むずむず脚症候群とは、医学的には「レストレスレッグス症候群」と呼びます。
肌を虫がはうような感じがして、かゆかったり、じっとしていられなくなる病気です。
変わった病名で注目を集めることがありますが、実は日本の人口のおよそ4%が、このむずむず脚症候群にかかっているとされています。
監修者
金町脳神経内科・耳鼻咽喉科
脳神経内科・耳鼻咽喉科
内野 勝行先生
経歴
帝京大学医学部医学科卒業。都内病院の神経内科や千葉県の療養型病院副院長を経て、現在金町脳神経内科・耳鼻咽喉科院長、帝京大学医学部附属病院神経内科非常勤医。認知症サポート医、スポーツドクター。専門は脳神経内科だが、鍼灸や漢方といった東洋医学も取り入れ、体全体の調和がとれるようアドバイスを行っている。
むずむず脚症候群の「症状チェック」
むずむず脚症候群は、
- 脚の深部に、むずむず感・虫が這うような感覚がある
- 脚を動かすと、むずむず感は軽減される
- 寝る時・リラックス時に症状が現れる
といった症状が特徴です。
脚の深部(皮膚の内側の部分)にむずむずとした感覚がおこり、じっとしていられない、脚を動かさずにはいられない、という状態になります。
ひどくなると、上半身にまで症状が広がる場合もあります。
発症の原因は?
むずむず脚症候群の発症には、
- 持病の影響
- 服用している薬の副作用
- 女性ホルモンの乱れによる貧血
- 月経による鉄分不足
などが関係していると言われています。
加齢と共に患者は増加傾向にあり、男女で比較すると女性の患者さんの方が多いことが特徴です。
40歳以上の女性に発症しやすいと考えられています。
チョコレート・コーヒーで症状が悪化する
むずむず脚症候群の方は、
- アルコール
- カフェインを多く含むもの(チョコ・コーヒー・お茶など)
は、症状を悪化させてしまうので控えましょう。
<アルコール>
眠りを浅くして寝不足を招き、疲労によって症状を悪化させるリスクが高いです。
<カフェイン>
睡眠の質を低下させるだけでなく、鉄分吸収を低下させるので、むずむず脚症候群の悪化を招きやすいです。
チョコ・コーヒーの摂取を避けたいタイミング
夜の眠りに影響を与えないためにも、カフェイン入りのものは昼の休憩時間後から控えましょう。
カフェインは摂取後30分程度で効き始め、その後4~5時間は影響を受けるとされています。
むずむず脚症候群を治したい!どうすれば…?
症状がひどくない場合は、
- 軽い運動をする(ストレッチやウォーキングなど)
- ストレスをためない
- 規則正しい生活をする
- カフェインを含む飲み物・お酒・たばこは控える
- 鉄分を多く食事にとり入れて、バランスの良い食事を心がける
といった生活習慣の見直しで、改善が期待できます。
ストレス発散には、趣味の時間を持つこともおすすめです。
おすすめの食べ物・飲み物
鉄分を多く含む食べ物・飲み物を積極的に摂りましょう。
ただし、同時にバランスの良い食事を意識することも大切です。
むずむず脚症候群には、脳内伝達物質の機能を助ける「鉄」が有効とされています。
食事の改善が難しいときは、サプリメントで鉄分補給するのもおすすめです。
おすすめの食べ物
|
鳥レバー、豚レバー、赤身の肉、ひじき、納豆、ほうれん草など
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おすすめの飲み物
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プルーンジュース、オレンジジュース
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効く「市販薬」はある?
むずむず足症候群で眠れないときは、
といった眠りを促す市販薬を使用できます。
むずむず脚症候群そのものの改善はできませんが、服用することで健やかな眠りをサポートできます。
ロキソニンで症状が軽くなると聞いたけど…
「ロキソニンがむずむず脚症候群に効果がある」という発表はされていません。
そのため、服用しても症状が改善しない可能性が高いです。
効く「処方薬」はある?
パーキンソン病の治療薬が比較的よく効くとされています。
また、人によっては、けいれん発作を抑える「抗けいれん薬」が効果的な場合もあります。
鉄分が不足している方には、鉄剤が処方されることもあります。
病院を受診する目安
- 症状が続いて睡眠不足になっている
- 5日以上同じような症状が現れている
といった場合は、医療機関での相談をおすすめします。
むずむず足症候群で生活の質が低下してしまう人もいます。
「眠っているときや夜間に、脚がむずむずして動かさずにはいられない」というときは、早めに治療を受けるようにしましょう。
病院での治療
などを使用した薬物治療が行われます。
また、多くの場合、生活指導が併せて行われます。
受診するのは何科?
むずむず足症候群は、脳神経内科で相談できます。
お医者さんに伝えること
- 何時頃から症状があるか
- どのような感覚を脚に感じるのか
- 1日のうち何時頃感じやすいか
などをまとめておくと診察がスムーズになります。
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2022-11-28
足に湿疹ができたけど、これってストレスのせい?
「足に湿疹が出る」ときに、ストレスが要因になることはあるのか、お医者さんに聞いてみました。
湿疹を予防するセルフケアも紹介するので、皮膚のかゆみや湿疹を治したい人は必読です。
足の湿疹の原因は「ストレス」?
足に湿疹ができてしまいました…。
ストレスで湿疹が出ることがあると聞きましたが本当でしょうか?
はい、ストレスによって、足に湿疹が出ることがあります。
ストレスがたまると肌のバリア機能や免疫機能が低下し、外部からの刺激に弱くなるため、身体に湿疹が出やすくなります。
特に、皮脂の分泌が少ない足のすねや太ももなどは、乾燥によって肌のバリア機能が低下し、湿疹が出やすいと考えられます。
ストッキングなどの繊維が刺激となり、足に湿疹があらわれるケースもあります。
また、大量に汗をかくと、汗かぶれが生じて足に湿疹が出る可能性もあります。
ストレスの影響で湿疹ができやすい人
アレルギーを持っている
汗をよくかく
よく眠れていない
疲れやすい
最近生活の環境が変化した
感情の変化が激しい
不安を抱えることが多い
緊張しやすい
仕事がうまくいっていない
人間関係の悩みが多い
上記に当てはまる人は、ストレスの影響による湿疹が出やすいと考えられます。
ストレス性の湿疹は自然に治る?
一時的なストレスが原因であれば、湿疹は自然治癒します。
ただし、常にストレスがかかっている場合は、症状が悪化して湿疹が他の部位にまで広がるおそれがあります。
また、ストレスは湿疹以外にも、不眠・疲労感・うつ・集中力の低下などを招くため、日常生活に支障をきたすでしょう。
大切なのはセルフケアを継続的に行い、ストレスをためない生活を送ることです。
湿疹を早く治すためには、まずしっかりと保湿しよう
肌が乾燥しないように、こまめに保湿クリームを塗りましょう。
特に、入浴後に体を拭いたら、できるだけ早めに保湿してください。
保湿ケアは肌のバリア機能をサポートし、湿疹の悪化を防ぐことができます。
湿疹を予防!ストレスを解消する4つのポイント
悩みや不安を誰かに相談する
1日20分程度の有酸素運動をする
1日7時間程度の睡眠をとる
趣味の時間を作る
保湿ケアだけでは根本的な解決にはならないので、ストレスを解消するセルフケアも同時に行いましょう。
① 悩みや不安を誰かに相談する
ストレスがたまっていると感じたら、悩みや不安を信頼できる人に相談しましょう。
話すだけでも、ストレスが緩和される場合があります。
相談相手は家族や友人がいいですが、身近に相手がいなければ、カウンセラーに相談するのもおすすめです。
② 1日20分程度の有酸素運動をする
ウォーキング・ランニング・サイクリングなどの有酸素運動を、1日20分程度行いましょう。
軽く汗をかく程度で構いません。
運動をして体を動かすと、ストレス解消につながります。
日光を浴びると精神を安定させる「セロトニン」というホルモンが分泌されるので、日中に運動するとよいでしょう。
③ 1日7時間程度の睡眠をとる
1日7時間は睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送りましょう。
休みの日もなるべく同じ時間に起床・就寝してください。
睡眠不足は生活リズムの乱れを招きます。
「寝る前のカフェイン摂取」や「スマホいじり」は、睡眠の質を下げる原因になるので注意しましょう。
④ 趣味の時間を作る
趣味に没頭することは、ストレス解消に効果的です。
映画鑑賞・音楽鑑賞・スポーツなど、趣味に打ち込む時間を作りましょう。
趣味が見つからない人は、興味のあるものにチャレンジしてみるといいかもしれません。
セルフケアでよくならないときは病院へ
セルフケアで改善できない場合は、皮膚科で治療を受けましょう。
ストレス性湿疹の治療は、皮膚の炎症やかゆみを防ぐ薬を処方する薬物療法が一般的です。
また、紫外線を照射する光線療法が行われるケースもあります。
アトピー性皮膚炎の可能性も
足の湿疹は、アトピー性皮膚炎が原因となっている可能性もあります。
アトピー性皮膚炎の場合、身体の免疫機能も低下するので、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの病気につながるおそれがあります。
また、放置すると、さらに症状が悪化し続けます。
アトピー性皮膚炎が疑われる場合には、早急に皮膚科で治療を受けましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
ストレスで湿疹が出る…特徴や症状や治療法を解説!
ストレスによる症状とは?ストレスによって生じる仕組みや段階を紹介
大人も悩むストレス性皮膚炎。原因と対処法
ストレスと向き合う!ストレスの原因や対処法などを徹底解説!
ストレス発散できない人は必見!おすすめの解消方法など詳しく解説
セロトニン(せろとにん)
発疹がでる(古河いけがき皮膚科)
最適な睡眠時間って何時間?
「アトピー性皮膚炎」の症状・部位別症状を解説
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎について
この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。
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2021-02-26
チクチクする体のかゆみを、どうにかしたい…。病院に行ったほうがいいの?
体のかゆみの原因と対処法について、お医者さんに聞きました。
ご自身の症状のあらわれ方を、チェックしてみましょう。
体がチクチクかゆい…これはなぜ?
皮膚表面にあるバリア機能が低下し、皮膚に刺激が入りやすくなったため、体にチクチクとしたかゆみが生じています。
体がチクチクする4つの原因
体がチクチクかゆくなるのは
乾燥
蕁麻疹
虫刺され(ダニやノミ)
肝臓病
の可能性があります。
それぞれ詳しく解説します。
原因① 乾燥
皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚内部の水分が失われやすくなり皮膚の乾燥が起こります。
この場合、湿疹などは現れず、かゆみが生じます。
皮膚表面の細胞がめくりあがり、カサカサして白っぽい見た目になります。
皮膚が乾燥しやすいのはどんな人?
日頃からエアコンに長時間あたっている人
食生活のバランスが乱れている人(水分・油分不足の食生活)
運動不足の人
新陳代謝が悪い人
アトピー性皮膚炎を発症している人 など
自分でできる対処法
皮膚をかいたり、叩いたり、さすったりするのは控えてください。こまめに保湿剤を塗りましょう。十分な睡眠とバランスの良い食事も大切です。
原因② 蕁麻疹
何らかの原因で、かゆみの原因物質であるヒスタミンが過剰に分泌され、皮膚に発疹が起こる病気です。ストレスが原因となって、かゆみが悪化することもあります。
小さな膨らみ(膨疹)が複数できます。膨らみがひっつきあって、大きな腫れに見えます。
かゆみに加え、チクチクした刺激が生じます。
蕁麻疹になりやすいのはどんな人?
アレルギー体質の人
ストレスの多い生活を送っている人 など
原因③ 虫刺され(ダニやノミ)
ダニやノミなどに刺され、アレルギー性の軽い反応を起こす皮膚病です。
刺された部位に、小さな赤い斑点があらわれます。かゆみやチクチクした刺激を感じます。
アレルギー体質の人は、症状が強く出やすい傾向にあります。
虫に刺されやすいのはどんな人?
イヌ・ネコなどペットを飼っている人
最近、森や林などに行った人 など
原因④ 肝臓病
肝臓に不調が起こると、胆汁が通常通りに排出されなくなり、血液に入ってしまいます。この現象によって全身にかゆみが生じます。
発疹などがなく、見た目に変化はありません。
皮膚をかいても、かゆみが止まらないのが特徴です。かゆみ止めや鎮痛剤を使っても、症状が治まらない場合も多くあります。
肝臓病になりやすいのはどんな人?
お酒を大量に飲む人
生活習慣病の人(肥満、糖尿病など)
ウイルス感染 など
かゆみがつらいときは皮膚科へ!
かゆみが強く、日常生活に支障をきたす(かゆくて眠れない、仕事に集中できない、症状が悪化する等)場合には病院に相談してください。
受診するのは何科?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
病院に行くことで、かゆみの原因を調べられます。
※肝臓病が疑われる場合は、消化器内科を受診してください。早期受診によって悪化を防げる可能性が高まります。
皮膚科を探す
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▼参考
大日本住友製薬 慢性肝疾患におけるかゆみ