「あれ…?ほくろが増えた…?」
ほくろが増える原因や予防法について、皮膚科医が詳しくご紹介します。
皮膚がん(メラノーマ)との見分け方もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
もう嫌!ほくろが増える5つの原因
ほくろは、
- 紫外線を多く浴びた
- 摩擦などの刺激
- ストレス
- 加齢によるターンオーバーの遅れ
- 体質
などによって増えます。
これは、ほくろができる原因は、肌を守るために排出されるメラニン色素だからです。
メラニン色素は、紫外線などの影響を受け出てきますが、表皮の細胞内に取り込まれ、通常は、ターンオーバーによって排出されます。
また、女性の場合は妊娠・出産などで、ホルモンバランスが崩れやすい時期は、メラニンの排泄が正常にできなくなり、ほくろができやすいことがあります。
①紫外線を多く浴びた
紫外線を多く浴びると、それだけ多くメラニンが排出されます。
「メラニンの排出が間に合わない」「メラノサイトが異常に働く」などの影響で、ほくろができてしまう場合があります。
②摩擦などの刺激
体の同じ部分が何度もこすれると、その部分にメラニンが多く出ることで、ほくろが増えます。
③ストレス
ストレスが多いことで、ホルモンバランスが崩れ、メラノサイトの働きが活発化し、ほくろが形成されやすくなります。
④加齢によるターンオーバーの遅れ
加齢によってターンオーバーの日数が遅れがちになると、シミ同様にほくろが 増える人もいます。
⑤体質
小さい頃からほくろができやすい場合は、体質の影響であることが多いです。また、色白の方はほくろが目立ってしまうため、ほくろが増えたと感じてしまうことが多いです。また、日本人はシミやほくろができやすいようです。
脱毛でほくろが増えるって本当?
いいえ。
脱毛の治療によってほくろが増えることはありません 。
脱毛治療には、紫外線は使用されていません。
そのため、光線の刺激でメラノサイトが活性化されることもありません。
逆に、黒いほくろに光線が当たると反応してかさぶたになり、ほくろが取れてなくなってしまうことはあります。
これ何?「赤いほくろ」の正体
赤いぽちぽちは、赤いほくろにも見えますね。
こちらは病気ではなく、老人性血管腫といいます。
皮膚内部の毛細血管が異常に増殖をして発生します。刺激や紫外線の影響、老化現象の一種として現れます。
一度できると、治療しないかぎり消えません。むしろ、増えていきます。
ほくろを増やさないための「予防法」
ほくろが後天的に増える要因である、
を避けましょう。
まず、紫外線を浴びる人は、日焼け止めをこまめに塗りましょう。
皮膚をこする・掻く行為はやめましょう。
また、ターンオーバーを停滞させるストレス・寝不足・運動不足は、ほくろを増やしてしまう原因になります。適度に体を動かし、よく寝て、ストレス発散を心がけましょう。
サプリや食べ物は何がいい?
ハイチオールCやトランシーノなど、シミに作用する市販薬や、ビタミンCのサプリメントなどもメラニンの生成を抑制するのでおすすめです。
さらに、シミは活性酸素が体内に多いことでも発生しやすくなります。そのため、活性酸素の発生を抑える抗酸化成分”リコピン”(トマト、トマト加工品 等)や”アスタキサンチン”(鮭、いくら 等)が多い食品などもおすすめです。
病気の場合も!皮膚がんとほくろの見分け方
ほくろは「がん」化することがあります。
こんなほくろは大丈夫
- ほくろの大きさが変わらない
- ほくろの輪郭がしっかりある
- 色むらがなく不明瞭でない
といったものは、通常のほくろ(単純性ほくろ)で、 良性なので心配はありません。
こんなほくろは要注意
注意していただきたいのは、
- ほくろが、以前に比べて大きくなってきた
- 出血をしたり、かさぶたになったりした
- ほくろの形が変わって、ほくろの周りがギザギザに変形してきた
- ほくろの色がまだらになってきた
などを感じた時です。
ほくろが、メラノーマ(悪性黒色腫)という皮膚がんに変化した可能性があります。
顔以外にも特に足の裏・手の平・爪・指などにできる場合があります。胸・腹・背中など体の中心部や、手足の付け根に近い部位にもできやすいです。
その辺りにほくろができて、上記に挙げたような変化があれば、一度病院を受診しましょう。
病院は何科で受診すればいい?
皮膚科、形成外科を受診しましょう。
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2022-10-27
何度もほくろにかさぶたができるけど、これって皮膚の病気?
ほくろのかさぶたを何度も繰り返す原因について、お医者さんに聞いてみました。
皮膚ガンのおそれもあるので、心当たりがないかチェックしましょう。
なぜ?「ほくろのかさぶた」を繰り返すよくある原因
ほくろにかさぶたが繰り返しできるのは、
ほくろが衣類に引っかかりやすい部分にある
気になって触ってしまう
などの原因が考えられます。
ほくろを傷つけてかさぶたができる場合、心配いらないケースがほとんどですが、まれに悪性に変わることもあります。
かさぶたを繰り返すほくろがある人は、一度「皮膚科」に相談することをおすすめします。
こんなときは要注意!
何もしていないのに、ほくろにかさぶたができている
出血している
形が変化してギザギザになってきた
という場合は、皮膚ガンのリスクがあります。
小さな皮膚ガンでも、リンパ節・臓器・骨などに転移し、放置していると末期ガンまで進行する場合があります。上記に心当たりがある場合は、放置せず「皮膚科」を受診しましょう。
こんな人は「皮膚ガン」を発症しやすい
日中は野外で活動する時間が長い
日焼け止めを使わずに野外でレジャーをしている
火傷痕がある
免疫を抑える薬を飲んでいる
皮膚ガンは、紫外線のダメージにより発症するケースが多いため、屋外に長時間いる人はリスクが高いと考えられます。
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【チェック】危険な「ほくろ」の見分け方
大丈夫なほくろ
危険なほくろ
大きさが長年変わらない
色が均一
丸く境界がはっきりしている
左右対称
急に大きくなる
色がまだら(赤っぽい色が混じる)
ジュクジュクしている
左右非対称
急に大きくなったり、変形したりしている場合、危険なほくろであるリスクが高いです。
ほくろの「大きさの変化」「隆起」「一部の色の変化」を観察しましょう。
かさぶたを剥がすと…どうなる?
自分でかさぶたを剥がしてしまうと、出血したり、傷跡が残ったりするリスクが高まります。
また、ほくろが皮膚ガンであった場合、それがガンへの刺激となり、気がつかないまま進行してしまうおそれがあります。
ほくろに「かさぶた」ができたときのNG行為
ほくろを「触る」「擦る」「強く洗う」のは避けましょう。
かさぶたが早期に剥がれてしまい、出血や傷が治るのが遅くなるおそれがあります。
かさぶたを何度も繰り返すときは、皮膚科で受診を
ほくろのかさぶたを何度も繰り返す場合は、念のため皮膚科で受診しましょう。
特に、何もしていないのにほくろから出血が見られる場合、皮膚ガンのおそれがあるため要注意です。
受診する際は、
いつ症状に気がついたか
気がついたときにほくろはどのくらいの大きさだったか
ほくろの変化
などを医師に伝えるとよいでしょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本皮膚科学会 メラノーマ
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2022-05-31
「お腹に茶色のシミがたくさんができた…」
「原因は何?」
お腹に茶色いシミができる原因をお医者さんに聞きました。
お腹に茶色のシミがたくさん…原因は?
腹部にできるシミは
服・下着との接触
皮膚の洗浄不足
皮膚の老化
などが原因となって発生することが多いです。
腹部はズボン・スカート・タイツ・下着などが接触する部分です。
「服を脱ぐとウエスト部分に跡が残っていた」という経験がある方も多いでしょう。
腹部はそれだけ刺激を受ける機会が多いため、シミができやすくなります。
また、洗浄不足で残った「酸化した皮脂」が刺激となり、シミを作ることもあります。
体を丁寧に洗わない人は、皮脂が原因となっている可能性も考えられます。
加齢によるシミは「40代から」現れてくる!
加齢によるシミは「脂漏性角化症」と呼ばれるもので、健康な人にも起こる皮膚の老化現象です。
一般的に40代頃から見られる傾向があり、早い人では30代から発生する人もいます。
お腹のシミを予防するために
お腹のシミを予防するために
腹部をこする、締め付ける衣類を避ける
衣類は通気性の良いものを身につける
ことを普段から心がけましょう。
腹部のシミは、衣類の接触が原因で起きる場合があります。
ストッキング・タイツ・ベルトは締め付けが少ない物を使用してください。
帰宅したらすぐに「ゆるいラインの衣類」に着替えましょう。
特にかぶれやすい人は、ワンピースなどできるだけ腹部に刺激を与えない服装にしましょう。
汗をかいたら、シャワーを浴びよう!
「汗」や「酸化した皮脂」はシミを作る原因になります。
汗をかいたら衣類を変える・こまめにシャワーを浴びるなどの対策で、汗や皮脂が肌に触れている時間を短くしましょう。
お腹の大量のシミは、皮膚科に行くべき?
放っておくと、シミが徐々に色濃くなって目立ってくることもあります。
シミが自然に消えることほぼないので、気になる場合は皮膚科で治療を受けるとよいでしょう。
市販のクリーム等でセルフケアをするよりも、「専用の医療機器」で治療するほうがシミ取りに効果的です。
ただし、シミ治療は自由診療のケースが多いため、費用面で負担がかかりやすい点がデメリットといえます。
※老化によるシミ(脂漏性角化症)の場合、保険適用になるケースもあります。
「急にシミが大きくなっている」は皮膚ガンの疑いも
急激にシミが大きくなる
湿疹のようなものが数ヶ月以上続く
形が変化している
といった症状がある場合は、皮膚ガンの疑いがあります。
心当たりのある方は、早めに皮膚科で診てもらいましょう。
皮膚ガンの場合、進行すると体中にがん細胞が拡がっていきます。
命を守るためにも、早めの受診で早期発見につなげることが大切です。
皮膚科を探す
皮膚科ではどんな治療を受けるの?
皮膚科では
薬剤による治療
レーザー治療
凍結療法
などでシミの除去を図ります。
治療法
保険適用or自由診療
費用目安
薬剤による治療
自由診療
2,000~3,000円
レーザー治療
自由診療
※脂漏性角化症には保険適用される場合もある
数千円〜数万円(自由診療)
2,000~3,000円(保険診療)
凍結療法
(脂漏性角化症に行われる)
保険適用
2,000~3,000円
治療法① 薬剤による治療
「ハイドロキノン」を配合した塗り薬をシミに塗り、シミの色を薄くさせます。
ハイドロキノンには、シミの元となる「メラニン」の生成を抑えたり、メラニンを生成する「メラノサイト」そのものを減少させたりする効果があります。
「ハイドロキノン」を含む市販品と、どう違うの?
医療機関で取り扱う薬の方が、ハイドロキノンの濃度が高いです。
「シミにしっかりと働きかける」という点で、市販品よりも優れているといえます。
費用は?
薬剤を使ったシミ治療は保険適用外です。
医療機関によって差はありますが、2,000円〜3,000円程度の場合が多いでしょう。
治療法② レーザー治療
色の濃いものに反応するレーザーをシミに照射します。
1週間ほどでシミがかさぶたのようになり、はがれ落ちると色が薄くなります。
費用は?
基本的に保険適用外です。
シミ1つにつき数千円〜、数が多い場合は数万円などの様々な料金設定があります。
※脂漏性角化症の場合は保険適用となり、イボの個数にもよりますが2,000〜3,000円です。
治療法③ 凍結療法(脂漏性角化症の場合)
液体窒素を使ってシミを凍結させ、切除します。
「脂漏性角化症(加齢によるシミ)」と診断した場合に検討される治療法です。
費用は?
脂漏性角化症の場合は保険適用です。
シミの個数にもよりますが、2,000〜3,000円です。
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▼参考
一般社団法人日本形成外科学会 しみ