起立性調節障害が重症化すると、どんな症状がでるの?
お医者さんに、「これ以上悪化させないために、親ができること」を聞きました。
重症化すると「将来的にどんなリスクがあるのか」も解説します。
監修者
経歴
平成14年福井医科大学(現福井大学医学部)卒業
岐阜大学高齢科神経内科入局後松波総合病院にて内科研修、
岐阜大学高次救命救急センター出向。
美濃市立美濃病院内科。
東京さくら病院及び同認知症疾患センター勤務の後
令和元年7月かつしかキュアクリニック開業。
起立性調節障害チェック
3〜4個チェックが入ったら要注意です。
- 朝起き上がれない
- 午前中は動けない
- ベッドから一日起きあがれない
- 顔色がいつも青白い
- 元気がない、覇気がない
- 食欲不振が続く
- 立ちくらみ、めまいが常にある
- 立ち上がった際に気分を悪くする
- 立ち上がった際に失神する
- 動悸や息切れがある
- 頭痛、腹痛、倦怠感などを訴えている
- 乗り物に酔う
悪化してしまう原因は?
起立性調節障害を発症すると、長期化すればどんどん重症化する悪循環に陥りやすくなります。
起立性調節障害を発症すると、日常的な活動量が大きく減少します。
その状態が続くほど、筋力はなくなり、自律神経の機能も悪化していきます。
すると、活動量と脳へ巡る血流がさらに減り、起立性調節障害がどんどん悪化するという悪循環になってしまうのです。
重症化すると…将来的にこんなリスクが
重症化すると自律神経機能の循環調節(特に脳・上半身への血流低下)が障害を受け、通常の日常生活を送ることが難しくなり、長期間に及ぶ不登校・ひきこもりといった状態が続き社会復帰に影響を及ぼすとされています。
長期的なひきこもりは、人とのコミュニケーション能力や対人関係の欠如にも繋がることがあり、発症を認めた際は、早めの治療・環境の調節が重要とされています。
子どもはどう感じている?
最もつらいのは子ども本人です。
この病気は、決してサボっているわけではなく、実際に血流低下・無理すれば失神や動機・動けない・頭痛などの症状が現れます。
子ども達は、日々やりたい・挑戦したいことも多いと思いますが、体がついて行かずにそれらのことを全て諦めています。
友達も会うことが減って、頼れる存在ではなくなったり、差を感じて劣等感を感じたりすることもあります。
親御さんは、ぜひ、必要な治療を受けさせてあげてください。
親ができる改善策
治すために、親ができることを教えてください。
まずは、起立性調節障害の専門医に相談し、治療を受けましょう。
まずは、小児科に相談をして、起立性調節障害の専門医を紹介してもらうか、小児科医でも詳しい医師がいますので、身近な小児科にその医師がいれば相談しましょう。
その上で、生活する上で次のポイントに気をつけましょう。
- 起き上がるときは、頭は下げてゆっくり立たせてあげる
- 動かない起立状態は、1~2分以内に止める
- 食事は塩分を多めにとり、水分は1日1.5〜2リットルは摂取する
- 日々30分程度は歩くようにする(筋力低下を防ぐため)
- 夜は、布団に入り、眠くなくても眠るようにする
- つらい症状を理解してあげ、叱責したり、無理やり行動させたりしない
学校の先生に起立性調節障害発症を報告して、連携を取ってもらうようにしましょう。
病院で治療すべき「受診目安」
次のうち、
という場合は、起立性調節障害を疑い病院を受診しましょう。
まずは、小児科に相談しましょう。
子どもも見てもらえる神経内科が近くにあれば、そちらを受診してもよいでしょう。
- 立ちくらみ
- 失神
- 気分が悪い
- 朝起きられない
- 頭痛
- 腹痛
- 動悸
- 午前中調子が悪く動けないが、午後に動けるようになる
- 食欲不振
- 車に酔う
- 顔色が悪い
病院では、日常生活を、起立性調節障害を考慮して過ごせるようにアドバイス(非薬物療法)が行われます。必要であれば、心理療法も行われ、薬物治療も導入されます。
起立性調節障害は、病気です。
怠けではありません。
親御さん・専門医・学校と連携プレーで解決できるようにする必要があります
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2022-02-28
子どもが朝起きれない。
いつも、午前中は調子が悪い。
もしかして「起立性調節障害」かもしれません。
この病気は、自律神経が成長に動かないことが原因です。
「甘え」ではありません。
「朝起きれない…」子どもに多い病気
寝不足や発熱などの体調不良がないのに、「毎朝起きられない」「起きても動けない」という子どもは、自律神経の機能障害である起立性調節障害の可能性があります。
「怠けている」わけではなく、体の調子が狂い、朝起きられなくなってしまう病気です。朝の忙しい時間に症状が出るので、ついつい叱ってしまうママ・パパもいますが、叱っても症状は良くなりません。治療が必要です。
どうして?起立性調節障害の「原因」
自律神経のコントロールが乱れてしまっているのが原因とされています。
自律神経は、血圧・発汗・体温調節などあらゆる体の機能を担っています。ところがストレス・疲労などの負担が大きいと、自律神経の働きに乱れが生じて、体が思うように動かなくなります。
子どもの体で、何が起こっているの?
正常な状態であれば、立ち上がるときは足の血流が引き締まり、全身へ血液を流して、活動ができます。
しかし、起立性調節障害になると、立っても血流が回りにくくなっています。そのため脳に血が回らなくなり、立ちくらみが起こったり、起きることが困難になったり、失神などの症状が出ます。
起立性調節障害の「症状の特徴」
朝起き上がれない
無理して立っていると、立ちくらみや失神を起こす
めまい
少しの動きで動悸が激しくなる
食欲不振
頭痛、腹痛、倦怠感
乗り物に酔いやすい
入浴で気分が悪くなる
顔色が悪い
嫌な話や嫌な物を見聞きすると調子を崩す
「気合いで治る」ものではありません
気合いでは、体は動くようになりません。
起立性調節障害には、治療が必要です。
起立性調節障害は、ストレス、過度の緊張、精神的な重荷、活動性が低い、塩分や水分不足などが原因となって、自律神経に影響を及ぼして、体がうまく機能しなくなる病気です。
早く治すために、どんなことができる?
どうか、「朝起き上がれないことが続く」、「熱はないみたいだけど体調が思わしくない」という場合は、放置せずに病院へ連れて行ってください。
学校へ通わなくてはならない大事な時期に、つい焦ってしまう保護者の方も多いです。しかし、焦らせても余計本人のストレスとなり、症状が悪くなる場合もあります。
初期で治療を始め、起立性調節障害を長引かせないようにしましょう。
長い間、学校にいけなくなると起立性調節障害だけでなく、不登校となり、うつ症状など気持ちが病んでしまう子どももいます。
一度、病院で検査をしてみましょう
発熱などの病気のような症状はないのに、朝起きられない、午後になると元気になる、動けると行った症状が、1週間から2週間程度続き、学校へ行けない場合には病院受診をしましょう。
病院は何科?
小・中学性までは、小児科へ相談しましょう。
高校生以上は、循環器内科・脳神経内科などを受診しましょう。
睡眠外来がある病院を受診するのもよいでしょう。
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▼参考
一般社団法人 日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)
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2022-02-28
「起立性調節障害の子どもにいい食べ物って?」
「とらないほうがいい食事はある?」
お医者さんに、起立性調節障害の子どもの食事について聞きました。運動の方法や睡眠についてなど、日常生活で気をつけることも解説します。
起立性調節障害は、食事の見直しが必要
起立性調節障害を快方に向かうには食生活の見直しが必要です。
起立性調節障害は、交感神経がうまく働かなくなり、脳や上半身が起き上がれなくなります。食事は、体を作っている基本なので、食事を規則正しくする・体に必要な栄養を定期的に補給することで交感神経の働きをサポートすることができるのです。
※しかし、生活習慣だけ、食事だけ、薬だけで快方に向かわせるのは困難とされており、医師の判断のもとに必要なものを取り入れていく必要があります。
起立性調節障害にいい食事って?
まず、水分と塩分が必要となります。
その上で、栄養バランスの良い食事をとりましょう。
血液循環を良くして血流を巡らせるために十分な水分と塩分が必要となのです。水分は、1日1.5〜2リットル以上、塩分は、通常より多めに取らせます。(塩分量に関しては、年齢や性別などによっても変わるため、指導を受けている医師の指示に従いましょう。)
水は、温かいものか常温のものをとりましょう。食事でも水分摂取を意識して、味噌汁やスープなども取り入れてください。
また、体をつくるタンパク質とビタミン・ミネラルなど、通常の食事は体作りに必要なバランスの良い食事を目指します。食欲がないときは、水分補給と塩分を意識して、おかゆやおじやなどを少しずつ与えましょう。本人が欲しがれば、フルーツや果汁などもあげてください。
おすすめしない食事
「冷たい食事」「白糖」のとりすぎには注意してください。
夏場は、冷たいものが喉の通りが良くなりますが、素麺やうどんなどの麺類も、野菜や肉を入れて、暖かくして食べるようにしましょう。
また、体を冷やす食べ物には白糖があります。学校へ行けない状態で、親御さんが仕事へ行っている間にお菓子を食べて過ごしている、というのはとても起立性調節障害によくありません。昼間に食べられるようにお弁当を用意するなどして、栄養バランスを保つようにしましょう。
食事のとり方にも注意
朝・昼・晩の3食のリズムをつけて日々を過ごせるようにしましょう。
食事のリズムは、生活リズムを整えるのにも役立ちます。食事をとると胃腸が動き出すので、体全体も機能しやすくなります。
また、起立性調節障害のポイントとなる「自律神経」は胃腸の動きにも関わっています。食事時間を決めると一定の時間で自律神経も働くようになるでしょう。
日常生活で気をつけること
睡眠について
眠くなくても、布団にはいる習慣をつけましょう。
夕食後、消化がある程度落ち着く3~4時間後に入眠するのが目安です。
起立性調節障害は、朝起きることができずに午後の方が、調子が良くなるという症状があります。しかし、夜更かしをして、朝はますます起きられなくなります。夕飯後はお風呂や次の日の準備などを済ませ、入眠させるようにリズムをつけましょう。
朝は、決まった時間にカーテンを開けて朝日を浴びるようにして自律神経に働きかけます。
運動について
毎日の運動や散歩を取り入れて、筋力低下を防ぎましょう。
起立性調節障害を発症すると、運動する時間が短くなり筋力が減少していきます。筋力が落ちればさらに動くことができなくなるという悪循環に陥ります。日本小児心身医学会では、起立性調節障害の場合、毎日30分程度の歩行を推奨しています。
周囲の人の協力が不可欠
親御さんの「病気への理解」と病院での「治療」、学校などの周りの人の「協力」は、起立性調節障害には必要不可欠です。
この病気は、自律神経が関わっており、無理すれば動ける・根性で治せるというものではありません。周りの大人は、病気の性質と治療方法をしっかり学び、子どもと接するようにしてください。
病院受診の受診目安
以下の症状のうち、
3つ以上あてまる
2つ以上あてはまり、症状がつよい
という場合は、病院を受診しましょう。
立ちくらみやめまいを常に感じている
立ち上がった際に失神する
気分が悪いことが多い
朝起きられない
午前中は動けないが、午後に動けるようになることが多い
頭痛があることが多い
腹痛があることが多い
動悸・息切れがある
食欲不振を訴えていることが多い
車に酔う(乗り物に酔う)
一時的な不調であれば、食事やホームケアで元気になることも考えられますが、起立性調節障害の場合、自宅ケアでは限界があります。おかしいな・起きられない症状が長引いているなと感じたら、早めに専門医を受診してください。
一番悩んでいるのは、急に体が動かなくなった子どもです。自分の体が急に動かなくなり、混乱しているでしょう。また、起立性調節障害ではなく、何らかの不調が隠れている場合もあります。
病気の早期発見のためにも病院を受診して相談してください。
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参考
一般社団法人日本小児心身医学会 起立性調節障害(OD)