なぜ?30代で、夜中に何度も目が覚める…
原因が思い当たらないのだけど…
30代の「夜中に何度も目が覚める」原因を、お医者さんに聞きました。
夜ぐっすり眠るための対策・疑われる病気についても詳しく解説します。
放置すると心身に不調をきたすこともあるので、不眠に悩んでいる30代の方は要チェックです。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
30代に多い「夜中に何度も目が覚める…」原因
30代で夜中に何度も目が覚める場合、ストレス・自律神経の乱れがよくある原因として挙げられます。
これは「中途覚醒」と呼ばれ、眠りが浅くなっている状態の人に起こる症状です。
特に、
- 生活環境の変化(結婚・出産など)
- 人間関係が上手くいっていない
- 残業が続いている
- 夜型の生活を送っている
などに当てはまる人は、眠りが浅くなりやすいです。
30代は、20代に比べて仕事の責任が増え、結婚・出産などによる生活環境の変化を経験する人も多い時期です。
ストレスの蓄積によって眠っている間も体が緊張状態になり、夜間に何度も目が覚めてしまう場合があります。
「夜中に何度も目が覚める」ときの対処法
- 就寝・起床時間を一定にする
- 日中に太陽の光を浴びる
- 午後に軽く汗ばむ程度の運動をする
- 就寝の2〜3時間前に、ぬるめのお風呂にゆっくり入る
- 一日の中で趣味の時間を確保する
- 夕方以降にカフェイン(コーヒー、紅茶など)をとらない
- 寝酒をしない
- 就寝前にパソコン・スマートフォンを使用しない
上記を参考に、生活リズムを整えたり、ストレスをこまめに発散したりしてみましょう。
自律神経が安定してくると、ぐっすりと眠れるようになることが多いです。
夕方以降のカフェインの摂取・就寝前のスマホの使用・寝酒などは、睡眠の質を下げるので控えましょう。
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2023-01-17
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今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
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眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
≪チャンネル紹介≫
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【セルフチェック】こんな症状は「不眠症」と診断されるかも
不眠症の症状チェック
- 熟睡できず、十分に疲れが取れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 起床したい時間よりも2時間以上早く目が覚める
- 日中に強い眠気を感じる
- 眠っているはずなのに、よく寝たという満足感がない
上記の症状が週2回以上あり、それが1ヶ月以上続いているのであれば、不眠症の可能性があります。
不眠症とは、夜にうまく眠れないことで、日中の活動に影響が出てしまう状態です。
睡眠全体の質が落ちており、寝ている途中で目が覚めてしまいます。
様々な原因が考えられますが、大きなストレスを感じながら生活を送っている人が不眠症になりやすいです。
不眠症には「病気が隠れている」ことも多い
「夜中に何度も目が覚める」という症状には、
などの病気が隠れているケースもあります。
それぞれの主な症状や対処法を解説していきます。
心当たりがないか、チェックしてくださいね。
不眠症を招く病気① うつ病(気持ちの落ち込みが強くなる)
うつ病の症状チェック
- 気分が落ち込む
- 楽しかったことが、楽しくなくなった
- 食欲や体重が減った、もしくは増えた(※)
- 眠れない、もしくは眠りすぎる
- 行動が遅くなったり、焦りを感じたりする。
- 疲れやすい
- 集中力が下がる
- 自分を責めたり、価値がない人間だと思ったりする
- 自分の体を傷つけたり、死にたいと思ったりする
※体重減少の目安は、1ヵ月のうちに元の体重の5% 以上
うつ病とは、落ち込み・不安感などが長期的に続く病気です。
上記のような症状に5つ以上該当し、それらが2週間以上ほとんど毎日続く場合、うつ病の疑いが強くなります。
ストレスの多い生活を送っている人がなりやすいと考えられます。
うつ病になると、睡眠が浅くなり、寝ている途中で目が覚めてしまうことがあります。
「うつ病」は病院で相談を
うつ病が疑われるときは、早めに「精神科」で受診しましょう。
放っておくと状態が悪化し、治療が長期化するリスクもあります。
病院で相談すると、カウンセリング・抗不安薬の処方等で改善を図ってもらえます。
精神科を探す
不眠症を招く病気② 周期性四肢運動障害(寝ているときに体がピクピク動く)
周期性四肢運動障害の症状チェック
- 睡眠の途中で起きる
- 脚や腕がピクピク繰り返し動く・跳ねる
周期性四肢運動障害とは、寝ている間に腕・足が無意識に動いてしまう病気です。
体が動くことによって目が覚めてしまう場合があります。
発症のキッカケとしては、貧血・運動不足・カフェインの過剰摂取などが挙げられます。
「抗うつ薬」「抗不安薬」の服用が発症のキッカケとなるケースもあります。
周期性四肢運動障害かも…どうすれば?
- 「ビタミンC」や「鉄」を多く含む食品をとる
- カフェインの摂取を控える
- タバコを控える
といった対策をとると、症状が和らぐことがあります。
特に、カフェインを多く含む「コーヒー」「エナジードリンク」などは控えた方がよいでしょう。
不眠症を招く病気③ 睡眠時無呼吸症候群(いびきをかく)
睡眠時無呼吸症候群の症状チェック
- 周囲の人からいびきを指摘される
- 夜間の睡眠中によく目が覚める
- 起床時に、頭痛や体がだるい感じがする
- 日中に眠気がある
睡眠時無呼吸症候群の人は、睡眠中に呼吸が止まったり、大きないびきをかいたりします。
寝ているときに呼吸が苦しくなるため、夜中に目が覚めることも多いです。
発症の主な原因は「気道が塞がれること」です。
肥満で首に脂肪が付きすぎている人・扁桃腺が大きい人に発症しやすいです。
睡眠時無呼吸症候群かも…どうすれば?
- いびき用の「マウスピース」を付ける
- 抱き枕を使って横向きに寝る
といった対策をとると、気道が確保されて改善するケースもあります。
ただし、上記のケアで改善しない場合は、早めに「呼吸器内科」で受診してください。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞の発症につながる恐れもあります。
呼吸器内科を探す
改善がみられないときは、医師に相談を
- 「夜中に何度も目覚める」症状が3日以上続いている
- 日中に強い眠気を感じる
といった症状がある場合は、一度病院で相談してみましょう。
睡眠不足の状態は、仕事に支障をきたしやすいものです。
特に車の運転をされる方は、思わぬ事故につながる恐れもあるため、早めの受診をおすすめします。
病院は何科にいけばいい?
症状
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おすすめの診療科
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「夜中に途中で目が覚める」以外に症状がない
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内科
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いびきを指摘されたことがある
|
呼吸器内科
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気持ちの落ち込み・不安感がある
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精神科
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「睡眠時無呼吸症候群」・「うつ病」など、原因となる病気によっておすすめの診療科は異なります。
上記の表を参考に、自分に合った診療科を選択しましょう。
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