「生理が来ない…」
「もしかして、太り過ぎが原因?」
肥満は生理不順の原因になるのか、お医者さんに聞いてみました。
生理不順の改善方法や、ダイエットのポイントなども解説します。
“急激な体重増加”などの太り方は、特に注意が必要です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
太り過ぎると生理が止まるってホント?
太り過ぎると、生理が止まる、生理不順になることもあります。
これは肥満によって
などが起こり、排卵に悪影響を及ぼすためです。
食生活が関係していることも
肥満は食生活の乱れで起こりやすいため、栄養に偏りが生理不順を招いているケースもあります。
また、「痩せたい」という気持ちから無理なダイエットをすると、栄養バランスが乱れて生理に影響がでます。
「多嚢胞性卵胞症候群」を発症しているケースも
「多嚢胞性卵胞症候群」は、卵胞の育成が途中で止まることで、生理が遅れたり、生理がこなくなったりする病気です。
肥満症の人の5%〜8%が発症すると言われています。
この病気は月経異常のほか、不妊、多毛などの原因にもなります。
こんな太り方をしている方は要注意!
- 急激に元の体重の20%異常増加した
- またはBMI値が25以上ある
という人は、注意が必要です。
上記は、生理不順や無月経を起こす恐れがある太り方です。
急に太る場合は、体に急激に負担を与えるため、自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなります。
「BMI値」と「適正体重」の計算のしかた
BMI値…体重kg÷(身長cm)2
適正体重…(身長cm)2×22
太り過ぎによる生理不順を改善するには?
標準体重に近づけることが、生理不順の改善にもつながると考えられます。
ただし、あまりにも大幅な減量が必要な場合は、病院で相談しましょう。
病院では、卵巣の働きを低下させないために、ホルモン剤を投与して排卵を誘発させることもあります。
減量は具体的に何をすればいいの?
摂取したエネルギーよりも多くエネルギーを消費することで、体重が減っていきます。
そのため、「適正量の食事」と「適度な運動」がダイエットの基本となります。
「筋肉量を増やす」 → 代謝機能を高くさせる
「質の良い睡眠をとる」 → ホルモンバランスを安定させる
「朝型の生活にする」 → 体内時計をリセットし代謝機能やホルモンバランスを正常にする
といった方法も取り入れると、ダイエットしやすくなります。
合わせて読みたい
2022-03-31
「生理不順が続いて太りやすくなった気がする」
「ホルモンバランスの乱れが原因?」
ホルモンバランスの乱れで太るのか、栄養士さんに聞いてみました。
生理不順の人におすすめのダイエット方法も解説します。
ホルモンバランスと体重の関係
ホルモンが持つ働き
多く分泌されると…?
エストロゲン
脂質の代謝を促す
精神状態の安定、機嫌がよくなる
痩せやすい
プロゲステロン
体内に水分を溜め込む
食欲旺盛になる
太りやすい
女性ホルモンのバランスが乱れると太りやすくなることがあります。
これは「プロゲステロン」の分泌が多くなり、むくみや食欲が増進するために起こります。
なお、ホルモンバランスが乱れていない通常時でも、「プロゲステロン」は排卵~生理前の期間に多く分泌されます。
そのため、特に生理前は「太った」「食欲が止まらない」と感じやすいです。
エストロゲンは多いほどいい…わけではない!
エストロゲンは痩せやすい点がメリットですが、過剰な分泌はホルモンバランスの乱れにつながり、生理不順・不正出血を起こすリスクがあります。
また、分泌量が多いと乳がんになるリスクが高くなるともいわれています。
あくまでも「バランスのとれた状態」で正常に分泌されることが大切なのです。
生理不順=ホルモンバランス崩れのサイン
生理不順の主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。
特に、
ストレスが多い人
食生活が乱れている人
生活リズムが乱れている人
40代以上の人
などは、ホルモンバランスの乱れによって、生理周期が不安定になりやすいです。
「生理不順があって、体重の増加も気になる…」という方には、ホルモンバランスを整えてみることをおすすめします。
ダイエットSTEP①「生活リズムを整えよう」
ホルモンバランスを安定させるには、食事や睡眠の見直し、ストレス対策などを行うことが大切です。
生理不順の方には、
3食バランスのよい食事を摂る
質のよい睡眠を7~8時間とる
規則正しい生活リズムに整える
ストレスを抱え込まない
などの対策をまずおすすめします。
方法① 3食バランスのよい食事を摂る
1日3食、栄養バランスのよい食事を摂りましょう。
和定食をイメージして副菜・主菜・主食を揃えると、バランスが整いやすいです。
糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルをきちんと摂ると、体が上手く働いて代謝のサポートやホルモンバランスの安定につながります。
朝ご飯を食べる習慣がない人は、まずは朝何か食べることから始めましょう。
方法② 質のよい睡眠を7~8時間とる
寝つきをよくする方法
就寝の2~3時間前に入浴する
スマホやPCの使用を控える
質のよい、十分な睡眠を確保しましょう。
特に「夜更かししてしまう人」は毎日の就寝時間を決めると、睡眠時間を確保しやすくなります。
女性ホルモンの分泌と自律神経は、脳の同じ部分で調整されるため連動します。
質のよい睡眠で自律神経が整えられると、女性ホルモンの分泌も安定しやすいです。
一方「睡眠不足」は、食欲を増進させるホルモンを分泌させて過食につながるので避けましょう。
方法③ 規則正しい生活リズムに整える
規則正しい生活リズムに整えましょう。
できる限り毎日の就寝・起床時間を同じにして、同じ時間に食事をとりましょう。
生活リズムを確立することによって、体内時計が安定します。
体内のホルモン分泌や代謝も規則的になるため、ホルモンバランスも整うようになります。
方法④ ストレスを溜め込まない
ストレス発散方法の例
友達とおしゃべりをする
ウォーキングやヨガなどの軽い運動をする
熱中できる趣味の時間を作る
できる限りストレスを溜め込まない、発散するようにしましょう。
自分なりのストレス発散方法を持つとコントロールしやすくなるでしょう。
ストレス過多は、自律神経の乱れにつながります。
ストレスを感じたら解消する習慣をつけることで、自律神経も乱れにくく、ホルモンバランスも安定しやすくなります。
STEP②「軽めの運動を継続しよう」
バランスのよい食事をベースに「軽めの運動」を習慣づけて、カロリーを消費させましょう。
ランニング
ジョギング
ウォーキング
などを1日20分以上行うと、脂肪燃焼効果があります。
ダイエットの基本は、「摂取カロリーよりも消費カロリーが多い」状態を維持させることです。
まずは「ウォーキング」などの継続できそうな運動から始めてみましょう。
また、習慣的に体を動かしていると筋力が増えて「基礎代謝」も高くなり、ダイエットの効果が出やすくなります。
生理後1週間がダイエットチャンス!
生理後1週間は“ホルモンバランスが安定しやすい”ため、ダイエットの効果を実感しやすいです。ぜひ、この期間から始めてみましょう。
【逆効果】こんなダイエットはNG!
糖質や脂質を“極端に制限”するダイエットは、控えましょう。
過度なダイエットを行うと、栄養不足によって生理不順が悪化したり、筋肉量が減って痩せにくい身体になるリスクがあります。
▼参考
日本末病システム学会雑誌「エストロゲンの肥満抑制作用について」
和田努「エストロゲン・プロゲステロンによるインスリン抵抗性」
公益財団法人神戸医療産業都市推進機構、国立大学法人京都大学「新しい乳癌誘導系でエストロゲンによる発癌メカニズムの一端を解明」
岩崎基「これだけは知っておきたいリスク要因と予防要因 最終回乳がん」
「食欲調整ホルモン(レプチン、グレリン)と睡眠時間・睡眠の質との関係」体力・栄養・免疫学雑誌(JPFNI)第25巻第1号,2015年. 日本医師会 〈 注意喚起 File.1 〉
ダイエットをするときのポイント
- 減量は「1か月に体重の5%以内」にする
- 生理後にダイエットする
- 食事制限で無理をしない
- 軽い運動を毎日続ける
ダイエットをするときは、上記の4つのポイントを心がけましょう。
ポイント① 減量は「1か月に体重の5%以内」にする
1ヶ月で体重の5%以上を落としてしまうと、
- その後、痩せにくくなる(リバンドしやすい)
- ホルモンバランスが崩れる
- 生理不順になる
などを引き起こすリスクが高まります。
「早く痩せたい」と思うものですが、焦らず健康的に減量を進めていきましょう。
ポイント② 生理後にダイエットする
生理が終わると、ホルモンバランスが変わって痩せやすくなります。
また、女性ホルモンの働きが変わって気持ちに余裕ができるので、ダイエットを前向きに行いやすいといえます。
「生理前」はダイエットに不向き
生理前は、
- 水分を体にため込みやすくなる
- 便秘になる
- 気分が落ち込みやすくなる
という人が多く、ダイエットには不向きの期間です。
ポイント③ 食事制限で無理をしない
食事制限をする場合は、
- まずは食べ過ぎをやめる
- 適度な食事量を長期的に続ける
など、無理なく継続できるやり方がおすすめです。
豆腐だけなど「一つのものだけを食べる」食事制限は、栄養が偏る原因となります。
また、「長期間の糖質制限」は、頭痛、睡眠の質の低下、ホルモンバランスの乱れ、イライラなどを招くのでおすすめできません。
糖質制限をする場合は、「1日の中で夜だけ抜く」などが効果的と考えられます。
ポイント④ 軽い運動を毎日続ける
キツすぎる運動を週に一度行うよりも、軽い運動を毎日続けましょう。
軽い運動でも挫折せず続けることで、筋肉が増えて脂肪が燃えやすくなります。
- 普段の生活+10分程度の運動から始める
- 速足で歩く(1日30~60分程度)
といったものでも良いでしょう。
ダイエット成功のコツは「長く続けること」
減量を成功させるには、
といった習慣を長く続けることが重要です。
無理があると継続できなくなるので、少しずつでもコツコツと続けましょう。
また、病気のリスクを避けるため、大幅な減量は避けましょう。
長期間「生理が止まったまま」の状態が続くと…
無月経の状態が長期にわたって続くと、女性ホルモンの分泌が低下するため、子宮の萎縮や骨量の減少などが起こる恐れがあります。
無月経が長期間続くと、不妊にもつながります。
婦人科を探す
生理が来ない「病院に行くタイミングは?」
生理不順が2~3ヶ月程度続いている場合は、一度病院に行きましょう。
また、「不正出血」や「生理の出血量の増減が激しい」場合は“異常のサイン”です。
放置せずに病院で相談しましょう。
病院は何科に行けばいい?
病院は、まずは「婦人科」で受診しましょう。
婦人科では、排卵誘発剤で治療を始めます。
また、太り過ぎによって生活習慣病を発症している場合は、内科医と相談しながら減量を進めます。
受診時に伝えられるといいこと
- 直近の生理日
- 出血などの状態
- 体重の増加があれば、どの程度か
- 生活での変化
(引越しをした、結婚したなど、生活リズムの変化や体に負担があること)
上記を医師に伝えられるとよいでしょう。(メモ書きしておくのがおすすめです)
また、基礎体温表などをつけていれば持参しましょう。
婦人科を探す
合わせて読みたい
2022-11-29
生理が2週間も遅れてる…。
これってストレスが原因?
ストレスにより生理が2週間遅れることはあるのか、お医者さんに聞きました。
妊娠以外に考えられる原因や、妊娠の可能性があるときの対処法も解説します。
生理が2週間遅れている…原因はストレス?
ストレスのせいで、2週間ほど生理が遅れるケースもあります。
過度のストレスは女性ホルモンのバランスを乱すため、生理が遅れたり、止まったりする原因となります。
ストレスによる生理不順が疑われる場合は、体と心をいたわる期間を設け、休息をとりましょう。
普段から、こまめにストレスを発散することも大切です。
おすすめのストレス発散方法
湯船に浸かってリラックスする
外で日光浴をする
ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を習慣にする
好きな物を食べる(過食はしない)
生活の中に、好きな香りを取り入れる
熱中できる趣味を持つ
妊娠によって生理が遅れている可能性も
前回の生理のあとに性行為があった場合は、妊娠している可能性があります。
「妊娠検査薬」を使用して、妊娠しているかどうか確認しましょう。
妊娠検査薬は、生理予定日を1週間過ぎてから使用してください。
それよりも早すぎると、妊娠していても「陰性」と出るリスクがあります。
今の検査薬は精度が高いですが、生理予定日前に使用すると不正確になる恐れがあるので、検査日を守りましょう。
妊娠検査薬で陽性が出たら、「婦人科」「産婦人科」を受診しましょう。
陰性でも受診したほうがいい?
陰性だった場合でも、前回の生理の後に性行為があったのであれば、念のため、医療機関で受診することをおすすめします。
生理が頻繁に遅れるなど、生理周期が乱れている人の場合、妊娠検査薬で一度「陰性」と出たとしても、妊娠している可能性は否定できません。
また、妊娠ごく初期の場合、まれに妊娠検査薬で陰性と出ることもあります。
婦人科を探す
産婦人科を探す
妊娠以外に考えられる3つの原因
生理が2週間以上遅れる場合、妊娠以外では、
極端な食事制限を伴うダイエット
激しい運動
生活習慣の乱れ
といった原因も考えられます。
いずれも、女性ホルモンのバランスが崩れる要因となり、生理の遅れを引き起こします。
① 極端な食事制限を伴うダイエット
極端な食事制限により栄養が足りなくなると、ホルモンバランスが乱れて生理が遅れることがあります。
心当たりがある人は、すぐに食生活を見直しましょう。
欠食せず、1日3食、しっかりと食事をとることが大切です。
主菜・副菜・主食を揃えると、栄養のバランスが整いやすくなります。
なお、1ヶ月に5%以上体重が落ちると、体に負荷がかかるためダイエットの効率も低下すると言われています。
ダイエットを継続する場合は、体重が急激に減り過ぎないように注意しましょう。
② 激しい運動
激しい運動は体にかかる負荷が大きいため、ホルモンバランスが乱れて、生理が遅れることがあります。
毎日体を動かせなくなるほどの激しい運動をしている人は、注意が必要です。
運動量を見直して、適度に休息するようにしてください。
③ 生活習慣の乱れ
起床時間・睡眠時間がバラバラ
食事の時間がバラバラ
睡眠時間が短い・休息をとっていない
上記のように生活習慣が乱れていると、ホルモンバランスにも乱れが生じ、生理の遅れにつながります。
心当たりがある人は、「起床時間や就寝時間、食事の時間を一定にする」「6~8時間程度の睡眠時間を確保する」といったことを心がけましょう。
こんなときは、一度病院で相談を
妊娠の可能性がある(前回の生理後に性行為があった)
腹痛・腰痛などの不調がある
上記に当てはまる場合は、医療機関を受診しましょう。
妊娠の可能性がある場合は、正常に妊娠しているかどうか、医療機関で確認してもらいましょう。
腹痛や腰痛、その他の体調不良がある場合は、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの子宮の病気の可能性も考えられるため、早めに受診してください。
病院は「婦人科」または「産婦人科」を受診しましょう。
医師に伝えるポイント
生理予定日
妊娠の可能性があるか
気になる症状(腹痛・腰痛など)
受診の際は上記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
婦人科を探す
産婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本女性心身医学会 月経不順