でどのくらい変わるの?」といった疑問にもお答えします。
禁酒の効果が出るのは、いつから?
小さな変化であれば、翌日から実感できる人もいます。
ただし、変化を感じるまでの期間には個人差が大きいため、すぐに効果を感じられないこともあります。
すぐ効果が実感できる例としては…
顔のむくみであれば、禁酒した翌日の朝にすっきりして見える可能性があります。
また、禁酒によって睡眠の質が良くなると、朝の目覚めも良くなります。
例えば「3週間禁酒を続けると…?」
例えば、500ml 200kcalのビールを毎日飲む人が、3週間禁酒を続けたら、4,200kcal摂取しなくて済みます。1kg減量するためには7,200kcal必要ですので、3週間では600g程度減量できることになります。見た目の変化を実感できる人もいますよ。
「平日だけ禁酒」でも効果ある?
今まで毎日飲酒をしていた場合は、平日だけの禁酒でも効果を感じやすいです。
肌質の改善、疲労感を感じにくくなるなど、何かしらの良い変化を実感できるでしょう。
禁酒することで実感できる3つの効果
禁酒することで
ダイエット
美肌
疲れが取れる
といった効果を期待できます。
禁酒の効果① ダイエット
お酒には糖質が含まれているものが多いです。
そのため、禁酒すると糖質の摂取量を抑えられ、痩せることができます。
また、アルコールは分解する過程で中性脂肪の合成が促されるため、肥満の原因になりやすいです。
禁酒によって脂肪の合成を抑制することも、ダイエットに繋がります。
おつまみは要注意!脂質と塩分で太りやすい
おつまみは味の濃いものや脂質の多いものが多いです。
お酒は食欲を増進させるので、エネルギーや塩分を過剰摂取しやすくなります。
また、塩分はむくみの原因にもなるので、ダイエット時は禁酒しましょう。
禁酒の効果② 美肌
禁酒することで新陳代謝がスムーズになり、美肌づくりに繋がります。
アルコール代謝の過程で生まれるアセトアルデヒドは老化物質の「AGEs」を作り出します。
AGEsが肌細胞に溜まっていると、新陳代謝がうまくいかず、シミ・くすみ・黒ずみなどの原因となります。
禁酒の効果③ 疲れが取れる
寝酒をやめると、睡眠の質が上がるため、疲れが取れやすくなります。
寝酒は一時的に入眠を促しますが、途中で目覚めやすいので睡眠の質を下げてしまいます。
「禁酒の効果を高める」4ポイント
禁酒の効果を高めるために
規則正しい生活を送る
バランスの良い食事を摂る
運動する
ストレスをためない
ということを心掛けましょう。
規則正しい生活を送る
禁酒をしても不規則な生活をしていては、疲れもとれにくく、肌も荒れやすくなります。
日中には体を動かし、夜にしっかり眠りましょう。
睡眠時間は個人差がありますが、6〜8時間程度は確保してください。
睡眠の質を上げるために、就寝前3〜4時間以内のカフェイン摂取は控えましょう。
バランスの良い食事を摂る
偏った食事は糖質・脂質の過剰摂取につながり、肥満の原因になります。
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事を心掛けてください。
間食する場合は1日200kcal以内にしましょう。
間食はスイーツやスナック菓子ではなく、フルーツやヨーグルトがおすすめです。
また、禁酒をしても食事や間食が多ければ、ダイエットの効果は得られにくいので注意しましょう。
運動する
有酸素運動は脂肪燃焼を促すため、禁酒でダイエットしたい人におすすめです。
週に2回以上、有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)を30分以上行いましょう。
ストレスをためない
禁酒でストレスを溜めてしまっては、自律神経の乱れ・むくみ・肌荒れ・疲労の蓄積につながります。
趣味の時間を確保する
信頼できる友人・家族と話す
好きな音楽を聴く
などの方法で、ストレスを上手に発散しましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014
リバーシティクリニック 抗糖化コラム
《参考文献》
二日酔いメカニズム
厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 二日酔いのメカニズム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html
二日酔い予防
厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 飲酒のガイドライン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html
ウコン クルクミン
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 クルクミン
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail544.html
L-システイン 二日酔い
東北大学大学院医学系研究科 胃癌のリスクを減らすサプリメント L-システインの効果は二日酔い改善だけではない
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20150330_02web.pdf