「太ももに赤い斑点ができた…」
「かゆくないけど、これって大丈夫なの?」
太もものかゆくない、赤い斑点に関する疑問などを、お医者さんに聞きました。
自分でできる対処法や早期に医療機関で治療を受けるメリットも解説していきます。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
なにこれ?太ももにできた「かゆくない赤い斑点」
太ももにあらわれる「かゆくない赤い斑点」は
- 薬疹
- IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
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2021-03-26
何これ?太ももに赤い湿疹ができた…!
そのブツブツの原因をお医者さんに聞きました。
「放っておけば自然に治る?」
「市販薬を使ってもいい?」
といった疑問を解決します。
太ももに赤い湿疹が…!どう対処すればいい?
かゆみがある場合は、濡らしたタオルやタオルに包んだアイスパックなどを使って、かゆみのある部分を冷やしましょう。
ヒドロコルチゾンを配合した市販の薬を使用しても良いです。
ヒドロコルチゾンを配合した市販薬
ロコイダンクリーム(クラシエ)
オイラックスA(第一三共ヘルスケア)
ドルマイコーチ軟膏(ゼリア新薬)など
かゆみがない場合は、かゆみの原因となる物質と触れた可能性が高いです。
すぐに石鹸と水で洗い流し、再びその物質と接触しないようにしてください。
これはNG!悪化させてしまう対処法
かゆみが悪化するので、温めないでください。
患部が傷ついてしまう可能性があるので、かきむしらないようにしてください。
考えられる2つの原因
太ももにできた赤い湿疹は
接触性皮膚炎(かぶれ)
アトピー性皮膚炎
の可能性があります。
原因① 接触性皮膚炎(かぶれ)
特定の物質に直接触れることで赤い湿疹ができる「接触性皮膚炎(かぶれ)」の可能性があります。太ももだけではなく、全身に出現する可能性があります。
接触性皮膚炎の原因は「特定の物質に直接触れること」ですが、特定の物質には「刺激性」と「アレルギー性」の2種があります。
① 「刺激性」の接触性皮膚炎
化学物質など特定の物質に触れることが原因で起こる皮膚炎です。
原因物質そのものの刺激によって起こるため、誰にでも発症すると考えられます。
▼原因物質
アルカリ(配水管洗浄用洗剤など)
酸
溶剤(アセトンなど)
強力な石けん
体液(唾液・尿など)
植物(ポインセチア・コショウなど)
赤い湿疹の特徴
かゆみよりも痛みが強く、発疹の中に小さな水ぶくれができます。
短時間の皮膚の赤みから、大きな腫れや水ぶくれを生じるケースまで、人それぞれです。
最初は原因物質に触れた部分だけ湿疹が発生しますが、皮膚が薄く敏感な部分から炎症が起こり、時間が経つと物質と触れていない部分や皮膚の厚い部分にも生じます。
発症しやすい人
20~30歳代と50~75歳代に多い傾向にあります。
② 「アレルギー性」の接触性皮膚炎
皮膚に触れた物質に対して、免疫系が拒否反応を起こすことで炎症が起こります。
ステロイド入りの薬など、特定物質に触れた後に太陽光線を浴びると皮膚炎が生じることがあります。
▼原因物質
植物(ツタウルシなど)
ゴム(ラテックスを含む)
香水
抗菌薬
保存剤
金属(ニッケルやコバルトなど)
日焼け止め
アフターシェーブローション
太陽光 など
赤い湿疹の特徴
特定の物質に触れたあと4~24時間以内に、強いかゆみを伴う湿疹が現れます。
高齢者では3~4日後に症状が現れることもあります。
発症しやすい人
アレルギー体質の人が発症しやすいです。
湿疹以外の症状はある?
痛みがある
かゆみがある
長期間続くと、皮膚の表面がガサガサ、ゴワゴワする
長期間続くと、色素沈着を起こす
接触性皮膚炎はどうしたら治る?
接触性皮膚炎が疑われる場合、自己判断で対処するのではなく、皮膚科で原因物質を特定し治療を受けましょう。
皮膚科では塗り薬や飲み薬を処方されることが多いです。
皮膚科を探す
原因② アトピー性皮膚炎
かゆみのある湿疹が慢性的に続く病気です。
子どもの場合、内ももに赤い湿疹ができることが多いです。
赤い湿疹の特徴
体のさまざまな部位にかゆみを伴う赤い湿疹が現れます。
プツプツと盛り上がったり、ジュクジュクしたり人によって症状はさまざまです。
発症しやすい人
もともと肌が弱く、アレルギー体質の人が発症しやすいです。
湿疹以外の症状はある?
かゆみ
アトピー性皮膚炎はどうしたら治る?
アトピー性皮膚炎は市販薬や自然治癒するのが難しい病気です。
症状が落ち着いても、再発する可能性が高いので、医療機関で治療を受けましょう。
医療機関では塗り薬や飲み薬を処方されることが多いです。
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医療機関に行く目安
市販薬を1週間程度使用しても症状が改善されない
痛み・かゆみが強い
という場合は、速やかに皮膚科へ行きましょう。
放置すると不快な症状が続くばかりでなく、皮膚がガサガサになったり、色素沈着を起こすこともがあります。早めに皮膚科を受診しましょう。
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▼参考
MSDマニュアル家庭 接触皮膚炎
日本皮膚科学会ガイドライン 接触皮膚炎診療ガイドライン 2020
第一三共ヘルスケア かぶれ(接触皮膚炎)
原因① 薬疹
ある特定の薬に対するアレルギー反応として、赤い斑点が生じます。
薬疹の場合、太もも以外の全身にも出ます。
薬疹の斑点の特徴
- 赤い部分が盛り上がっている
- 形と大きさはさまざまで、通常左右対称にできる
- 体の一部に現れ、少しずつ広がっていく
- 皮膚の色が紫色・青色・灰色に変色する
- 薬を使用してから数分以内に赤い斑点が生じる場合もあれば、数時間・数日・数週間後に生じる場合もある
なりやすい人
- アレルギー体質の人
- 薬疹を起こしやすい薬を使用している人
斑点以外の症状はある?
- 痛みを伴う
- 倦怠感がある
- 口の中がただれている
- 発熱する
- リンパ節が腫れる
- 肝臓・腎臓・骨髄などに障害がある
- 血圧が低下する
- ショックを起こす
太もも以外にも斑点はできる?
太もも以外にも、全身の皮膚・口の中・目に現れます。
口の粘膜に異常がある場合、症状はひどくなり命に関わることがあります。
自分でできる対処法は?
まずは、原因と思われる薬の使用を中止してください。
その後、自己判断で対処するのではなく、皮膚科など医療機関を受診しましょう。
原因となっている薬を特定するために、使用中の薬やおくすり手帳を持って行きましょう。
使用している市販薬があれば、その旨を医師に伝えてください。
医療機関での治療方法
医療機関では原因のものを除去する指導を行い、その上で、症状に応じてステロイドや抗ヒスタミンの薬物療法を行います。
軽度であれば、2週間ほどで治ることが多いです。
原因② IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)
詳しい原因はわかっていませんが「IgA※」という抗体が、血管の壁に付着し、皮膚の細い血管で炎症を引き起こすことで、太ももに赤い斑点ができます。
※IgA 体にウイルス・細菌などの異物が侵入したときに作られる抗体
IgA血管炎の斑点の特徴
- あざのように赤い
- 斑点を触るとしこりがあり、押すと痛む
- 蕁麻疹が1つにまとまったような赤い斑点ができる
- 数日~数週間経つと、皮膚に新しい斑点や盛り上がりができる
なりやすい人
- 3~15歳の子ども
- がん患者
- 感染症にかかっている人
- 薬を使用している人
- 妊婦
悪性腫瘍、細菌・ウイルスの感染、薬剤、妊娠などが誘因となることから、がん患者や感染症にかかっている人、妊婦はかかりやすい傾向にあります。
斑点以外の症状はある?
- 発熱する
- 足首・膝・腰・手首・肘などの関節が腫れる
- 足首・膝・腰・手首・肘などの関節がうずくように痛む
- 足首・膝・腰・手首・肘などの関節を押すと痛い
- 筋肉のけいれんを伴う腹痛がある
- お腹を押すと痛い
- 吐き気、嘔吐
- タール状の黒い便がでる。(黒色便)
- 下痢をする
- 便や尿に血液が混じる
太もも以外にも斑点はできる?
太もも以外にも、足・腕・体幹に現れます。
自分でできる対処法は?
症状は通常4週間程度でおさまりますが、数週間後に再発するケースが多いです。
再発予防のためにも、自己判断で対処するのではなく、速やかに医療機関を受診しましょう。
医療機関での治療方法
薬によって起こっている場合は、薬の中止を行います。
そのほかは、症状に対しての対症療法を行います。
治療には、1ヶ月ほどかかることが多いです。
医療機関に行く目安
赤い斑点が広がっている場合や「薬疹」、「IgA血管炎」のような症状が見られる場合は、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
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原因がわからない「赤い斑点」は早期受診を!
紹介した病気の他にも「血管炎」「横紋筋融解」など、血管疾患が原因で太ももに赤い斑点ができることもあります。
早期に医療機関で検査を受けることで、赤い斑点が悪化する前に適切に治療していくことが可能になります。
斑点ができる部位によっては、放置すると命にかかわることもあるので、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
◆血管炎…全身のさまざまな血管に炎症が起きる病気です。原因不明のケースもあれば細菌・ウイルス感染が原因の場合もあります。
◆横紋筋融解…筋肉を作る骨格筋細胞が溶けたり壊死したりすることで、筋肉の成分が血液中に流出してしまう病気です。薬・ケガなどが原因と言われています。
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2020-11-19
「足に赤い斑点ができた…」
「かゆくないけど、これって大丈夫なの?」
自然に治る?病院に行くべき?
足にできたかゆくない赤い斑点について、お医者さんに聞きました。
対処法と病院に行く目安も解説します。
かゆくない足の赤い斑点の正体は?
足にかゆみがない赤い斑点が出ている場合、
薬疹
IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
の可能性が高いです。
原因① 薬疹
薬疹とは
薬に対するアレルギー反応
薬の副作用
長期間の摂取による薬剤の蓄積
少量の薬剤でも過剰状態(不耐性)
本来の薬理作用と異なる効果(特異体質)
がでている状態です。
薬を使用して数分以内に症状があらわれるケースもあれば、数時間・数日・数週間後にあらわれるケースもあります。
薬疹を起こしやすい薬を使用している、薬に対して反応するような細胞や抗体がある人などがなりやすいと考えられます。
薬疹の「斑点の特徴」
赤い部分が盛り上がっていることが多いです。
皮膚が紫色・青色・灰色に変色することもあります。
赤い斑点以外の症状
倦怠感がある。
痛みがある。
口の中がただれる
熱が出る。
リンパ節が腫れる。
肝臓、腎臓、骨髄などの他臓器障害がある。
血圧が低下する。
ショックを起こす。
早く治すためにできることは?
原因となる薬を特定する必要があるため、医療機関を受診しましょう。
その際、おくすり手帳など使用している薬がわかるものを持っていくと良いです。
使用している市販薬があれば、あわせて伝えてください。
原因② IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)
血管炎の一種で、頻度が高い病気です。
皮膚の細い血管に障害がおこることで、斑点が生じます。
細菌やウイルスの感染、薬剤、妊娠、悪性腫瘍などが誘因と考えられています。
3~15歳の子どもがなりやすいですが、どの年齢でもなる可能性があります
IgA血管炎斑点の「斑点の特徴」
膝から足首に、あざのような赤い斑点ができることが多いです。
斑点を触ると、軽いしこりのようなものがある場合があります。
※乳児の場合は顔、小児の場合はおしり・ふともも・背中・腕にできることが多いです。
赤い斑点以外の症状
血疱(血液を含んだ水ぶくれ)がある。
直径1cm以内の皮膚のもりあがり(丘疹)がある。
ただれている。
潰瘍がある。
微熱がある。
倦怠感がある。
関節が痛い。
腹痛や吐き気がある。
タール状の黒い便や下痢をしている。
最初の症状から数日・数週間後に、皮膚に新しい斑点や盛り上がりができることもあります。
早く治すためにできることは?
IgA血管炎が疑われる場合は、自己判断せず、早急に皮膚科を受診しましょう。
上記したような症状は通常は4週間ぐらいで治まりますが、数週間後に再発することが多いです。再発を予防するためにも、一度病院で診てもらうことをおすすめします。
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受診するのは何科?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
特に、皮膚のもりあがりやしこりがある、皮膚症状以外にも症状がみられる場合は、一度病院に行きましょう。
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▼参考
皮膚病治療情報・皮膚科教科書 あたらしい皮膚科学 第3版 薬疹
MSDマニュアル家庭版 薬疹
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 血管炎・紫斑病
MSDマニュアル家庭版 IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病)