体調が悪いけど、原因がわからない…。
どうしたら治る?
「不定愁訴の治し方」をお医者さんに聞きました。
普段の生活で実践できる、不調を改善するための対処法について解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
不定愁訴とは?
不定愁訴とは、原因不明の体調不良が続くことを言います。
明らかな痛みや違和感を覚える部分があるのに、検査をしても体には悪いところが見からない状態です。
不定愁訴の症状チェック
- 体の同じようなところが痛む
- 毎日のように体のどこかに痛みを感じる(※)
- いつもだるい・倦怠感がある
- 便秘・下痢
- めまい・頭痛
- 冷え
- むくみ
- 気分が落ち込む
- イライラする・情緒不安定
(※)日によって痛みが出る場所が変わるケースもあります。
不定愁訴はなぜ起こる?
不定愁訴は、自律神経の乱れによって生じることが多いと考えられています。
自律神経の乱れを引き起こす要因としては、
- 体や心のストレス
- 不規則な生活
- ホルモンバランスの乱れ
などが挙げられます。
これらに「毎日の深酒」や「疲労の蓄積」が加わると、症状がさらに悪化しやすくなります。
不定愁訴の治し方はある?
不定愁訴は、自律神経のバランスを整えることで、症状が快方に向かいやすくなると考えられています。
自律神経を整えるために、普段から、
- 7〜8時間の睡眠時間を確保する
- ウォーキングなどの軽めの運動を毎日行う
- 1日3食、バランスのよい食事をとる
- 体を温めてリラックスする
といったことを意識して生活してみるとよいでしょう。
※不定愁訴は原因がはっきりとしないため、これらを行うことで“必ず治る”とは言い切れません。
対処法① 7〜8時間の睡眠時間を確保する
1日7~8時間程度(※)の睡眠時間を確保しましょう。
睡眠は、自律神経を整えるために重要です。
※必要な睡眠時間には個人差があります。
体と脳を目覚めさせるために、起床後はカーテンを開けて朝日を浴びましょう。
「質のよい睡眠」を得るためのポイント
- 昼寝は15時までにする(30分以内)
- 夜は11時(遅くとも12時)には寝る
- 夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
- 夕食は就寝の2~3時間前に済ませる
- 飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
- 就寝の2~3時間前に入浴する
- 就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法➁ ウォーキングなどの軽めの運動を毎日行う
ウォーキングやジョギングなどの「軽めの運動」を毎日行いましょう。
心地よい疲労感を得られ、夜に眠りやすくなります。
朝に体を動かすのがおすすめです。食欲も出て、1日元気に動けます。
対処法③ 1日3食、バランスのよい食事をとる
1日3食、主食・主菜・副菜の揃ったバランスのよい食事をとりましょう。
栄養バランスがとりやすい、「和定食」や「ワンプレートご飯」がおすすめです。
食事を抜くと、栄養バランスが乱れ、体を動かすパワーも出なくなります。
朝起きて軽く体を動かしたら、食事をとるようにしましょう。
対処法④ 体を温めてリラックスする
体を意識的に温めることで、緊張がほぐれて自律神経が整いやすくなります。
など、日頃から「冷え」に気をつけて、体を温めるように心がけてください。
また、体が冷えると痛みを強く感じやすくなるので、痛みの緩和のためにも体を温めることは重要です。
「冷えにくい体」にするために、入浴や運動を習慣にして、体の代謝を上げることも意識しましょう。
改善しない場合は病院で相談しよう
セルフケアを続けても不定愁訴がよくならない場合や、症状が重くて困っている場合は、医療機関で相談してみましょう。
病院は何科?
症状
|
おすすめの診療科
|
※「全身症状」が出ている
|
内科
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※「ストレス症状」が強く出ている
|
精神科、心療内科
|
上記を参考にして、症状に合った診療科を受診してください。
受診先に迷う場合は、まずは「内科」で相談しましょう。
内科を探す
精神科を探す
病院ではどんな治療をするの?
病院では、
などを通して、症状の緩和を目指します。
処方される薬には、「向精神薬」「鎮静剤」などがあります。
保険は適用される?
不定愁訴で受診した場合、基本的に保険が適用されます。
保険適用(3割負担)の場合の費用目安は、1回3,000円程度です。
内科を探す
精神科を探す
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2020-12-04
なぜだかわからないけど、とにかく体調が悪い…。
どうすればいいのか教えて!
原因不明の体調不良をどう解消すればいいのか、お医者さんに聞きました。
もしかするとその症状は、隠れた病気のサインかもしれないので、不調が続く方は注意しましょう。
なぜ?原因がわからずとにかく体調が悪い
内科を受診しても悪いところが見つからず、体調不良が続いている場合は、「自律神経失調症」の可能性が高いです。
自律神経失調症のメカニズム
「体の熱が上がる」「心拍数が上がる」「眠る」といった自律神経の機能が正常に働かなくなり、バランスが崩れることによって、自律神経失調症となります。
自律神経失調症の主な症状
動悸がする
ほてりがある
疲労感、だるさがある
気分の落ち込みがある
めまい、耳鳴りなどがある
自律神経失調症の2つの原因
原因① ストレス・疲労過多
ストレスや疲労によって、体の機能が正常に働かなくなります。
疲労状態が長いと、自律神経にも影響がおよび、自律神経失調症を引き起こします。
原因② 更年期障害
更年期障害は、女性ホルモンの急激な減少を招き、脳にも影響を及ぼします。
女性ホルモンが急激になくなると脳をコントロールする部分が乱れ、自律神経失調症を発症させます。
改善するにはどうすればいい?
自律神経失調症は生活習慣を整えることで、改善に向かうケースが多いです。
次の3ポイントの改善を意識してみてください。
1.十分な睡眠をとる
毎日決まった時間に就寝・起床するようにしましょう。
食後は3時間ぐらい空けてから就寝してください。また、朝は朝日を浴びて目を覚まし、体内リズムを整えるようにしましょう。
2.食生活の見直す
毎日3食、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。
朝食を食べ、朝から行動的に過ごすようにしてください。朝食を抜くと1日の生活リズムが崩れてしまいます。
★摂取したい栄養素★
玄米やトマトに多く含まれている「GABA」を摂取するようにしましょう。
脳の機能を助けてくれます。
※食品なので、食後すぐに症状が改善するわけではありません。
3.適度に運動をする
毎日、適度に運動すると、心地よい疲労感が生まれ、睡眠もしっかり摂れるようになります。
軽めのウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を30分程度行うのがおすすめです。
市販薬でも改善できる?
自律神経失調症を直接よくする市販薬はありません。
質のよい睡眠を誘導するものや、「GABA」のサプリメントなどがありますので、薬剤師に相談の上、使用するようにしてください。
特に「既に薬を飲んでいる」方は注意!
普段から常用しているお薬がある方は、市販薬を使用しないでください。
主治医に相談の上、処方薬やサプリメントを使用するようにしてください。
それでも改善されない場合は…
生活習慣を整えても症状が中々改善されない場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。
何かを変えなければ治らない可能性が高いため、治療を受けましょう。
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」がでている方
⇒内科をおすすめします。
内科を探す
イライラ、焦り、憂鬱など「ストレス症状」が強い方
⇒心療内科をおすすめします。
心療内科を探す
「病気のサイン」のケースも
「とにかく体調が悪い」という症状が続く場合
慢性疲労症候群
甲状腺機能低下、機能亢進症
がん
など、病気のサインの可能性があります。
それぞれの症状を解説します。
病気① 慢性疲労症候群
継続的な微熱
関節痛
倦怠感
朝起きられない
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気② がん
体調不良
倦怠感
疲労感
食欲不振
痩せる
微熱
といった症状があります。
このような症状が現れた場合は、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
病気③ 甲状腺機能低下、機能亢進症
体調不良
倦怠感
むくみ
脈が速くなる
痩せる
イライラする
息があらくなる
といった症状があります。
このような症状が現れた場合、内科の受診をおすすめします。
内科を探す
この症状は早く病院へ
急に元気が出なくなり、倦怠感や疲労が取れない、体の一部が腫れてきているなどがある場合は、要注意です。
病院で治療を受けるメリット
自律神経失調症が原因の場合
短期間での症状改善が期待できます。また症状によって治療法が用意されているので、必ず病院を受診しましょう。
他の病気が原因の場合
早期に発見して治療を開始することで、悪化を防止できる可能性が高くなります。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット 自律神経失調症
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「最近イライラしてばかり…」
「急に泣きたくなるのはなんで…?」
その症状、もしかしたら自律神経失調症かもしれません。
自律神経失調症のセルフチェックと病院の受診目安、治療法などを医師が解説します。
自律神経失調症かも。何科に行けばいい?
まずは、身体に現れている症状に合わせた診療科を受診してみましょう。
様々な全身症状がでている→内科
耳・鼻の症状、めまい→耳鼻いんこう科
婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科
そこで原因がわからず、症状が改善しない場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。
何科を受診しようか迷っている時には、直接病院に問い合わせてみると丁寧に教えてくれますので、決心がつかないときには聞いてみるとよいでしょう。
▼様々な全身症状がでている→内科へ
内科を探す
▼耳や鼻の症状、めまいがある→耳鼻いんこう科へ
耳鼻いんこう科を探す
▼婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科へ
婦人科を探す
▼上記で症状が改善しない、ストレス症状が出ている→心療内科や精神科へ
心療内科を探す
どんな治療をするの?
自律神経失調症は、患者さんの症状・タイプ・原因によって治療法が変わります。
基本的には症状に対する薬物療法を行い、並行してその他の治療法が適用されます。
心身両面に働きかける治療や、根本治療のために生活環境・習慣を整える指導が行われます。
具体的な治療法の例
薬物療法
自律訓練法などによるセルフコントロール
カウンセリングやリラクゼーション法などの心理療法
指圧やマッサージ、整体や鍼灸、ストレッチなどの理学療法
音楽療法、アロマテラピーなど、五感に働きかける治療法
自己管理によるライフスタイルの見直し
※この他にも、医療機関によって専門分野や連携施設などがある、治療法も多岐に渡ります。
自律神経失調症のセルフチェック
「自律神経失調症かも…」
と心配な方は、セルフチェックしてみましょう。
当てはまる数が多いほど、自律神経失調症を発症している可能性が高いです。
<身体的症状>
慢性的な疲労、だるさ
めまいや立ちくらみ
片頭痛
動悸、息切れ、窒息感
火照り、発汗
不眠、睡眠不足、寝つきが悪い
悪夢、金縛り
便秘や下痢
微熱
胸痛
肩こり、腰痛
耳鳴り
手足のしびれや震え
口やのどの不快感、つっかえ感
頻尿や残尿感
風邪でもないのに咳が出る
気候の変化に弱い
月経不順
<精神的症状>
イライラや焦り
不安感
疎外感
気分の落ち込み
やる気が出ない
憂鬱になる
感情の起伏が激しい
あなたはどれ?自律神経失調症の4タイプ
自律神経失調症は、主に4つのタイプに分けられます。
本態性型
神経症型
心身症型
抑うつ型
それぞれのタイプについて解説します。
1.本態型
自律神経の調節機能が乱れやすい体質の方(虚弱体質・低血圧など)に多くみられます。
本能性型は、病院で検査をしても特に異常が見られない、ストレスなどが原因ではないのが特徴です。
<どんな人がなりやすい?>
子どもの頃からすぐに吐いてしまう、下痢しやすい、疲れやすい、冷え性、癇癪持ちといった傾向があります。
2.神経症型
神経症型は、心理的な影響によって発症するタイプです。
神経質で、くよくよしがち、感受性が過敏であるなど、心理的な問題が原因となります。
イライラや不安感など、感情の移り変わりが症状に出やすい傾向にあります。
<どんな人がなりやすい?>
自分の体調の変化に対してとても敏感で、少しの精神的ストレスでも体調を崩してしまうような、精神状態に左右されやすいタイプの方です。
3.心身症型
日々のストレスを無理に抑え込もうとすると発症してしまうことのあるのが、このタイプです。
自律神経失調症の中でも特に患者数が多いタイプと言われています。
身体的・精神的のどちらか、またはどちらにも症状が現れます。身体的な症状(下痢・吐き気・だるさ・微熱など)、精神的な症状(不安感・気分の落ち込み・やる気が出ない・憂鬱・焦燥感など)があり、出る症状は人それぞれ異なります。
<どんな人がなりやすい?>
周りの目を気にしすぎて自分の意見をはっきり言えない、神経が過敏でストレスに弱い性格の方に多いです。
また、引越しや転職など、環境の変化によるストレスなどが原因となるケースもあります。
4.抑うつ型
3番の心身症型がさらに進行してしまうとこのタイプになります。
肉体的にも精神的にも複数の症状が現れることが多いと言われています。
やる気が起きない、気分がどんより沈んでいる、興味が湧かないといったうつ症状、身体的には、頭痛や微熱・倦怠感・食欲不振・不眠や寝付きが悪いなどの症状が現れます。
<どんな人がなりやすい?>
几帳面、努力家、真面目、完璧主義な性格の方がなりやすい傾向にあります。仕事などで頑張りすぎてしまったり、はっきりと断ることができなかったりと、ストレスに弱い性格なども原因になりえます。
病院の受診目安
セルフチェック(※上記)に該当する症状が多い
症状が2〜4週間続いている
日常生活に支障をきたす
という場合は、病院に行きましょう。
自律神経失調症は、人によって症状が様々で、複数の症状が出ることが多いため、一定の受診目安をお伝えすることは難しいですが、辛い・苦しいと感じている場合は、我慢せずに、病院を受診することをおすすめします。
受診するタイミングはいつがいい?
症状が出ているときでも落ち着いているときでも、ご自身が行けるタイミングでいきましょう。
症状が出ていて、外出するのが嫌だという場合は落ち着いてからいきましょう。
早期受診をおすすめする理由
ストレスや生活習慣が原因で自律神経が乱れていることが多いため、そのままの生活を続けていても改善することはほとんどないといえます。
原因にもよりますが、何かを変えない限りは治らないため、治すためには治療を受けましょう。
また、自律神経失調症を放置すると、
治りが遅くなる
うつ病など、深刻な病気を見逃す
糖尿病、甲状腺機能異常症などの疾患を見逃す
治療に時間がかかる
といったリスクも生じます。
病院に行くメリット
症状や身体に合わせて、治療法やお薬の選択をしてくれます。
また、病院によっては、専門家によるカウンセリング等の心理療法や、ストレッチ等の理学療法など、症状や原因に合わせたアプローチをしてくれるので、適切な治療を受けることができます。
▼様々な全身症状がでている→内科へ
内科を探す
▼耳や鼻の症状、めまいがある→耳鼻いんこう科へ
耳鼻いんこう科を探す
▼婦人科関連の症状がある→婦人科・産婦人科へ
婦人科を探す
▼上記で症状が改善しない、ストレス症状が出ている→心療内科や精神科へ
心療内科を探す
▼参考
【医師が解説】自律神経失調症の症状・診断・治療 | こころみ医学
広報誌 健康倶楽部/2010年8月号 自律神経失調症ってどんな病気なの?/総合南東北病院
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。