消化酵素を節約し代謝酵素の量を増やすことや代謝酵素の働きをサポートする役割が食べ物に含まれている「食物酵素」です。
栄養士さんに「おすすめの食べ物」や「食事メニュー」を聞きました。
サプリやドリンクでも体内酵素を節約できるのかどうかも紹介していくので、併せてチェックしましょう。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
体内酵素を節約する食べ物は?
体内の酵素を増やすためには、
- 生の野菜や果物、ナッツ類
- 発酵食品
を摂るといいでしょう。詳しく解説していきます。
その① 生の野菜・果物・ナッツ類
酵素は、食べ物の中でも特に生野菜や果物に多く含まれています。
生野菜や果物から酵素を摂取すると、もともと体内にある酵素の消費量が抑えられます。
その結果、体内酵素を節約できると考えられています。
具体的には、以下の食材を取り入れるようにしてみましょう。
野菜 |
トマト、ほうれん草、レタス、小松菜、ブロッコリー、大根、ニンジン、アボカド等 |
果物 |
バナナ、イチゴ、キウイフルーツ、いちじく、りんご、パパイヤ、マンゴー等 |
ナッツ類 |
生アーモンド、生カシューナッツ |
その② 発酵食品
微生物の力で発酵が促進された食べ物の中には、食物酵素が豊富に含まれています。
そのため発酵食品を積極的に摂取すると、体内酵素を補うことができます。
その結果、酵素を作り出す腸内細菌の活動も活性化します。
具体的には、納豆、味噌、醤油、酢、ヨーグルト、チーズ、漬物、キムチ、麹、鰹節、発酵玄米などを毎日の食事に取り入れることをおすすめします。
いつ、どんな風に食べるのがいいの?
食べた物がすぐにエネルギーとして使用される朝食時に摂ることがおすすめです。
特に果物に含まれている果糖は、体内への吸収が早く、素早くエネルギーに変換されます。
果物は食後に食べるイメージがありますが、食前または食間に食べる方が、果物がもつ栄養分を十分吸収できると考えられています。
また、ボリュームの多い食事や遅い夕食の前に摂っておくことで、消化がスムーズになります。
より効果が実感できる「おすすめの食べ方」は?
<野菜、果物の場合>
- 野菜、果物は新鮮なものをそのまま生で食べる
- 旬の食材を食べる
- 大根は生のまますりおろして使用する(ニンジン、タマネギもおすすめ)
- 果物はいろいろな種類を加えてミキサーで混ぜてスムージーやジュースにする
※生の食べ物には、熱に弱い酵素が多く、加熱(多くの場合50度以上)によって失活します。また、植物性の酵素を含む栄養分は細胞膜に包まれているため、細胞膜を破る食べ方(すりおろしやジュースなど)をすることで活性化します。 また、旬の食材はその時の栄養価が一番高いものを旬というので、酵素も多く含まれていると考えられます。
<発酵食品の場合>
- 納豆とキムチを合わせる
- 味噌と酒粕を合わせた粕汁(野菜も加える)
- 甘酒とヨーグルトを合わせる
- 酢とオリーブオイルを合わせてドレッシングとして活用する
体内酵素は、サプリやドリンクでも補える?
酵素配合のサプリメントやドリンクの摂取をしても、酵素による健康効果は期待できません。
口から摂取した酵素は、自身がもつ消化酵素により分解されてアミノ酸として吸収されるため、そっくりそのまま酵素としては吸収できません。
酵素を体内で増やすには、たんぱく質の材料となる栄養素やサポートする栄養素(ビタミン、ミネラル等)を摂ったり、腸内環境を整え腸内細菌酵素を活性化する必要があります。
そのため、栄養補助や整腸を目的としたサプリ・ドリンクであれば、酵素を増やすサポートができます。
他にも、こんなことを心がけよう
酵素の機能を向上できるよう、
- 体を冷やさない
- ストレスを溜めない
- 生活習慣を見直す
といったことを心がけましょう。
その① 体を冷やさない
体を温めることで酵素の働きが活性化すると、大量に酵素を使用しなくても活動できるようになり酵素の無駄使いを抑制できます。
具体的には、
- 首、足、腹部等を温める
- 半身浴をする
- 足湯をする
- 冷たい飲食物を摂り過ぎない
- 薄着をしない
等、体が冷えないようにしてください。
その② ストレスを溜めない
過剰なストレスが掛かると酵素の機能が低下します。
ストレスを溜め込まないように、することで、代謝や体温が上昇し、酵素が活性化します。
ストレスを感じないようにするのは難しいため、そのストレスを上手に発散する方法を見つけて実践するようにしてください。
ウォーキング、ヨガ、ストレッチ、腹式呼吸等を無理のない範囲で行うことがおすすめです。
その③ 生活習慣を見直す
上記に加えて、十分な睡眠時間を確保する、食べ過ぎない等も心掛けるようにしてください。
- 酵素は眠りについている時間に作られるため、十分な睡眠時間を確保する
- 食べ過ぎると、消化するために多くの消化酵素を消費してしまう
合わせて読みたい
2021-09-15
「酵素を飲むとどんなメリットがあるの?」
「ダイエットや美肌目的にいい?」
酵素の効果を栄養士に聞きました。
酵素サプリの効果的なとり方やタイミングも解説します。
酵素ってなに?
酵素とは、生物が生命を維持するために必要な「消化や分解」「吸収」「代謝」などに関わっているタンパク質のことです。
酵素を正常に分泌させたり、作用させたりすることができれば、病気のリスクを減らすことにつながります。
酵素を正常に分泌させたり、作用させたりするためには、体を健康に保つことが大切です。
規則正しい生活
バランスの良い食事
良質な睡眠
適度な運動
を心がけましょう。
酵素を口からとっても“無意味”って本当?
残念ながら食品から摂る酵素に、健康効果は期待できません。
胃腸で分解されるので、体の中で作用することはないでしょう。
酵素はたんぱく質でできており、たんぱく質は胃腸の中のたんぱく質分解酵素によって消化され、吸収されます。
そのことから、酵素を口からとっても、胃腸で分解されるので体の中で作用することはないと考えて良いでしょう。
酵素サプリも、意味がない?
残念ながら、酵素そのものは、口から摂取しても効果が期待できません。
しかし、酵素サプリや酵素ドリンクには、酵素以外の成分の働きが含まれています。
そのため、酵素サプリ等を飲むことで
ダイエットのサポート
美肌づくり
冷えにアプローチ
など、健康・美容のサポートに繋がる可能性があります。
「ダイエット」のサポートが期待できる例
水溶性食物繊維が多く含まれている場合、「脂肪の蓄積を予防」「便通改善」「栄養素の吸収率アップ」「代謝アップ」が期待でき、ダイエットのサポートになります。
乳酸菌が含まれている場合も、「便通改善」など腸内環境を整えることができます。
水溶性食物繊維の効果
糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇抑制することで、脂肪の蓄積を予防し、ダイエットのサポートになります。
食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、善玉菌の増殖をサポートします。
そのため、腸内環境が改善され、お通じがスムーズになる可能性があります。
腸内環境が整うと、栄養素の吸収や代謝が良くなり、ダイエットに繋がります。
乳酸菌の効果
乳酸菌は腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が改善されれば、お通じが良くなり、栄養素の吸収や代謝がアップします。
「美肌づくり」のサポートが期待できる例
ビタミンCが多く含まれている場合、抗酸化作用により、メラニンの生成を抑え、シミ予防につながります。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成を促すため、しわ・たるみにもアプローチします。
「冷え」にアプローチが期待できる例
ビタミンEが多く含まれている場合、血行促進作用があるため、冷え性の改善につながります。
効果的なサプリのとり方ってあるの?
サプリを飲む “おすすめのタイミング”は摂りたい栄養素によって異なります。
例としては…
水溶性食物繊維を含む場合→ 食前に飲む
乳酸菌を含む場合→ 食後に飲む
ビタミンCを含む場合→ 1日3回程度こまめに摂る
ビタミンEを含む場合→ 油脂(オリーブオイル・牛乳など)と一緒に摂取する
◆水溶性食物繊維は“食前”に
水溶性食物繊維を食前に摂ると、食後の血糖値上昇を抑える効果があると言われています。
◆乳酸菌は“食後”に
乳酸菌は空腹時に摂ると胃酸により死滅する可能性があるので、食後に摂りましょう。
◆ビタミンCは“こまめ”に
ビタミンCは一度に大量にとると吸収率が下がり、過剰な分は体の外に出されてしまいます。少量をこまめに摂ると良いです。
◆ビタミンEは“油脂と一緒”に
ビタミンEは油脂と一緒に摂ることで、吸収が良くなります。
オイルを含むタイプの酵素ドリンクを選ぶと良いでしょう。タイミングは特に決まっていません。
酵素ドリンクやサプリメントは、効果や成分の性質によって、それぞれおすすめのタイミングが異なります。ご自身の目的に合わせて、飲みましょう。
▼参考
消費者庁 厚生労働省 農林水産省 徳島県 食品に関するリスクコミュニケーション 〜健康食品との付き合い方を考える〜
化学と教育 66 巻 12 号(2018 年) 酵素反応の基礎 ―名前はよく聞くが,よくわからない「酵素」を知るために―
全日本民主医療機関連合会 くすりの話 酵素
合わせて読みたい
2021-09-17
「酵素って飲むと、どういう効果がある?」
「朝と夜、どちらに飲むといい?」
酵素を飲むタイミングを栄養士に聞きました。
効果などもあわせて解説します。
酵素を飲むと健康になるって本当?
そもそも、酵素を口から摂取しても、残念ながら健康効果は期待できません。
酵素とは、体の消化や分解、吸収、代謝などに関わっている物質で、たんぱく質でできています。
たんぱく質は胃腸の中のたんぱく質分解酵素によって消化・吸収されるため、口から摂取した酵素が体の中で作用することはないと言われています。
じゃあ…酵素ドリンクやサプリメントは無意味なの?
酵素ドリンクやサプリメントに、酵素自体の効果は認められません。
しかし、「乳酸菌」や「ビタミン類」などの成分が入っていることが多いため、栄養補助を目的とするのであれば、使用に意味があると言えます。
ドリンク・サプリは朝夜どっちに飲むべき?
酵素ドリンクやサプリメントには、「乳酸菌」「食物繊維」「オリゴ糖」「ビタミンC」「ビタミンE」などの成分が含まれています。
成分の働きに合わせて、飲むタイミングを選んでください。
「食後の血糖値上昇を抑えたい」ときは
食事の前に、水溶性食物繊維を含むタイプの酵素ドリンクやサプリメントを摂るといいでしょう。
「腸内環境を改善したい」ときは
食事の後に、乳酸菌を含むタイプの酵素ドリンクやサプリメントを摂るといいです。
空腹で摂ると胃酸により乳酸菌が死滅する可能性があります。
同じタイミングで食物繊維やオリゴ糖を摂ると、乳酸菌の増殖をサポートしてくれるので、おすすめです。
「肌を美しくしたい」ときは
1日数回にわけて、ビタミンC入りの酵素ドリンクやサプリメントを摂ると、肌がきれいになると言われています。
ビタミンCには抗酸化作用やコラーゲン合成促進作用があるからです。
ただし、一度に大量にとると吸収率が下がり、余った分は尿と一緒に体の外に出されてしまいます。
「冷え性を改善したい」ときは
ビタミンE入りの酵素ドリンクやサプリメントを摂ると、血行が促進されて冷え性が改善されることがあります。
タイミングはいつでもかまいません。
ビタミンEは油脂と一緒に摂ることで、吸収が良くなります。
最近はオリーブオイル入りの酵素ドリンクなども販売されているので、冷え性にお悩みの方はこちらを選ぶと良いでしょう。
サプリとドリンク、どう選ぶ?
ご自身が取りいれやすいものを選びましょう。
サプリメントなどは飲み続けることが重要なので、ご自身に合ったものを選ぶといいです。
酵素自体の効果は期待できませんので、その他の配合成分で「どんな成分を摂りたいのか」「どんな効果を期待するのか」で選びましょう。
酵素ドリンクのメリットは…そのまま飲める
酵素サプリのメリットは…持ち運びしやすい
健康にも美容にも、まずはバランスの良い食事が基本です。
酵素サプリやドリンクなどは、補助的に取り入れてください。
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事を心がけましょう。
▼参考
消費者庁 厚生労働省 農林水産省 徳島県 食品に関するリスクコミュニケーション 〜健康食品との付き合い方を考える〜
化学と教育 66 巻 12 号(2018 年) 酵素反応の基礎 ―名前はよく聞くが,よくわからない「酵素」を知るために―
全日本民主医療機関連合会 くすりの話 酵素