足の爪がズキズキして痛い…なぜ?
足の爪が痛い原因として考えられる病気について、お医者さんに聞いてみました。
病気の発症の原因・特徴的な症状を、それぞれ詳しく解説していきます。
心当たりのあるものがないか、チェックしてみましょう。
監修者
経歴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
を経て
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
足の爪がズキズキと痛い…原因は?
原因
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なりやすい人の特徴
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①陥入爪
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- 深爪になっている
- 爪の幅が広い
- 足に合っていない靴を履いている
- 足先に負荷をかけている
(スポーツ・長時間の歩行など)
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②爪周囲炎
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- ささくれや深爪・陥入爪がある
- 過度なネイルアートをしている
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③巻き爪
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- 足に合わない靴を履いている
- 外反母趾(ぼし)になっている
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④爪下血腫
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⑤グロームス腫瘍
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足の爪が痛い場合、上記の病気が原因として考えられます。
ここからは、それぞれの病気の対処法や病院に行く目安について、詳しく解説していきます。
原因① 陥入爪(爪周囲の痛み・腫れ・発赤)
「陥入爪」の症状チェック
- 爪が皮膚に刺さっている
- 痛みを伴う腫れ・発赤・ほてりがある
- 爪が刺さっているところに肉芽という赤い盛り上がりができている
陥入爪とは、爪が皮膚に刺さって、炎症が起こっている状態です。
「深爪の人」や「指に対して爪の幅が広い人」に起こりやすいです。
痛みを和らげる対処法
赤く腫れていなければ、上記の方法で痛みを緩和することができます。
爪が食い込んでいる部分にコットンを詰める
コットンはたくさん詰め込むと痛みが増すので、米粒大にして少量だけ詰めましょう。
汚れたら新しいものに取り換えてください。
テーピングで固定する
2×6cm程度にカットしたテーピング用のテープを用意します。
痛みが生じている爪の横にテープを貼り、テープを引っ張りながら、足の指にらせん状に巻きつけるようにして固定しましょう。
陥入爪の予防方法
指の先と爪の先が同じ高さになるように、四角く切りましょう。
こんな爪切りはNG
上記の切り方は陥入爪になりやすいので避けましょう。
陥入爪で強い痛みがあるときは、皮膚科へ
陥入爪による強い痛みがあるときは、悪化を防ぐためにも皮膚科で治療を受けましょう。
また、「爪周りの皮膚が赤く腫れている」場合も、放置しないようにしてください。
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原因② 爪周囲炎(爪周囲の痛み・腫れ・発赤)
「爪周囲炎」の症状チェック
- 痛みを伴う腫れ・発赤・ほてりがある
- 膿(うみ)が溜まる
- 強い痛みで眠れない
爪周囲炎とは、爪周囲の皮膚や皮下組織で炎症が起きている状態です。
爪周囲炎を引き起こす主な原因としては、「深爪」「ささくれ」「過度のネイルアート」などが挙げられます。
爪周囲炎の対処法
痛みが生じている部分を冷やすことで、痛みが緩和する場合があります。
化膿している場合は、医療機関で受診するまで毎日泡で優しく洗い、水で洗い流してください。
洗うときは、悪化する恐れがあるため、強く押したり絞ったりしないでください。
爪周囲炎が疑われるときは、早めに皮膚科へ
爪周囲炎は、セルフケアのみでは症状が悪化する恐れがあるため、できるだけ早めに「皮膚科」で受診してください。
特に
などの症状が見られる場合には、放置しないようにしましょう。
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原因③ 巻き爪
「巻き爪」の症状チェック
- 指の先から爪を見たときに、爪の両端が内側に大きくカーブしている
巻き爪とは、爪が内側に巻いてしまう状態を指します。
足の裏にかかる力が弱い、足の横から力が加わると発症しやすい傾向にあります。
「足に合わない靴を履いている」・「歩く量が少ない」といった習慣や、「外反母趾(ぼし)」・「爪水虫(爪白癬)」などの病気が原因として挙げられます。
巻き爪の対処法
市販のテープ・クリップ・プレートで矯正すると、症状が和らぐことがあります。
ただし、いずれも巻き爪を治すものではないため、矯正器具を外すと、少しずつ元の巻き爪の状態に戻ります。
痛みがあるときは、皮膚科へ
痛みを伴う場合は、皮膚科で受診してください。
※巻き爪の治療は基本的に自由診療となります。
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原因④ 爪下血腫(内出血が見られる)
「爪下血腫」の症状チェック
- 爪の下で内出血が起きている
(爪の色が赤色や紫色に見える)
爪下血腫とは、爪の下で内出血を起こしている状態です。
「爪の上に重い物を落とす」「指を強くぶつける」などが発症の主な原因です。
重労働(引っ越し等)やスポーツ(サッカー等)で、爪に刺激を与える機会が多い人によく見られます。
「内出血」や「強い痛み」があるときは、形成外科へ
爪下血腫で強い痛みがあるときは、医療機関で受診してください。
爪の下の骨が折れている恐れもあるため、放置はおすすめできません。
また、病院で溜まった血を抜いてもらうと、痛みが和らぎます。
病院は「形成外科」で受診してください。
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原因⑤ グロームス腫瘍(しこりができる)
「グロームス腫瘍」の症状チェック
- 強い痛み
(しこりが5mm程度の大きさでも痛みを伴うケースが多い)
- 患部を圧迫すると、痛みが強くなる
- 患部を氷水等で冷やすと、痛みが強くなる
- しこりが大きくなるにつれて、爪の変形・発赤などの症状が出る
- 爪の下に青っぽい色の腫瘍ができる
グロームス腫瘍とは、手足の指にある血管から腫瘍が発生している状態です。
発症原因は不明ですが、何らかのケガにより発症するケースがあります。
20~60歳代の女性に多い病気です。
グロームス腫瘍が疑われるときは、形成外科へ
グロームス腫瘍の主な治療法は、手術による腫瘍摘出です。
症状に心当たりがあるときは、形成外科で相談しましょう。
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2021-07-05
「爪を押すと痛い…」
「化膿しているかも…」
痛みの原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
医師が病院は何科に行けばいい?放置するとどうなるの?といった疑問にもお答えします。
爪を押すと痛いとき、病院は何科に行けばいい?
爪を押すと痛みがある場合、まずは皮膚科・整形外科・形成外科を受診しましょう。
爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある
→皮膚科を受診しましょう。
爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある
→整形外科・形成外科を受診してください。
爪に圧痛がある場合、医療機関で爪に溜まっている血液や膿みを除去することで痛みはなくなります。
ご自身で除去しようとすると、細菌が入りさらに悪化する可能性があります。血液が溜まっている場合、血が固まると痛みが続くだけではなく、爪が変形する可能性もあるので早めに治療を受けましょう。
▼爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある場合
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▼爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある場合
整形外科を探す
形成外科を探す
爪を押すと痛い4つの原因
爪を押すと痛いのは
爪周囲炎
陥入爪(かんにゅうそう)
爪下出血
グロムス腫瘍
が原因となっているケースが多いです。
原因① 爪周囲炎
爪の周りの皮膚が細菌感染を起こし、炎症を発症しているから痛みます。
どの爪も発症する可能性はありますが、人差し指や親指などが多いです。
ささくれをむくことで、細菌が入る場合があります。
仕事や家事で水仕事が多い人
紙を触る仕事をしている人
乾燥している人
は発症しやすいといえます。
症状の特徴
爪周りの皮膚に赤み・炎症・腫れが起こる
膿むと黄色っぽくなる
膿むと痛みが強く、皿洗いや入浴で痛む
膿むと汁(浸出液)や膿が出る
どうやって治すの?
軽い症状であれば、軟膏などを塗り、水仕事などを避けていれば数日で快方に向かうでしょう。
3~4日ケアをしてもよくならない場合や膿んでいる場合は、皮膚科や整形外科など医療機関で相談しましょう。膿んでいる場合は、医療機関で切開して膿を出すと早く快方に向かいます。
原因② 陥入爪(かんにゅうそう)
爪の角が指の皮膚に食い込んでいるため痛みます。
深爪をしてしまう人、爪を噛む癖のある人などに発症しやすいです。
親御さんが爪を切りすぎてしまう子ども
仕事柄しっかり爪を切る必要がある人(料理人、工事などに関わる仕事)
爪を噛む人
は注意が必要です。
症状の特徴
爪周りの皮膚が赤くなる
爪周りの皮膚が炎症を起こす
爪周りの皮膚から出血がある
爪周りの皮膚が腫れる
膿が出る
どうやって治すの?
軽度であれば、何をしなくても1週間ほどで炎症や腫れは治まります。
深爪ぎみの人は切らず、白いのびた部分の長さが約0.5~1mm残るくらいにしましょう。
出血している、膿んでいるという場合は、早めに皮膚科で治療を受けましょう。
医療機関では食い込んでいる部分を除去して、根本に薬を塗り、爪が生えなくなるようにする(フェノール法)などの治療を行います。
原因③ 爪下出血
ぶつけるなど衝撃が原因で、爪の下が出血し、血が溜まっている状態です。衝撃を受けたため、痛みが生じます。手の指でも、足の指でも発症します。
ぶつけた・重い物が落ちたなど衝撃が原因となることが多いです。
また、爪が剥がれる方向に力がかかった場合も発症します。
武道や体操など足を踏まれやすい運動をしている人に多いです
症状の特徴
爪の下が赤黒く見える
爪の下が少し盛り上がる
痛みが出る
出血する
どうやって治すの?
数日様子を見ても、痛みが持続する場合は形成外科や皮膚科で相談しましょう。
原因④ グロムス腫瘍
グロムスという血流を調整している組織から、良性の腫瘍が発生する病気です。
腫瘍に圧迫されることで痛みが生じます。手の指でも、足の指でも爪の下に発症します。
症状の特徴
爪に物が触れると激しい痛みが生じる
冷水に触れるなど、冷たい状態になると痛みが強くなる
爪に青みがかった部位がある
どうやって治すの?
数日様子を見ても、痛みが持続する場合は形成外科や皮膚科で相談しましょう。
医療機関では手術で摘出する治療を行います。手術を行っても再発することがあります。
▼爪・爪の中・爪周りの皮膚の異常がある場合
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▼爪の違和感の他に、骨・指に腫れている、ぶつけた・打ち付けたなど心あたりがある場合
整形外科を探す
形成外科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本整形外科学会 爪周囲炎
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2022-08-30
爪が化膿して肉芽もできている…。
巻き爪のせいだと思うけど、どうすればいいの?
「化膿して肉芽ができている巻き爪」は、陥入爪(かんにゅうそう)を併発している状態だと考えられます。
自分で治すことは可能なのか、病院の治療法など、チェックしてみましょう。
巻き爪が化膿して肉芽に…「自分で治せる?」
巻き爪に肉芽を伴っている場合、自分で治すことはできません。
肉芽ができてしまうのは、爪の先端が周囲の皮膚に食い込み、炎症を起こしているからです。この状態を「陥入爪(かんにゅうそう)」と呼びます。
陥入爪は、医療的な処置をしないと改善しません。
放っておくと、肉芽にさらに爪が食い込んで、ますます腫れが悪化するという悪循環になるので、早めの受診をおすすめします。
陥入爪が足にできている場合は、痛みで歩行が困難になることもあります。
病院は何科?
巻き爪の症状は、「皮膚科」での相談をおすすめします。
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病院では、どんな治療をするの?
巻き爪に肉芽を伴っている場合、
爪の処置(爪の除去/矯正)
飲み薬・塗り薬の処方
といった方法で治療が行われます。
治療法① 爪の処置
爪の除去(保険適用)
まず爪が食い込んだ部分を除去します。
その後、爪を作る部分である「爪母」に薬品(※)を塗り、食い込んだ部分に再び爪が生えないようにします。
(※)「フェノール」「NaOH」といった組織腐食作用を持つ薬品を使用することが多いです。
巻き爪の矯正(自由診療)
ワイヤーを用いて爪の形を平たく矯正する方法です。
「爪を切らなくてよい」ので、痛みが少ないというメリットがありますが、自由診療となります。
副作用として、ワイヤーで強制する際、爪の先が剥がれたり、爪が割れたりする可能性があります。
治療法② 飲み薬・塗り薬の処方(保険適用)
化膿している箇所が細菌感染を起こしている場合は、「抗菌薬」(飲み薬・塗り薬)を使用することがあります。
また、肉芽を縮小させるために、「ステロイド外用薬」を使用するケースもあります。
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「巻き爪」を繰り返さないためには、どうすればいい?
爪が皮膚に食い込んでしまう状態を繰り返さないために、
爪を切りすぎない
足に合わない靴を履かない
といったことを心がけましょう。
対策① 爪を切りすぎない
「正しい爪の切り方」のポイント
指の先端と同じくらいのところで爪を切る(爪の白い部分は少し残す)
足の爪は「角を少し丸めた四角い形」にする(スクエアカット)
爪の脇を深く切らないようにする(※)
(※)爪の脇を切りすぎると爪自体を支える部位が少なくなり、変形して脆くなることがあります。
巻き爪は爪の切り方が原因となることがあるため、上記のような「正しい切り方」を意識しましょう。
爪切りは、入浴後の爪が柔らかくなっているタイミングで行うことをおすすめします。
対策➁ 足に合わない靴を履かない
合わない靴によって、足の指先が必要以上に圧迫され続けてしまうと、巻き爪を起こしやすくなります。
特に、
「革靴」(硬いタイプ)
ハイヒール(つま先の先端が細いタイプ)
大きすぎる靴
などは、避けたほうがよいです。
足の指を清潔に保とう
爪周辺の炎症は、不潔にしていると悪化しやすいため、清潔に保つことが大切です。
特にお風呂・シャワーのときは、丁寧に洗うよう心がけましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 陥入爪(爪刺し)の原因と治療法
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。