「何をしても痩せないのは、ホルモンバランスが関係してるの?」
「この場合どのように対処したらよい?」
ダイエットをしているにもかかわらず全然痩せないのは、ホルモンバランスが関係しているのか栄養管理士さんに聞いてみました。
”ホルモン太り”の基本対処法、ホルモンの種類ごとのダイエット方法なども解説します。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
何をしても痩せないのは「ホルモンのせいかも」
ダイエットをして食事にも気を遣っているのに全然痩せません。
ホルモンバランスが関係しているかもしれないって本当ですか?
100%そうとは言い切れないのですが、ホルモンバランスが崩れると、代謝が悪化して、脂肪を溜め込みやすい体質になる可能性があります。
そのような状態の場合、食事に気を遣ってもダイエットの結果が出にくくなってしまいます。
ホルモンバランスの乱れ予防はシンプルです。
- 規則正しい生活をする
- 睡眠は十分にとるようにする
- バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動を行う
といったことを行うとよいでしょう。
あなたはどれ?ホルモン太りタイプ別チェック
ホルモン太りにも、3つのタイプに分けることができます。
あなたはどのホルモン太りタイプでしょうか?チェックしてみてください。
タイプ
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特徴リスト
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①女性ホルモン減少型
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- 動悸や息切れがする
- 肩がこり、疲れやすい
- 眠りが浅い、眠れないことがある
- 間食がやめられない
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②ストレスホルモン増加型
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- ストレスの多い職場で働いている
- 考え込んでしまう
- 睡眠時間が短い
- 生活リズムが一定でない
- 疲れが溜まっている
- 自分の時間がない
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③甲状腺ホルモン異常型
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- 常にだるく、元気がない
- むくみやすい
- 便秘気味
- 首あたりに圧迫感がある
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タイプ① 女性ホルモンの減少型
女性ホルモンが減少することで糖や脂肪の代謝が悪くなり、太りやすい身体になっています。
女性ホルモンは、体内の様々な機能の調整を行っています。
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類があり、これらは糖や脂肪の代謝にも関与しています。特にエストロゲンにはコレステロールを減らす働きがあります。
また、喫煙も女性ホルモンを減少させてしまいます。
「女性ホルモンの減少型」におすすめのダイエット
生理周期が乱れていたら、
- 規則正しい生活
- バランスの取れた食事
- しっかりと6~8時間の睡眠をとる
など生活の改善を行い、正しい生活サイクルに戻すことをおすすめします。
他にも
- 体を冷やさない
- ストレッチやマッサージをする(血流がよくなるように)
- 腸内環境を整える
- 大豆製品を食べる
- 節煙・禁煙する
といったこともおすすめです。
ホルモンは血流に乗って体内の作用する場所へ移動します。
血行が悪いとホルモンが行くべき場所へ行けなくなってしまい、結果的に代謝量の低下につながる可能性があるため、季節に関わらず身体は冷やさないようにしましょう。
朝や夜にストレッチを行う習慣をつけると、基礎代謝を上げる助けとなるのでおすすめです。
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た化学構造をしており、食べることで女性ホルモンの減少を補うのではないかと期待されています。
納豆や豆腐など+1品しやすい食材でもあるので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
その② ストレスホルモンの増加型
ストレスホルモンが過剰に分泌されることによって太りやすい身体になってしまいます。
ストレスが原因で分泌が増えるホルモンには数種類ありますが、特に「コルチゾール」
というホルモンは、慢性的に分泌されると糖新生(※1)を促進させ、インスリン抵抗性(※2)を高めます。
※1糖新生とは
体内の糖質でない物質(タンパク質や脂質等)から糖質を生成することをいいます。糖新生が過剰に行われてしまうと、筋肉が減ってしまい、代謝が低下して痩せにくい身体になってしまいます。
※2インスリン抵抗性とは
体内の糖質を筋肉や内臓、脂肪組織に取り込むのを促進するホルモンです。インスリン抵抗性とは、インスリンが効きづらくなる状態のことをいいます。筋肉や内臓でインスリンが効きづらくなると、脂肪組織への糖質の取り込み量が多くなります。
そうすると、脂肪組織が大きくなり、結果的に肥満に繋がってしまいます。
「ストレスホルモンの増加型」におすすめのダイエット
- 毎日少しでも身体を動かす
- 半身浴でリラックスする
- 深呼吸をする
- しっかりと睡眠をとる
といったことを意識しましょう。
少しでも身体を動かすことはストレス解消になります。
ランニングなどの運動はもちろん、ウォーキングでも十分にストレス解消効果があります。
20分以上歩くことで、ダイエットにもなります。
半身浴もおすすめです。
寝る前に半身浴を行うことで、眠りにつきやすくなります。継続して行うことによって体温が上がり、基礎代謝が上がるといわれています。
また、寝不足や夜更かしは、自律神経を乱し、ストレスホルモンを増加させる原因となります。できる限り毎日決まった時間に就寝・起床するようにしましょう。
その③ 甲状腺ホルモンの異常型
甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、代謝が低下してしまい痩せにくく太りやすい身体になってしまいます。
甲状腺ホルモンは内臓や脳など全身の臓器に作用して、代謝の調整をするホルモンです。
甲状腺ホルモンの分泌量が増えると代謝が高まり、興奮状態になります。
「甲状腺ホルモンの異常型」におすすめのダイエット
- なるべくストレスを溜めない
- 減煙・禁煙をする
- 睡眠時間を一定にする
- 1日3食食べる
など、できることから行ってみてください。
ただ、病気が隠れていることもあるので、念の為内科、または内分泌内科で相談しましょう。
全てに共通することですが、ストレス・喫煙・不規則な生活リズムによって、ホルモンバランスは崩れます。
あまりに疲れ・だるさがひどいときには、病院を受診しましょう。
ホルモンを味方につけて、正しいダイエットを!
ストレスは女性ホルモンを減少させる原因となります。
なるべくストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
「ストレスで月経不順になる」ということは聞いたことがあるかと思います。
これは、女性ホルモンの分泌が減少している状態ともいえます。
また、女性ホルモンには分泌サイクルがあり、時期によってダイエットの効果が出やすい時期とそうでない時期があります。
エストロゲンの分泌量が増加している生理終了から排卵の前までの時期は1か月サイクルの中で一番痩せやすい時期です。その時期に効率良く痩せられるよう、周期の安定をまずは目標にしてみてください。
合わせて読みたい
2021-09-01
「脂肪肝になった場合、何を食べちゃダメ?」
「お酒は飲んでいい?」
控えた方がいい食べ物とおすすめの食べ物を栄養士さんに聞きました。
サプリメントの使用方法もあわせてご紹介します。
脂肪肝で“食べてはいけないもの”ってあるの?
脂肪肝になったからといって、食べてはいけないものはありません。
ただし、糖質や脂質など控えた方がいい食べ物はあります。
脂肪肝で“控えた方がいい”食べ物・飲み物
糖質を多く含むもの
脂質を多く含むもの
お酒
はできるだけ控えましょう。
※こちらで紹介する“食べてもよい量”はあくまでも目安です。
詳しくは、かかりつけの医師の指示に従いましょう。
① 糖質を多く含むもの
ジュース・お菓子に含まれるショ糖や、果物に含まれる果糖は、中性脂肪が肝臓に蓄積しやすいので、できるだけ控えましょう。
食事からとった過剰な糖質は、中性脂肪に変換されて、肝臓にたまってしまいます。
どれぐらいなら食べてもいい?
ごはんなど穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないです。
一食につき、お茶碗軽く一杯くらいなら食べても大丈夫です。
② 脂質を多く含むもの
揚げ物・肉の脂身などは、できるだけ控えましょう。
脂質の過剰摂取は、肝臓の中性脂肪が蓄積する原因となります。
どれぐらいなら食べてもいい?
脂質を多く含むものは、週に1〜2回程度に抑えましょう。
③ お酒
アルコール度数の高いお酒や糖質の多いお酒は、肝臓への脂肪の蓄積に繋がりますので、控えましょう。
アルコールは糖質や脂質などのエネルギー源の利用効率をさげ、肝臓への脂肪の蓄積につながります。
どれぐらいなら飲んでもいい?
アルコールが原因となっている場合には、できるだけ禁酒しましょう。
我慢できない場合、成人男性では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までとしましょう。女性はさらに少ない量にしましょう。
どうしても我慢できない場合でも、週2日は休肝日を設けてください。
<お酒の2ドリンク量>
お酒の種類
(一般的なアルコール度数)
お酒の量
目安
ビール・発泡酒(5%)
500ml
ロング缶1本
酎ハイ(7%)
360ml
350ml缶1本強
焼酎(25%)
100ml
―
日本酒(15%)
160ml
1合
ウイスキーなど(40%)
60ml
シングル2杯
ワイン(12%)
200ml
ワイングラス2杯弱
(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒量の単位)
改善するためには、どんな食事がいいの?
脂肪肝になってしまったら、
良質なたんぱく質
食物繊維
を中心とした食事に改善するとよいでしょう。
その① 良質なたんぱく質
良質なたんぱく質は肝臓の働きをサポートするので、積極的に食べましょう。
おすすめの食材例
牛肉(ももやヒレ)
豚肉(ももやヒレ)
鶏肉(皮なしの胸肉やささみ)
魚(サバ、マグロ、イワシ、サケ、たら等)
大豆(豆腐、納豆など) など
おすすめの調理方法
余計な脂質や糖質を抑えられる蒸し物や焼き物がおすすめです。
魚であれば、刺身も良いです。
その② 食物繊維
食物繊維は糖質や脂肪の吸収をゆるやかにし、脂肪の蓄積を防ぎます。
また、よく噛んで食べることで満腹感に繋がり、食べ過ぎを防ぐことができます。
おすすめの食材例
海藻(こんぶ、わかめ、のり等)
野菜(キャベツ、ブロッコリー等)
きのこ類(しいたけ、しめじ、エノキ等) など
おすすめの調理方法
海藻はサラダや酢の物がおすすめです。
野菜やキノコは余計な脂質や糖質を抑えるために、蒸し物・焼き物・汁物がおすすめです。
サプリってどうなの?
「食事をサポートする」といった意味では取り入れても良いでしょう。
ただし、基本的には1日3食のバランスの良い食事が大切です。
サプリメントは、バランスの良い食事をとっていれば、基本的に必要のないものです。あくまでも“補助的に”利用するとよいでしょう。
どのようなサプリを選べばいい?
DHA・EPA・難消化性デキストリンなど、中性脂肪や糖質にアプローチする成分が入っている物を選びましょう。
治療中の場合は主治医に相談の上、使用しましょう。
薬の飲み合わせなど、治療に差し支えが出ることがあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
日本消化器病学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン
日本消化器病学会 NAFLD/NASHガイドQ&A
公立八女総合病院 栄養科 脂肪肝〜食事療法〜
茨城大学保険管理センター栄養相談室
医療法人 厚生堂 長崎病院 脂肪肝について
合わせて読みたい
2022-05-31
食欲が止まらない…
胃を小さくできる方法ってある…?
個人の努力によって、物理的に胃を小さくすることはできません。
食欲をコントロールするには、満腹中枢をしっかり働かせることが大切です。
「止まらない食欲を抑える方法」を栄養士さんが詳しく解説するので、“食べすぎ”にお悩みの方は必読です。
「胃を小さくする方法」ってあるの?
食欲が抑えられず、どうしても食べすぎてしまいます。胃を小さくできればと思うのですが…。そんな方法ってあるのでしょうか?
物理的に胃を小さくすることは、セルフケアでは不可能です。
ただし、食欲を抑えて「胃が小さくなったような状態」にさせることは、個人の努力で行えます。
食べる量を減らしたいのであれば、食生活の改善などを通して「満腹中枢をしっかりと働かせる」ことが大切です。
「重度の肥満」の場合は、手術で胃を小さくする治療も
「BMIが35以上」「BMIが32以上で糖尿病などの病気がある」等の基準を満たす場合、肥満治療の一環として胃の手術が行われることもあります。
これは、胃の外側部分を80%程度切除して胃を小さくする手術です。
胃の容量が減って摂取カロリーが制限されるため、初期の体重減少につながると言われています。
「食欲をコントロールする」5つの方法
食欲をコントロールするには、睡眠と食生活の見直しが大切です。
7〜8時間程度の睡眠をとる
欠食せずに、1日3回食事をする
主食・主菜・副菜が揃った食事をとる
よく噛んで食べる
食事の時間を長めに設ける
以上の5点を意識して生活しましょう。
方法① 7〜8時間程度の睡眠時間を確保しよう
睡眠不足は「食欲増進ホルモン」の分泌を促し、止まらない食欲に悩む原因となります。
1日7〜8時間を目安に、しっかり睡眠をとりましょう。
寝付きが悪いと感じる人は、
日中に適度な運動をする
就寝の2〜3時間前にお風呂に入る
寝る直前にスマホやPCの画面を見ない
などを意識してみてください。入眠がスムーズになります。
方法② 欠食せずに、1日3回食事しよう
1回でも食事を抜くと、次の食事までの間隔が長くなり、空腹感が強くなってしまいます。
欠食せずに、1日3回食事をとるようにしてください。
1日3食だと、食事と食事の間の空腹感に耐えられない方もいるでしょう。
その場合は、1日の食事の総量は変えず、食事回数を1日4~5回に増やしてもかまいません。
方法③ 主食・主菜・副菜が揃った食事をとろう
食事は、主食・主菜・副菜を揃えると、栄養のバランスがとりやすくなります。
「和定食」のイメージです。
主食
ごはん・パン・麺類 など
主菜
肉類・魚・卵 など
副菜
野菜・きのこ・海藻 など
特に魚・肉などの「主菜」は欠かさず食べるようにしましょう。
タンパク質は、消化に時間がかかるため腹持ちがよく、次の食事までの空腹感を防ぎやすくなります。
方法④ 副菜から、よく噛んで食べよう
副菜→主菜→主食の順で、1口30回を目安によく噛んで食べましょう。
調理の際には、食材を小さくしすぎないようにすると、噛む回数を増やしやすくなります。
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べすぎの予防につながります。
副菜(野菜・きのこ・海藻類)を最初によく噛んで食べると、適度な満足感を得られるので、「ごはんのおかわり」などを抑えやすくなります。
その⑤ 食事の時間を長めに設けよう
食事の時間は、最低でも20〜30分はかけましょう。
食事を始めてから20〜30分経つと、「レプチン」という食欲を抑制するホルモンが脳に伝わります。
習慣化することが大切ですので、毎回の食事で意識してみてください。
ゆっくり食事をとれるよう、あらかじめ時間を確保しておきましょう。
どうしても食べたいときは「水分をこまめにとる」のもおすすめ!
「つい何かを食べてしまう」という方は、数時間おきにコップ1杯程度、水分補給するようにしましょう。
体が水分不足になると「空腹に似た感覚」が起こるため、こまめに水分をとることも食べすぎを防ぐうえで大切です。
水分補給には、水や麦茶などがおすすめです。
スポーツドリンクなどの糖分が多い飲料は、カロリーが高いため控えましょう。
▼参考
糖尿病ネットワーク ゆっくり食べれば満腹感を得やすくなる 食欲を抑えるホルモンが作用
東京都立多摩総合医療センター 分野 肥満・減量外科
千船病院 減量手術による改善効果と手術適応について