肥満のせいで息苦しい|改善する方法は?肥満と呼吸の関係をわかりやすく解説!

更新日:2023-02-15 | 公開日:2022-01-27
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肥満のせいで息苦しい|改善する方法は?肥満と呼吸の関係をわかりやすく解説!

「息苦しい…」
「これって太りすぎが原因?」

肥満を呼吸の関係を、お医者さんに聞いてみました。

自分でできる息の整え方や、肥満で起こる動悸などの症状例も解説します。
肥満による息苦しさは命に関わることもあるため、放置はキケンです。

監修者
岡村 信良 先生

平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医

岡村 信良先生

経歴

平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック

“太りすぎ”による呼吸器の症状例

  • 呼吸が浅く速くなる
  • 軽い運動時に息切れを感じる
  • 激しい運動時に咳が出る
  • 息をうまく吸えない感じがする

など

また、肥満は交感神経を優位させるため、「不安」「動悸」を感じる場合もあります。

医学的に”肥満”といわれるラインはどこから?

医師男性
肥満度を示す「BMI」が25を超えると、男女ともに肥満と判断されます。

特に「BMI」40の高度肥満+合併症が認められる場合には、「重症肥満」と診断され、病気として扱われるようになります。

BMIの計算方法

 

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)でBMIが算出できます。

 

▼肥満に値する体重の例

身長160センチの場合…64㎏以上で肥満

身長170センチの場合…72.2㎏以上で肥満

肥満の影響で「息苦しくなるしくみ」

医師男性

肥満の影響で息苦しくなるのは、

  1. 肺に負担がかかる
  2. 心臓が栄養不足になる

などが関係していると考えられます。

肥満による息苦しさは、心臓病の発症リスクを高くさせる「要注意な症状」です。

どんな影響で息苦しくなるのか、それぞれ詳しく解説していきます。

① 肺に負担がかかる

医師男性
肥満が進むと、脂肪で肺が圧迫されて負担がかかります。
肺のふくらみやすさや肺容量が低下するため、浅く速い呼吸になります。

呼吸が浅く速くなると、十分な酸素を取り込めずに息苦しくなってしまいます。

また、脂肪の圧迫によって肺容量が低下すると、空気が気道を通りにくくなります。
すると、息切れ喘息のような症状を助長するようになり、息苦しさにつながります。

② 心臓が栄養不足になる

医師男性
肥満の状態だと、呼吸が浅くなったり、ホルモンバランスが崩れて代謝が低下したりします。
同時に体の「栄養を取り込む能力」も低下するため、心臓が栄養不足になってしまいます。

栄養が不足した心臓は、「心拍数を増やす」ことで栄養補給を補おうとします。
心拍数が増えると、息苦しさを感じるようになります。

「将来の病気」のリスクにもつながる…!

 

心拍数を増やす「過度な心臓の働き」は、将来の「動脈硬化」「狭心症」などの発症リスクも高める恐れがあります。

息苦しくなったら「まず呼吸を整える意識を」

  1. 口をすぼめて、ストローを通すように息を吐く
  2. 吐けたら、鼻からゆっくり酸素を取り込む(鼻呼吸がカギ)
  3. 吸いきったら、①②を2~3回繰り返す

①~③を行い、呼吸が落ち着いてきたら、

  • 息を吸うときに「お腹を膨らませる」
  • 吸いきったら、3~4秒息を止めてから吐く

などを意識しましょう。

上記を行うときは、テーブルに肘をついたり、膝に手をついたりして、軽く前傾すると少し楽になります。

このまま放置すると…どうなる?

医師男性

肥満による息苦しさを放置すると、

  • 慢性心不全
  • 狭心症

などの心臓病の発症リスクを高める恐れがあります。

心臓病は命に関わるので、発症を防ぐことが大切です。
肥満に心当たりがある人は、早めに減量に取り組むことをおすすめします。

今、あなたができる5つの対策

医師男性

肥満が気になり、息苦しい人は

  1. 体型の認識
  2. 食習慣の改善
  3. 活動量を多くする
  4. 質のよい睡眠を摂る
  5. 禁煙

を行いましょう。

まずは、取り組みやすいことから始めてみましょう。

1. 体型を認識しよう

医師男性
体重を測って数値化すると、今の体型を認識しやすくなります。
肥満の解消を進めるため、理想のイメージを具体的にしましょう。

「体重測定」のコツ

 

体重測定は、できるだけ同じ条件下で行うようにしましょう。

例えば、

  • 起床後
  • トイレを済ませる前
  • 食事を摂る前

などの条件を意識して測ることで「測定条件のブレのない推移」を見ることが出来ます。

2. 食習慣を改善しよう

医師男性
「まだ食べられるけど、お腹は空いていない」程度の、腹八分目を目安に食事を行いましょう。

「満腹まで食べる」「早食い」「間食が多い」「肉ばかり食べる」などの食生活はNGです。

「食事改善」のコツ

  • まだ食べられるときでも、我慢する
  • 1日3食、食事の時間を決めて摂る
  • 1口30回を目安によく噛んで食べる
  • 野菜や海藻から食べる(1日350gが目安)
  • バランスよく食べる

3. 活動量を多くしよう

医師男性
普段の生活+10分(1,000歩・1㎞相当)の活動量を増やしましょう。

運動を急に始めると、怪我のリスクがあるため、少しずつ軽く身体を動かす意識をしましょう。

「活動量を増やす」コツ

  • できるだけ階段を選ぶ
  • 1駅分歩く

など

4. 質のよい睡眠を摂ろう

医師男性
肥満で息苦しいと感じる場合は、気道を塞ぎにくい「横向き」で寝ましょう。

仰向けで寝ると、脂肪で気道が圧迫されやすく、睡眠中の呼吸を阻害してしまうことがあります。

「横向きで寝る」コツ

 

横向きになったときに、上側になる足を少し曲げてみましょう。寝姿勢が安定します。

5. 禁煙をしよう

医師男性
息苦しいと感じている人は、禁煙をしましょう。

タバコには有害物質が多く、肺胞に付着し、肺でのガス交換がうまくできず、さらに息苦しくさせてしまいます。リスクを減らすためにも禁煙を行いましょう。

「禁煙する」コツ

  • 禁煙外来で受診する
  • 時期を決めて取り組む

などがおすすめです。

 

(タバコの量を減らす、吸う㎎を小さくするのは、ニコチン依存が高まり逆効果になる恐れがあるため、おすすめできません)

日常に支障がでているときは、早めに病院に相談を

  • 息苦しさで日常生活に支障がでている
  • 日中の眠気がひどく仕事にならない
  • 家族に「いびき」「睡眠時の無呼吸」を指摘される
  • 睡眠中、息苦しさで目が覚める

上記に当てはまる人は、早めに病院で受診しましょう。
肥満による息苦しさは心臓の負担となるので、放置は禁物です。

また、肥満による「睡眠時の無呼吸」は、約9年の放置で4割の方が亡くなるというデータがあり、突然死のリスクも高まりやすくなります。

何科に受診すればいい?

医師男性
肥満で息苦しさを感じている人は、「内科」で受診しましょう。

「太りすぎくらいで病院に行っていいのか…」と受診を迷っている方へ

 

内臓脂肪の蓄積による肥満は、

  • 生活習慣病(ガン、心臓病、糖尿病 など)
  • 脳血管疾患

など、“命に関わる病気”の発症リスクにつながります。

 

その過程の大半は「無症状」であることがほとんどです。

よって、肥満の人は早めに病院で受診して対処することが何よりも大切になります。

お医者さんには、なんて伝える?

医師男性

受診時には、

  • 息苦しさがいつから続いているのか
  • 日常で困っていることは何か
  • 他に何か症状があるか

などを医師に詳しく伝えましょう。

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