「なんだか体がふらつく…」
「歯からくるめまいってある?」
歯が原因で生じるめまいについて、歯医者さんに聞いてみました。
めまいの原因になる「歯の問題」や、自分でできる対処法なども解説します。
めまいがあるとき、まずは何科に行くべきかもチェックしましょう。
監修者
経歴
歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
歯が原因で「めまい」が発生することがある!?
歯が原因で「めまい」が発生することもあります。
歯が関係して引き起こる「めまい」は、
- 食いしばり
- 噛み合わせの問題
- 顎関節症
などが原因で発生することがあります。
「歯原性めまい」の特徴
歯が原因のめまいは、
- ぐるぐると視界が回るような感覚になる
- 突然視界が暗くなる
などの特徴があるケースが多いです。
1. 「食いしばり」が原因のケース
上顎と下顎の間には、「内耳神経」という体のバランスをとる神経が通っています。
食いしばりが続くと、顎の骨がその神経を圧迫して、めまいが起こることがあります。
顎の関節は、上顎と下顎の骨が「関節円板」という軟骨を挟んでできています。
食いしばりをすると、この関節円板が強く圧縮され、位置がずれてしまいます。そうすると、上顎の骨と下顎の骨が直接当たるようになり、神経を圧迫します。
食いしばりよる「めまい」の特徴
視界がぐるぐる回るような「回転性めまい」が起こりやすいです。
自分でできる対処法はある?
- ストレスを溜めない
- 質の良い睡眠を取る
- 睡眠中にマウスピースを使う
などを行い、食いしばりを抑えましょう。
食いしばりを改善することで、めまいも自然と治ることが多いです。
歯医者に行く目安は?
食いしばりの自覚や疑いがあり、めまいが生じているのであれば、早めに歯医者で受診しましょう。
食いしばり(特に睡眠中)は自覚しにくく、原因もさまざまです。
自分で治すのは困難なケースも多いため、一度歯医者で相談し、原因にあった適切な治療を受けるのがよいでしょう。
歯医者では、
などの治療を行います。
歯医者を探す
2. 「噛み合わせ」が原因のケース
噛み合わせの状態が悪いと、顎関節やその周りの骨にも負担がかかります。
体のバランスを保つ「内耳」が影響を受けると、めまいが起こることがあります。
顎関節は「側頭骨」と「下顎骨」の間に位置しており、側頭骨の奥には三半規管が位置する「内耳」があります。
噛み合わせの悪さで側頭骨に負荷がかかると、内耳にも影響を及ぼしてめまいが起こります。
噛み合わせによる「めまい」の特徴
視界がぐるぐる回るような「回転性めまい」が起こりやすいです。
自分でできる対処法はある?
ご自身でできる対処法はありません。
歯医者で受診して、噛み合わせを改善する治療を受ける必要があります。
歯医者に行く目安は?
噛み合わせに違和感があり、めまいが生じているのであれば、早めに歯医者で受診しましょう。
歯医者では、
などの治療を行います。
歯医者を探す
3. 「顎関節症」が原因のケース
顎関節のゆがみによって、頸椎や脊椎のバランスが崩れると、自律神経が影響を受けます。
その結果、立ちくらみやめまいが生じることがあります。
顎関節症による「めまい」の特徴
などのめまいがあります。
自分でできる対処法はある?
なるべく顎関節に負担をかけないようにしましょう。
顎関節に負担をかけないためには、
- やわらかい食事を選ぶ
- 歯を食いしばる運動を控える
- リラックスして過ごす
- 寝る時は仰向けで寝る
- 頬杖をつかない
などを意識しましょう。
顎関節症を改善することで、めまいも自然と治ることが多いです。
ただし、顎関節症は自分で治すのは困難なケースが多いです。
一度歯医者で相談し、原因にあった適切な治療を受けるのがよいでしょう。
歯医者に行く目安は?
大きく口が開けられない、顎から音がするなど、顎関節症の疑いがあるときは、早めに歯医者で受診しましょう。
歯医者では、
- マウスピースの装着(スプリント療法)
- 薬の服用
- レーザー・注射
などを用いた治療を行います。
「噛み合わせが悪い」ことが原因で顎関節症になっている場合は、被せものや、矯正治療を行うケースもあります。
歯医者を探す
病院は「まずは何科にいけばいい?」
めまいは「耳の異常」が原因になることが多いため、まずは「耳鼻いんこう科」の受診をおすすめします。
その後、歯に問題があると判断された場合には、歯科で受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
お医者さんに伝えるポイント
病院を受診した際には、
- いつから症状が続いているのか
- どのような症状が出ているのか
- めまいに関係ありそうな自覚症状
などを細かく説明しましょう。
「顎関節症」や「食いしばり」など、めまい以外の自覚症状があれば詳しく伝えましょう。
耳鼻いんこう科を探す
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2020-09-15
「浮動性めまいが治らないのはなぜ?」
いつまでも症状が治らない場合は、メニエール病などの病気が原因になっているかもしれません。
改善方法や病院を受診する目安などをお医者さんにうかがいました。
なぜ?浮動性めまいが続く「原因」
毎日のように浮動性めまいが続いている場合
貧血
低血圧
自律神経の不調
が原因となっている可能性があります。また、様々な病気が原因となっているケースもあるので、注意が必要です。
治らないめまいの「改善方法」
まずは、生活習慣を整えましょう。
1日3食、偏らずバランスのよい食事を摂る
適度な運動を習慣化する(ジョギング、ヨガ、ストレッチ等の有酸素運動)
十分な睡眠時間、休息時間を確保する
などを心がけてください。ストレスを溜めこまないようにすることも大切です。
原因に合った治療を受けることで快方に向かうケースが多いです。
・何日も続くめまい
・季節や体調によって発症するめまい
にお悩みの場合は、病院を受診しましょう。
どんな「病気」の可能性があるの?
生活習慣を改善しても治らない場合や、他にも症状が出ている場合、
メニエール病
突発性難聴
良性発作性頭位めまい症
内耳炎
うつ病
の可能性があります。
原因①:メニエール病
ストレス、不眠、疲労などが耳の機能に影響し、平均機能障害、聴覚障害が起こる病気です。
几帳面で、周りに迷惑をかけたくないと考え込む人に多い病気とされていますが、一概には言えません。
症状の特徴
めまい、難聴、吐き気、嘔吐、耳の詰まり感などを度々繰り返します。
原因②:突発性難聴
原因は明らかにされていませんが、ストレス過多、過労、睡眠不足、糖尿病を患っている方に起こりやすい病気です。
幅広い年代で発症しますが、40〜60代の働き盛りの人に多いとされています(ただし、若い方でも発症することがあります)。
症状の特徴
片耳、もしくは両耳の聞こえが突然悪くなります。耳鳴りやめまいを伴います。
原因③:良性発作性頭位めまい症
通常、耳の内耳にある耳石がそこからはがれ、三半規管に入った時に発症します。その後、頭の位置が変わると三半規管が刺激され、めまいを感じるようになります。
加齢によって発症しやすくなる病気ですが、耳の手術・ケガ・病気が原因で発症することもあります。
症状の特徴
起き上がる、かがみ込むなど、頭を動かすときにめまいを感じます。めまい症状は何度も発症しますが、数秒〜数分でおさまることがほとんどです。
浮動性のめまいだけでなく、回転性のめまいを感じることが多い病気です。
吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、難聴や耳鳴りは通常ありません。
原因④:内耳炎
細菌感染、慢性中耳炎の悪化、髄膜炎などが原因で、聴感と平均感覚を司っている耳の内耳に炎症が起きる病気です。
免疫の低下している人や高齢者に多い病気です。
症状の特徴
めまいの他に、難聴、耳鳴りなどが生じます。
一度この病気で聴力が悪くなると、取り戻すのは難しいと考えられています。
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原因⑤:うつ病
うつ病になると、精神面での症状が現れる前に体に影響が出て、めまいの症状があらわれることがあります。
うつ病とめまいの関係は、まだよくわかっていないこともありますが、不眠と密に関わっていると考えられています。
真面目で責任感が強い人はうつ病を発症しやすいとされていますが、一概には言い切れません。
症状の特徴
ふわふわとしためまいや頭重感があらわれることが多いです。
すぐに病院を受診したほうがよいケース
めまい以外に、
強い吐き気
耳鳴り
手や腕のしびれ
などの症状があらわれている場合は、念のため、病院を受診しましょう。
要注意な症状
めまいに合わせて…
手足のしびれや麻痺
言語視力障害
強い頭痛
などの症状があらわれている場合は、脳梗塞や脳出血を起こしている可能性があるので、救急で受診してください。
浮動性めまいは何科に行く?
基本的には、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
めまい以外に手足の痺れがある場合は、脳出血・脳梗塞の恐れがあるので、早急に脳神経内科や脳神経外科、または救急で受診しましょう。
脳神経外科を探す
他の思い当たる原因がなく、うつ病の可能性がある場合は、心療内科を受診しましょう。
心療内科を探す
※病気の状態や各医療機関の設備によって、違う診療科目を紹介される場合があります。心配な場合は、電話等で事前に確認してみましょう。
お医者さんに症状を伝えるポイント
診察では、次のことを伝えられるようにしておくといいでしょう。
めまいがあらわれるようになった時期
めまいを感じやすいタイミング(横になっている時、大きな音を聞いた時、首を回したときや上を向いた時 等)
めまいの感じ方(ぐるぐるする、フラフラする 等)
めまいを感じる時間はどのくらいか
めまい以外の症状(吐き気、痺れ、脱力感など)
参考
国立循環器病研究センター循環器病情報サービス めまいと循環器秒
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph30.html
MSDマニュアル 良性発作性頭位めまい病
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/19-耳、鼻、のどの病気/内耳の病気/良性発作性頭位めまい症
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2021-03-17
起き上がるとめまいがする…。
その症状は、「良性発作性頭位めまい症」かもしれません。
吐き気も伴うこともある困った病気です。
お医者さんに、正しい対処法と病院に行く目安を聞きました。
起き上がるとめまいがする…対処法は?
起き上がってめまいがしたときは、まずは目を閉じて安静にしてください。
もう一度横になって、めまい症状が落ち着くのを待ちましょう。
めまいだけでなく吐き気も。これ大丈夫?
めまいに加えて吐き気もします。
これって大丈夫なんでしょうか…?
その症状は、「良性発作性頭位めまい症」の可能性が高いです。
不快な症状ですが、命にかかわるものではありません。
「良性発作性頭位めまい症」ってどんな病気?
「良性発作性頭位めまい症」とは、耳の奥にある「耳石」という塊が三半規管に入り込むことでめまいを起こす病気です。特定の方向に頭を傾けると症状が現れます。
主な症状
無意識に眼球が揺れる(眼振)
吐き気がする
耳に閉塞感がある
発症しやすいのはどんな人?
男性よりも女性に多く発症します。
年齢が高いほど、発生しやすくなります。
治すために自分でできることは?
無理して行動するとめまいで具合が悪くなります。
安静にしましょう。
症状が落ち着いたら、「頭を高くして寝る」「同じ方向で横になり続けない」などを意識して、生活してください。
市販薬を使用してもいい?
市販の薬で、良性発作性頭位めまい症を治療できるでしょうか?
販薬でも処方薬でも、「良性発作性頭位めまい症」に対しての特効薬はありません。
対症療法(症状を和らげるための治療)になりますが、トラベルミン(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩)は自律神経に働いて、めまいを緩和します。
病院に行く目安
「2~3日以上のめまいが続く」「めまいや吐き気が悪化している」「耳の聞こえが悪い」等の症状があらわれた場合は、耳鼻いんこう科に行きましょう。
病院ではどんな治療をするの?
「運動療法」の指導に加え、症状を和らげるために「抗不安薬」「抗めまい薬」などお薬を使うことがあります。吐き気がひどい場合は「吐き気止め」を処方します。
「運動療法」とは
仰向けで寝ている状態からゆっくり起き上がるのを1日10回ほど繰り返す
寝ている状態で寝返りをするよう左右に身体を1日10回ほど反転させる
治療費はいくらかかる?
治療費は保険適用になり3割負担で3,000円前後です。
薬は種類や数にもよりますが、おおよそ1,000円ほどかかります。
治療期間は1ヶ月ほどかかることが多いです。
治療費は病院によって前後するので、病院に問い合わせるといいでしょう。
耳鼻いんこう科を探す
放置はNG!繰り返すめまいは早めに病院へ
治療を受けてもめまいが残る場合は、良性発作性頭位めまい症以外の病気が潜んでいる可能性があります。
放置すると病気が悪化してしまう可能性もあるので、早めに病院に行き、適切な治療を受けましょう。
◆メニエール病
内耳にあるリンパ液が増えて、むくみのような状態になる病気です。
めまいの他に、耳鳴りや難聴、耳閉感のような症状が現れます。
ストレスが多い方、疲労が溜まっている方に多い病気です。
◆高血圧症
血圧が高くなる病気です。
自覚症状は少ないですが、長期間高血圧が続くと、めまいをはじめ、動悸や息切れ、頭痛などの症状が現れます。
中高年の方や肥満気味の方に多い病気です。
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▼参考
MSDマニュアル良性発作頭位めまい症