爪が化膿して肉芽もできている…。
巻き爪のせいだと思うけど、どうすればいいの?
「化膿して肉芽ができている巻き爪」は、陥入爪(かんにゅうそう)を併発している状態だと考えられます。
自分で治すことは可能なのか、病院の治療法など、チェックしてみましょう。
監修者
経歴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
を経て
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
巻き爪が化膿して肉芽に…「自分で治せる?」
巻き爪に肉芽を伴っている場合、自分で治すことはできません。
肉芽ができてしまうのは、爪の先端が周囲の皮膚に食い込み、炎症を起こしているからです。この状態を「陥入爪(かんにゅうそう)」と呼びます。
陥入爪は、医療的な処置をしないと改善しません。
放っておくと、肉芽にさらに爪が食い込んで、ますます腫れが悪化するという悪循環になるので、早めの受診をおすすめします。
陥入爪が足にできている場合は、痛みで歩行が困難になることもあります。
病院は何科?
巻き爪の症状は、「皮膚科」での相談をおすすめします。
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病院では、どんな治療をするの?
巻き爪に肉芽を伴っている場合、
といった方法で治療が行われます。
治療法① 爪の処置
爪の除去(保険適用)
まず爪が食い込んだ部分を除去します。
その後、爪を作る部分である「爪母」に薬品(※)を塗り、食い込んだ部分に再び爪が生えないようにします。
(※)「フェノール」「NaOH」といった組織腐食作用を持つ薬品を使用することが多いです。
巻き爪の矯正(自由診療)
ワイヤーを用いて爪の形を平たく矯正する方法です。
「爪を切らなくてよい」ので、痛みが少ないというメリットがありますが、自由診療となります。
副作用として、ワイヤーで強制する際、爪の先が剥がれたり、爪が割れたりする可能性があります。
治療法② 飲み薬・塗り薬の処方(保険適用)
化膿している箇所が細菌感染を起こしている場合は、「抗菌薬」(飲み薬・塗り薬)を使用することがあります。
また、肉芽を縮小させるために、「ステロイド外用薬」を使用するケースもあります。
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「巻き爪」を繰り返さないためには、どうすればいい?
爪が皮膚に食い込んでしまう状態を繰り返さないために、
といったことを心がけましょう。
対策① 爪を切りすぎない
「正しい爪の切り方」のポイント
- 指の先端と同じくらいのところで爪を切る(爪の白い部分は少し残す)
- 足の爪は「角を少し丸めた四角い形」にする(スクエアカット)
- 爪の脇を深く切らないようにする(※)
(※)爪の脇を切りすぎると爪自体を支える部位が少なくなり、変形して脆くなることがあります。
巻き爪は爪の切り方が原因となることがあるため、上記のような「正しい切り方」を意識しましょう。
爪切りは、入浴後の爪が柔らかくなっているタイミングで行うことをおすすめします。
対策➁ 足に合わない靴を履かない
合わない靴によって、足の指先が必要以上に圧迫され続けてしまうと、巻き爪を起こしやすくなります。
特に、
- 「革靴」(硬いタイプ)
- ハイヒール(つま先の先端が細いタイプ)
- 大きすぎる靴
などは、避けたほうがよいです。
足の指を清潔に保とう
爪周辺の炎症は、不潔にしていると悪化しやすいため、清潔に保つことが大切です。
特にお風呂・シャワーのときは、丁寧に洗うよう心がけましょう。
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2020-01-14
巻き爪の治療法について医師に伺いました。
「自然治癒する?」
「病院は何科を受診すればいいの?」
巻き爪の治療費なども詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
何科にいけばいい?
巻き爪の治療は、皮膚科・形成外科・整形外科で受けられます。
「皮膚科」は塗り薬を使った治療が多く行われるため、皮膚の炎症が気になる人におすすめです。
「形成外科」は手術による治療がメインであるため、爪の食い込みがひどい人におすすめです。
また、「整形外科」は歩き方や合わない靴など、巻き爪の原因を相談したい人におすすめです。
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巻き爪の「受診目安」
指がズキズキ痛む
化膿している
歩くと痛む、靴を履くと痛むなど、生活に支障がある
といった場合は、医療機関を受診して治療を受けましょう。
ズキズキ痛んだり、化膿したりしている場合、感染症によって炎症を起こしている可能性もあります。
放置すると治りが遅くなるケースもあるため、早めの受診を心がけてください。</p
Q. 自然治癒することはある?
A. 痛みが少ないのであれば、自然に解消するケースもあります。
症状が軽い人は、履いている靴に問題がないか見直し、様子を見てみましょう。
爪の切りすぎにも要注意です。
病院では、どんな治療ををするの?
巻き爪の治療法には、
手術療法
保存療法
があります。
※保存療法とは、爪の切除を避けた治療方法です。
一般的には、まず保存療法で様子を見て、改善が見られなかった場合に手術を行うことが多いです。
治療は、保険適用になる?
保険が適用するのは、塗り薬の処方と爪を切除する施術(手術療法)のみです。
爪の切除を避けた施術(保存療法)は、保険適用外になります。
VHO式矯正法(保存療法)
1本の指につき、10,000円程度が目安です。(保険適用外)
弾性ワイヤー法(保存療法)
医療機関によって異なりますが、目安として5,000円~15,000円くらいと幅があります。(保険適用外)
プレート法(保存治療)
一本の指につき、5,000〜10,000円が目安です(保険適用外)。
手術療法(フェノール法)
3割負担の場合で、1本の指につき8,500円程度が目安です。(保険適用)
上記は目安の費用なので、実際に治療を受ける医療機関で確認してください。
① 手術療法(保険適用)
手術療法には、主にフェノール法(炎症の原因となる爪の一部分を切除する治療法)が行われます。
フェノール法
保存療法で治らない難治性のものや変形が大きい巻き爪に行われる治療方法です。
手術は、5~10分程度で終了します。
局所麻酔の時に多少の痛みがあるケースもありますが、手術中の痛みはほぼないことが多いです。
症状にもよりますが、手術後数日間は痛みが続くケースがあります。
<施術方法>
指の付け根に麻酔をして、巻いている爪の先端から根元まで切除します。
切除した部分からまた爪が生えてこないように、爪母細胞をフェノール(※)で焼きます。
※フェノール…無色または白色の有機化合物で、防腐・消毒に使う薬剤です。強力な組織変性作用があります。
② 保存療法(保険適用外)
巻き爪の保存療法では、爪の形をもとに戻す方法や、爪の形を平らにする「クリップ法」などが行われます。
他にも代表的な治療法として、「ワイヤー矯正」や「プレート矯正」などがあります。
VHO式矯正法
VHO式矯正法は、軽症から重症まで幅広く対応できる治療法です。
痛みや出血がないケースが多く、15分程度の処置で済むため、仕事帰りに受けることも可能です。
症状によりますが、通常2~3か月に1度の通院で治療ができます。
<施術方法>
専用ワイヤーを爪の形に合わせてカットして曲げます。
爪の両サイドに引っ掛けて、専用フックで巻き上げて固定します。
余分なワイヤーを切った後に、人工爪でワイヤー突出部を覆います。
弾性ワイヤー法
痛みがなく、比較的装着も簡単な治療法です。
つけた日から稼働が可能です。
ただし、ある程度爪が伸びていないと装着できない、という特徴があります。
弾性ワイヤー法の場合、通常1~2か月に1度の通院が必要で、改善するまでには、半年〜1年ほどの期間がかかります。
<施術方法>
曲がった爪の2ヶ所に穴を開けます。
曲げても直線状に戻る特殊合金製のワイヤーを通し、矯正します。
プレート法
軽度な巻き爪にたいしてプレート法を行います。
痛みがほとんどなく矯正ができることが特徴です。
症状にもよりますが、1ヶ月に1〜2回ほどの通院が必要で、改善するまでには3~5ヶ月ほどかかります。
<施術方法>
爪に医療用接着剤を塗布し、爪に形状記憶合金製のプレートを直接貼り付けます。
早く治すために「日常生活で気をつけること」
巻き爪を早く治せるよう、
靴を見直す
歩き方を見直す
インソールを使う
爪を切りすぎない
といった点を心がけましょう。
① 靴を見直す
締め付けのない靴を履くようにしましょう。
足に合っていない靴で爪の周囲が圧迫され続けると、成長しようとする爪が自由(正常)に伸びることができません。
皮膚に食い込んで成長してしまい、巻き爪を引き起こしてしまいます。
② 歩き方を見直す
足に負担がかかりにくい「正しい歩き方」を心がけましょう。
<正しい歩き方>
正面を向き、まっすぐ足を出す。
かかとから着地し、重心を足裏全体にかけるようにする。
上半身が前に出たら小指に重心をのせるようにして、反対側の足が地面に着くときは親指側に重心をのせるようにする。
③ インソールを使う
インソールは、足のアーチの崩れ予防や足裏のアーチをサポートしてくれる重要なアイテムです。
巻き爪用のインソールを選ぶのが良いですが、圧迫を感じる場合は医療機関での作成をおすすめします。
④ 爪を切りすぎない
爪を切りすぎて深爪しないようにしましょう。
爪の長さの目安は、指先と同じくらいか、1mm程度長くするのが理想です。
爪の先は平らになるように切り、爪の角は切りすぎないでください。
ネイルケアをしてもらう方は「スクエアネイル」と指示すると分かりやすいです。
痛い!自分でできる「応急的な対処法」
巻き爪が痛いときには、
テーピング
コットンパッキング
などの応急処置が行えます
応急処置① テーピング
テーピングによりで爪と皮膚の間に隙間を作り、爪が食い込まないようにする方法です。
<テーピング方法>
粘着性伸縮テープを爪が食い込んでいる皮膚に貼る。
テープをらせん状にねじりながら(直線状に巻くと皮膚の血流を妨げるケースがあるため)引っ張り、足の指にテープを貼る。
爪の際にテープを貼り、皮膚を引っ張るようにすることがポイントです。
応急処置② コットンパッキングをする
皮膚に食い込んでいる爪の角に綿を詰める方法です。
手軽にできますが、詰める際に痛みを伴うケースが多いようです。
巻き爪を防ぐ方法
巻き爪を防ぐには
深爪しないようにする
先端の細いパンプスを履かないようにする
歩き方を改善する
といったことが大切です。
巻き爪は、指に力がかからない状態が続いたり、爪に過度の負担がかかったりすることも原因となります。
上記の点に気を付け、巻き爪を未然に防ぎましょう。
「巻き爪が痛い」ときは早めに病院へ
巻き爪によって皮膚を傷つけ、そこが炎症や化膿などを起こすと、歩行困難になることさえあります。
そうならないためにも早めに医療機関を受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
NHK健康ch
公益社団法人日本皮膚科学会
一般社団法人小郡三井医師会
徳島県医師会
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。