「おりものに少し血が混じる…。」
「病院に行った方がいい…?」
おりものに血が混じる原因をお医者さんに聞きました。
出血を放置するリスクや、病院へ行ったほうがいいケースについても解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
おりものに混ざる血…大丈夫?
生理直後は、経血が残っており、おりものに血が混じることもあります。この場合は、あまり心配する必要はありません。
下着やおりものシートはこまめに替えて、清潔に保ちましょう。
どれくらい血がでたら、病院に行くべき?
生理直後でもないのに、おりものに血が混じっていたり、出血があったりするならば、少量であっても病院を受診しましょう。何か病気が隠れている可能性があります。
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2022-08-26
おりものの量や色がいつもと違う…。
これってホルモンバランスの乱れのせい?
ホルモンバランスの乱れと「おりもの」の変化の関係について、お医者さんに聞きました。
おりものに血が混じっている場合に考えられる原因や、病院に行く目安も解説します。
ホルモンバランスの乱れで「おりもの」が変わる?
最近、おりものがいつもと違うような…。ホルモンバランスの乱れで変わることがあると聞きましたが、本当でしょうか。
はい、本当です。
ホルモンバランスが乱れてホルモンの分泌に変化があれば、おりものの状態も変わることがあります。
女性ホルモンには、主に「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つがあります。
このうち、おりものと密接な関係にあるのがエストロゲンです。
月経周期や加齢によってエストロゲンの分泌量が変化すると、それに応じて、おりものの量が増えたり減ったりします。
ホルモンバランスが乱れて、エストロゲンの分泌量が普段に比べて変化した場合は、おりものの量や見た目が「変わった」と感じることもあるでしょう。
「ホルモンバランスの乱れ」ってどんな状態?
女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」は、月経周期に合わせて変化しつつ、お互いにバランスを取り合っています。
一般的に、この分泌バランスが崩れている状態のことを指して、「ホルモンバランスが乱れている」と言います。
ホルモンバランスが乱れると、おりものの量が変化したり、自律神経が乱れたりして、様々な不調が生じます。
おりものの量を変化させる3つの要因
おりものを変化させる要因としては、
生理周期
年齢
閉経
の3つが挙げられます。
女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の分泌量に合わせて、おりものの量は変化します。
エストロゲンの分泌量は、生理周期や年齢によって変わるため、おりものもそれに応じて変わってきます。
また、閉経するとエストロゲンが分泌されなくなるため、おりものが減ったり、なくなったりします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 生理周期による変化
生理は、「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの期間に分けられます。
このうち、卵胞期・排卵期・黄体期の終わり頃(生理前)は、エストロゲンの分泌が増えるため、おりものが多くなります。
特に卵胞期・排卵期は、精子を迎え入れて受精しやすくするために、おりものが増えます。
② 年齢による変化(20~30代頃に多くなる)
女性は、妊娠出産ができるように成長とともに体が変化していきます。
そのため、妊娠をしやすい20〜30代頃おりものの量は多くなり、そこから徐々に減っていきます。
③ 閉経による変化(おりものが減る)
卵子の排出が終わると生理がなくなります(閉経のこと)。
この時期に合わせて、女性ホルモンも役目を終えて、おりものの排出量も減っていきます。
40〜50代(更年期~閉経後)にかけて、徐々に減っていくのが通常です。
おりものの「見た目」や「におい」の変化は?
おりものは、生理周期に応じて、
透明
水っぽい
ネバつきがある
濁っている
などの変化が見られます。
生理前はにおいがきつくなる傾向があります。
また、生理の直前直後は血が混じって茶色っぽくなることもあります。
「おりものの状態」を常に把握しておこう
おりものの量や見た目、においは個人差が大きいです。
変化に気づけるよう、普段から「おりものの状態」を把握しておきましょう。
生理周期に合わせて、ご自身のおりものがどう変化するかチェックしておくことが大切です。
そうすることで、いつもと比べて「色が変わった」「においが変わった」などの違いに気づくことができます。
「おりものに血が混ざってる…」大丈夫?
生理直前・直後は、経血がおりものに混じることもあります。
この場合は、あまり心配する必要はありません。
また、妊娠に関する出血で「着床出血」というものがあります。
こちらは受精時に起こる一時的な出血で、その後出血が止まれば、問題ありません。
下着やおりものシートをこまめに替えて、清潔に保ちましょう。
生理直前・直後以外で「おりものに血が混じっている」ときは婦人科へ!
生理とは離れた時期に、おりものに血が混じっていたり、出血があったりするならば、少量であっても病院を受診しましょう。
おりものに血が混じる場合、赤だけでなく、ピンクや茶色に見えることもあります。
この場合の出血は、
子宮内部の傷
卵巣・膣などの異常
膣ガン・子宮体ガン・子宮頸ガンなどの病気
などの原因が考えられます。
放置していると、悪化して症状が重くなったり、治療が間に合わなくなったりする可能性があります。
子宮などの異常は、妊娠の可能性を低くしてしまうこともあります。
早めに「婦人科」または「産婦人科」を受診しましょう。
婦人科を探す
産婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
子宮頸がん
おりものに血が混じるのを放置すると…
妊娠しにくくなったり、婦人科系疾患を見逃すといったリスクがあります。
痛みや不快感が続くのはもちろんですが、日常生活に支障をきたすようになったり、最悪の場合、ガンが他の臓器に転移することも考えられます。
病院に行くのが怖い!どんな検査をするの?
まずは問診を行い、その後内診で出血している場所や状況を確認します。
超音波検査で子宮や卵巣の状況の確認や血液検査、細胞診を行うこともあります。
痛みを伴う検査はありますか?
特に大きな痛みを伴う検査はありません。
しかし、内診のとき緊張して力が入っていると、痛いと感じる人もいます。力を抜いてリラックスするようにしましょう。
また、細胞診で細胞をつまんだときに痛みを感じることもありますが、個人差があります。
検査はどれくらいの時間で終わりますか?
どの検査をするのかにもよりますが、1時間以内に終わることがほとんどです。
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重い病気の可能性
検査自体や結果を知るのが怖いという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、おりものに血が混ざる症状には、重い病気が隠れている可能性もあります。
代表的な病気には
- 膣がん
- 子宮体がん
- 子宮頚がん
が考えられます。
原因1.膣がん
膣癌は、膣の内側を覆う細胞ががん化する病気です。
膣の粘膜がただれることで出血しやすくなり、おりものに血が混ざることがあります。
主な症状
- 生理以外の時期、性交中や性交後の不正出血
- 閉経後の出血
- 感染症起こしやすくなる
- 性交中や排尿時に痛み
- 尿の回数が増える
- 便秘 等
治療方法
治療方法は、手術、放射線治療、化学療法です。がんのステージや症状などによって、治療法は異なります。
原因2.子宮体がん
子宮内膜から生じるがんで、おりものに血が混じることもあります。
主な症状
- 不正出血
- 閉経後の出血
- 尿を出しづらい
- 性交中や排尿時に痛み
- お腹の張り 等
治療方法
基本的には、子宮・卵巣・卵管を取り出す手術を行います。条件を満たせば、子宮を残すことも可能です。放射線治療や薬物療法も行われます。
原因3.子宮頸がん
子宮の入り口である子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染し、異形成(※)ができて、そこから悪性腫瘍となる病気です。
異形成のころは出血はほとんどありません。
進行すると、膣がんや子宮体がんと比べて出血量が多いです。
※異形成…がんの前段階となる病変したもの
主な症状
- 細胞ががん化していない時期には症状はない
- 生理以外の時期、性交中や性交後の不正出血(出血量が多く、繰り返す)
- 膿のようなおりものが増える
- 水っぽいおりものになる
- 血便や血尿
- 下腹部や腰の痛み
治療方法
ステージに合わせて、手術療法、放射線療法、化学療法などで治療をしていきます。
早期の受診がおすすめ
おりものに血が混じる原因が重い病気であった場合、早い段階で治療を始めることが重要です。
また、病気の初期段階で治療開始する方が、治療法の選択肢も多くなります。
勇気を出して病院に行ってみてくださいね。
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2022-08-30
オレンジ色のおりものが出てる…。
これって病気?
オレンジっぽい色のおりものが出てしまう原因について、お医者さんに聞いてみました。
おりものの異常には、「子宮頸ガン」という命に関わる病気も考えられます。
症状に心当たりがないか、チェックしてみましょう。
オレンジ色のおりものが出た…原因は?
明るい赤色のおりものが出ている場合、おりものに血液が混ざっていると考えられます。
この場合、子宮の異常によって不正出血が起こっている可能性が高いです。
原因となる病気としては、
子宮膣部びらん
頸管ポリープ
子宮頸ガン
などが挙げられます。
いずれも「性行為による刺激」がキッカケとなって、不正出血を起こすことが多いです。
オレンジ色で「水っぽい・ゼリー状の塊」は大丈夫?
おりものの色に加えて質感に異常がある場合は、特に注意が必要です。
特に、
生理直後ではないのに「水っぽい」
排卵日でないのに「ゼリー状」になっている
といった場合は病気が疑われるため、早めに婦人科で相談したほうがよいでしょう。
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良性の病気であれば、心配いらないケースも
「子宮膣部びらん」や「頸管ポリープ」などは良性の病気なので、心配いらないケースもよくあります。
子宮膣部びらんは、ほとんどの場合が無症状で、治療の必要はありません。
ただし、「おりものが増える」「不正出血を繰り返す」場合は、膣洗浄や抗生物質による治療が必要です。
子宮頸管ポリープは、良性の腫瘍であることが多いです。良性の場合は健康への悪影響はありません。
出血や分泌物がある場合には切除します。
よくある病気「子宮膣部びらん」
子宮膣部びらんは、性成熟期の女性によく見られる病気です。
子宮から膣につき出ている「びらんの部分」が刺激に弱いため、性行為により炎症や不正出血を起こしやすくなっています。
不正出血は「子宮頸ガン」の可能性もある
子宮頸ガンによる不正出血で、“明るい赤色のおりもの”が出ている可能性もあります。
子宮頸ガンは命に関わる病気なので、早期発見が重要になります。
子宮頸ガンの症状リスト
性交痛がある
性交時に出血する
おりものに血や膿が混ざっている
粘度の濃いおりものが出る
水のようなおりものが出る
下腹部痛・腰痛
尿や便に血液が混じる
子宮頸ガンは、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
進行すると、性交時の出血・おりものの異常などが見られるようになります。
さらに悪化すると、「下腹部や腰が痛くなる」「血尿や血便が出る」などの症状が出る場合があります。
こんな人は要注意!
喫煙習慣がある
初めての性交時の年齢が低い
複数のセックスパートナーがいる
子宮頸ガンのワクチンを受けていない
上記に当てはまる人は、「子宮頸ガン」や「子宮体ガン」の発症リスクが高いので、要注意です。
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オレンジ色(明るい赤色)のおりものが出る場合は、婦人科へ
おりものの色に異常があるときは、何らかの病気による不正出血が疑われます。
子宮頸ガンなど、重い病気が隠れているケースもあるため、早めに婦人科を受診して診てもらいましょう。
出血の原因を突き止めやすくなるため、基本的には「出血しているときの受診」をおすすめします。
婦人科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 子宮頸がん
MSDマニュアル家庭版 子宮頸管ポリープ
兵庫県医師会 子宮膣部びらんと言われた