「ランニングがつらい…」
「体が重くて走れない…」
ランニング中に体が重いと感じる理由を、栄養管理士さんに聞いてみました。
久しぶりに運動する人に向けたアドバイスもご紹介します。
「楽に走れるようになりたい」という方は必見です。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
ランニングって体が重くてツライ…
ランニング中に「体が重い」と感じるのは、
- 運動不足で筋力が落ちている
- 体重が増えている
- 疲労が蓄積されている
といった原因が考えられます。
「筋力が落ちている人」は、脚を持ち上げて動かすなどのスムーズに体を動かす力が低下しているため、体が重たく感じます。
特に「体重が増えた人」は、重しを抱えているのと同じ状態になるため、より走りづらくなります。
またこの他にも、睡眠不足などによる「疲労の蓄積」も考えられます。
疲労が蓄積されていると、体を動かすためのエネルギーがなくなり、体が重く感じることがあります。
休みながらのランニングでもOK!
ランニングは、脂肪の燃焼・心肺機能の向上につながります。
ジムに行かなくても行えるため、運動不足の人も気軽に始めやすいでしょう。
ランニングを習慣づけると、血流や血糖値の状態が改善されて、糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながるといわれています。
久しぶりの運動は「ゆっくりと」始めよう
普段ランニングをしない人は、まずウォーキングくらいのゆっくりとしたスピードからはじめましょう。
疲れたら無理せず休憩を挟んでください。
体が慣れてきたら少しずつスピードを上げ、距離や時間も伸ばしていくとよいでしょう。
あなたの「運動習慣レベル」をチェック
こんな人は運動不足かも
- 座ってする仕事・家事が多い
- 歩く機会が少ない(1日6,000歩以下)
- 階段ではなくエスカレーターを使うことが多い
- 休日は家でゴロゴロしていることが多い
- いつも車を利用している
- 軽い運動をしただけで翌日に疲れが残る
- 少し走っただけで息切れする
- 長時間歩くと膝や腰が痛くなる
- 座ったり、立ったりする動作がつらい
- 同世代の人と比較して歩くスピードが遅い
- 立ったまま靴下を履けない
- お腹周りが太くなってきたと感じる
上記のチェック項目に、6つ以上当てはまると運動不足である可能性が高いです。
どれくらいで、楽に走れるようになる?
運動不足の人がランニングを始める場合、おおよそ2週間程度続けると、体が慣れてきます。
また、1か月程度経過すると走るのに必要な筋肉が育つため、走ることが楽に感じられるようになります。
久しぶりの運動前に「気をつける3つのこと」
久しぶりに運動する際には、
- その① 運動前後のストレッチを欠かさない
- その② 水分補給を忘れない
- その③ 急に強度の高い運動を行わない
といったことに気を付けると、運動を継続しやすいでしょう。
その① 運動前後のストレッチを欠かさない
久しぶりに運動する人は、筋肉が凝り固まってうまく動かせないためケガをしやすいです。
運動を行う前後に、ストレッチで筋肉をほぐすようにしましょう。
- 「運動前のストレッチ」 → 体を温めると、ケガを防止する効果があります。
- 「運動後のストレッチ」 → 疲労物質である「乳酸」を流すこと、疲労の蓄積を防ぐ効果があります。
腕・肩甲骨のストレッチ
肩甲骨を回すように、左右の腕を軽く伸ばしながら回します。
肘に力を入れすぎないようにし、ゆっくりと回しましょう。
腰のストレッチ
両手を腰にあてて膝を曲げ、ゆっくりと左右交互に腰ひねります。
下半身のストレッチ
足を開脚して座り、両手は後ろの床に手をつきます。
片足をゆっくり立てるように引いて元に戻し、反対側の足も同じように動かします。
最後は両足を引いて、元に戻します。
その② 水分補給を忘れない
運動中は、通常よりも体の水分が失われます。
喉が渇いたら飲むのではなく、休憩時間など水分補給のタイミングを決めてこまめに補給するようにしましょう。
久しぶりの運動だと水分補給を忘れがちで、脱水症状や熱中症を起こしやすいです。
その③ 急に強度の高い運動を行わない
久しぶりの運動の時は、強度の低いものから徐々に体を慣らしていきましょう。
運動していたときと同じくらい動けると思っていても、体がうまく動かないことがあります。
また、ケガを招く恐れもあるため、強度は少しずつ高くするようにしましょう。
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2022-03-31
「筋肉が落ちるとどうなる?」
「落ちた筋肉を取り戻すには…どうすれば?」
筋肉量の低下による影響を栄養士さんに聞いてみました。
筋肉を取り戻す方法や筋肉が落ちやすい生活習慣なども解説します。
筋肉が落ちたらどうなる?
筋肉が落ちると、
つまずきやすい(体を支える筋肉が弱くなるため)
疲れやすい(代謝や血液の流れなどが悪くなり、疲労物質が滞るため)
太りやすい(基礎代謝が落ちるため)
血糖値が上がりやすい(筋肉はブドウ糖を取り込んで、血糖をコントロールする役割があるため)
などの影響が出てくると考えられます。
さらに筋肉が落ちづづけると…
筋肉量が少ない状態が続くと、日常生活に支障をきたし、病気の発症リスクを高める恐れもあります。
例えば、
老化に拍車がかかる(寝たきりになる等)
バランス感覚がなくなり転倒しやすくなる
骨折しやすくなる
生活習慣病を発症しやすくなる
といったリスクが増えます。
あなたの“筋肉の衰え度”をチェック
▼「筋肉が衰え始めた人」の特徴
つまずきやすくなる
疲れやすくなる
▼「筋肉がかなり落ちている人」の特徴
つまずき、すぐ骨折する
血糖値が高い
風邪や肺炎など病気にかかりやすくなる
手足が冷たい
顔色が悪い
太りやすい
汗をかきにくい
上記に当てはまる人は、筋肉が衰えていると考えられます。
筋肉が少ないと、運動機能だけでなく健康にも悪影響となるため、筋トレ等の対策をおすすめします。
「筋肉がどんどん落ちる」生活習慣の例
次のような栄養・運動・休息不足でバランスの悪い生活習慣は、筋肉がどんどん落ちやすい傾向にあります。
筋肉が落ちるNG生活習慣
欠食が多い(朝ごはんを食べない等)
食生活に偏りがある
運動習慣がない
ほとんど座って生活している
寝る時間を十分に確保できていない
不規則な生活を送っている
落ちた筋肉をとり戻すにはどうすれば?
落ちた筋肉を戻すには、“基本的な生活の改善”を行いましょう。
「タンパク質」と「糖質」を十分に摂る
筋トレを習慣づける
十分な睡眠時間を確保する
この3つをバランスよく続けることが大切です。
対策① 「タンパク質」と適度に「糖質」を摂る
栄養素
豊富に含まれる食材の例
タンパク質
鶏ささみ肉
牛もも肉
赤身マグロ
卵
納豆
プロセスチーズ
など
糖質
ごはん
麺
パン類
芋類
など
食事から「タンパク質」と「糖質」をきちんと摂取しましょう。
タンパク質が不足すると筋肉を作ることができません。
また、糖質が不足すると、タンパク質が体を動かすエネルギー源として使われてしまうため、筋肉の減少につながります。
なお、食事はあくまでも3食とって、栄養のバランスを意識することが前提です。
「朝ごはんを抜く」「タンパク質だけとる」のは控えましょう。脂肪の蓄積につながり、体によくない影響を及ぼします。
対策② 筋トレを習慣づける
落ちた筋肉を戻すには、筋トレが欠かせません。
まずは「スクワット」や「プランク」を続けてみるとよいでしょう。
「スクワット」のやり方
足を肩幅ぐらいに広げる
背中を伸ばしてゆっくりと腰を落とす(かかとに体重をかける)
太ももが床と並行になるまで下げて、戻す
※膝はつま先より前に出さないようにしてください。
※腰に力を入れないようにしましょう。
1セットあたり20〜30回程度続けましょう。
スクワットは、太もも・お尻・ふくらはぎなど複数の筋肉を鍛えられます。
「プランク」のやり方
うつ伏せの状態になる
つま先と肘を肩幅程度に開き、床につけて体を支える
②の状態で30秒〜1分程度保つ
※体は一直線な状態を意識して、腰やお腹を下げすぎないようにしましょう。
プランクは1セット3回程度行いましょう。
インナーマッスルが鍛えられると、他の運動の効果アップや姿勢矯正にも役立ちます。
対策③ 十分な睡眠時間を確保する
1日7~8時間程度は睡眠時間を確保しましょう。
睡眠時に分泌される「体を作るホルモン」は、筋肉を作るうえで重要です。
▼参考
再春館製薬
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2020-03-25
日頃の疲れがどんどん溜まっていく…そんな方に!
この記事では、即効性が期待できる疲労回復の方法について、栄養士さんに詳しく伺いました。
おすすめの食べ物をはじめ、栄養素ドリンクや薬・サプリなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
疲労回復に!即効性が期待できる食べ物・飲み物はある?
次の栄養素を積極的に摂ることで、疲労回復の働きが期待できます。
疲労回復効果が期待できる栄養素
ビタミンA(β-カロテン)
高い抗酸化力を持ち、粘膜の新陳代謝を活発にして免疫力を整えます。
ビタミンB群
ビタミンB1:糖質の代謝をサポートしてエネルギー代謝を円滑にし、疲労改善に働きかける。
ビタミンB2:脂質の代謝をサポートして、エネルギー代謝を円滑にし、疲労改善に働きかける。
ビタミンB12:血液を正常に維持する働き、アミノ酸代謝に関与、神経機能を正常に働きかける。
ビタミンC
白血球の働きを強化し、免疫力を整える。また、ストレスに強い体を作る。
タウリン
肝機能をサポートして身体機能に働きかける。
イミダゾールペプチド
脳疲労、肉体疲労両者に働きかけ、細胞を老化させる活性酸素を抑制する働きが期待できる。
クエン酸
体内の疲労の物質を解消し、エネルギー代謝を円滑にする働きがある。
アリシン
ビタミンB1の吸収を高め、疲労改善が期待できる。
おすすめの食べ物
前述した栄養素を多く含む食べ物をご紹介します。
あくまでも食品ですので、食べてすぐに効果が出るものではありません。
即効性というよりは、日頃から意識的に摂ることで、疲労回復効果が期待できます。
卵
良質なタンパク質、ミネラル、ビタミン、アミノ酸等を豊富に含み、特に半熟卵は、黄身の栄養を吸収しやすいため、疲労改善に働きます。
納豆
良質なタンパク質、ビタミンB1、B2、大豆ペプチド等を豊富に含み、疲労改善が期待できます。
豚肉
ビタミンB群(特にビタミンB1)、アミノ酸(ロイシン、パントテン酸等)等を豊富に含み、疲労改善、疲れにくい体をつくる効能が期待できます。
レバー(特に豚レバー)
ビタミンA、B1、B2、鉄分を豊富に含み、疲労改善に働きます。
鶏肉(特に鶏むね肉)、マグロ、カツオ
疲労改善成分イミダゾールペプチドを豊富に含み、さらに、ナイアシン、パントテン酸等も含むため、疲労改善に期待できます。
ホタテ
タウリン、ビタミンB12等を含み、疲労改善に働きます。
たまねぎ、にんにく、ニラ、長ネギ
アリシンが豊富で疲労回復だけでなく、胃の働きを正常にします。
バナナ
ビタミンB1、B2、β-カロテンを含み疲労改善に期待できます。
レモン(柑橘類)
ビタミンC、クエン酸を豊富に含み、疲労改善に期待できます。
りんご
ビタミンA、B、C、ポリフェノール等を豊富に含み、クエン酸回路の機能を促進し、疲労改善に働きます。
かぼちゃ
適度な糖質と、β-カロテン、C、E等を豊富に含み、肉体的疲労の改善に働きます。
はちみつ
ミネラル、ビタミン、アミノ酸、酵素等の栄養素を豊富に含み、効率良いエネルギー補給になります。
一日にどれくらい摂れば良い?
目安としては、たまご・納豆などのたんぱく源は、手のひら1個分、野菜類(生の状態)は両手いっぱい、果物は拳1つ分摂ると良いでしょう。
年齢、体格、活動量、性別など個々人によって変わります。
意識して取り入れるということが大切です。
<おすすめの食事メニュー例>
豚肉とにんにくのスタミナ丼
はちみつレモン
レバニラ
かぼちゃの煮物
根菜カレー
おすすめの飲み物
栄養ドリンクには、ビタミン類、必須アミノ酸、カフェイン、生薬(漢方由来)、タウリン等を配合しているものが多いです。
その中でも、疲労回復のための栄養補給には、ビタミンB1、アミノ酸等を配合しているタイプがおすすめです。
チオビタ
ユンケル
チョコラBB 等
しかし、栄養ドリンクを飲めば疲労が完全に改善されるというわけではありません。
栄養ドリンクを飲んだ後、一時的にしゃきっとして元気になったように感じる場合がありますが、この状態は完全に回復したわけではありません。
少し経つと、またすぐにどっと疲れが出てしまう可能性があります。
栄養ドリンクの常用は避けて
最近はエナジードリンクに頼りすぎて、カフェイン中毒なども問題となっています。
カフェインによって、吐き気や頭痛など不調が出る可能性もあるので、薬剤師、管理栄養士等に相談して活用すると良いですね。
牛乳やココアも◎
他にも、交感神経を安定させる働きのある牛乳、ココア、麦茶、ハーブティー等もおすすめです。
温めて飲むのが良いでしょう。
スポーツや肉体労働のあとの疲労回復にはコレ
体を動かした後は、体内からエネルギーと共に、ビタミン、ミネラルも消耗しています。
次の栄養素を積極的に摂りましょう。
炭水化物
消費したグリコーゲンを補充するため
ビタミン、ミネラル
疲労改善のため
タンパク質
運動で分解された筋肉を早く復活させるため
(例)スポーツ飲料、果物(バナナ、りんご、みかん等)、パン、牛乳、ヨーグルト、プリン等
薬やサプリでより早い疲労回復を
ここまでに紹介した栄養分が補給できる薬やサプリを選ぶのが良いでしょう。おすすめは次の通りです。
薬
錠剤タイプよりもドリンクタイプの方が、体内への吸収が早いものが多いため即効性が期待できると考えられています。
アリナミン
キューピーコーワゴールド 等
薬剤師、登録販売者に体調を伝え、選んでもらうと、適切なものが摂取できます。
漢方
下記の漢方を医師、薬剤師に相談して服薬を検討し、それに加え栄養バランスの良い食事を摂ることが早期疲労改善に有効です。
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)
十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
サプリメント
次の栄養素を配合しているサプリメントが疲労改善に有効と考えられています。
ビタミンB1
パントテン酸
L-カルニチン
αリポ酸
コエンザイムQ10
鉄分等
しかし、できるだけ毎日の食事から必要な栄養分を摂取し、不足分を補うという考えでの使用がおすすめです。
薬やサプリは食後に
空腹時よりも食後に摂ると、効率よく栄養分を体内に吸収できると考えられています。
しかし、それぞれのタイプにより異なる場合もあるので、使用上の注意をよく読んでから服用してください。
その他、疲労回復におすすめの方法
食事や薬だけでなく、ゆっくり休むことやリラックスできる時間を確保することも大切です。
思い切って仕事や学校を休む
ツボを押す(合谷、湧泉を指圧すると即効性が期待できると言われています。)
リラックスできる時間を作る
入浴やアロマなど、ご自身がリラックスできる方法で疲労を回復しましょう。
疲労回復に良い点滴や注射があるって本当?
疲労改善のための点滴や注射による治療を受けることが可能です。
ビタミンB1、アミノ酸(タウリン)、ビタミン類等を配合しているケースが多く、疲労改善に有効と考えられています。
体内に直接注入するので、他よりも即効性が期待できます。
自由診療のため、費用は各医療機関によって大きく異なります。
また、配合内容も異なるので、事前に詳細を確認してください。
受付予約できる病院を探す
疲れにくい体作りのために日頃からできること
次の生活習慣を心がけましょう。
良質な睡眠を十分とる(自然に目が覚める程度の睡眠、6~7時間ほど)
生活環境を整える(朝昼夜のリズムを整える)
1日3食、栄養バランスの良い食事を摂る
湯船に浸かり体を温める
適度に体を動かす
マッサージをして、滞った血液が流れやすくして、血液(栄養)を体内に円滑に回す
疲労回復のためには、何か1つで回復するわけではありません。
食事でしっかり栄養分を摂取するとともに、睡眠や入浴など休養して疲れを取り、ときには体を適度に動かしてリフレッシュしていきましょう。
(参考URL)
全日本民主医療機関連合会 くすりの話 15 ビタミン剤はきく?
http://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/product/symptom/fatigue/
クラシエ 漢方セラピー 疲れ
https://www.tsumura.co.jp/kampo/nayami/hirou01.html
漢方のツムラ 疲労に使われることの多い漢方薬
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/05_hirou/index2.html
第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-shougai/hirou-busshitsu.html
公益財団法人長寿科学振興財団 疲労とは?疲労の原因と回復方法
https://www.ajinomoto.co.jp/amino/manabou/about.html
味の素株式会社 アミノ酸とは?
https://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry19/
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