「太りやすい体質…これって言い訳?」
「どうすれば痩せられる?」
“太りやすい体質”は存在するのか、栄養士さんに聞いてみました。
おすすめのダイエット方法や体質をチェックする方法なども解説します。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
“太りやすい体質”は言い訳?
太りやすい体質は「言い訳」と言われてしまいショックです…体質によって太りやすいということはないのでしょうか?
太りやすい体質というのはあります。言い訳ではありません。
太りやすい体質の人は、「肥満遺伝子」を持っていると考えられ、この遺伝子を変えるのは難しいです。
太りやすくなる「肥満遺伝子」とは、基礎代謝や糖質・脂質代謝を低下させたり、筋肉をつきにくくしたり、食欲を増進させたりする遺伝子です。
この遺伝子を持って生まれた人は、通常の人に比べて太りやすくなります。
“生まれつき太りやすい体質”の特徴
- 筋肉がつきにくい
- すぐにお腹が空きやすい
- 過食しやすい
- カロリーが高い食品を好む傾向がある
- 脂質の多い食事を選ぶ傾向がある
- 基礎代謝量が他の人よりも低い
- 脂質や糖質の代謝が低い
太りやすい体質かチェックする方法
遺伝子検査を受けることで、太りやすい体質かどうかチェックできます。
内科(とくに肥満外来)に行き、予約時には遺伝子検査を受けたい旨を伝えるとよいでしょう。
検査では、血液や口内粘膜を使って調べます。
「市販の検査キット」もある!
口内粘膜で調べる場合、市販の「遺伝子検査キット」を使用しても行えます。
手順としては、
- 飲食後30分以上経ってから、水で2〜3回うがいする
- 付属の専用綿棒で左右のほほの内側の口腔粘膜を各10回程度こすりとる
- それを返送する
といった流れになります。
太りやすい人は「痩せられないの?」
太りやすい人でも、「バランスのよい食事」と「適度な運動」を継続的に実践すれば、痩せることはできます。
一般的に、肥満に遺伝子が関わっているのは25%と言われています。残りの75% は環境因子です。
つまり、肥満になるか否かは、食事や生活習慣、運動などの影響の方がずっと大きいのです。
太りやすい人に“おすすめのダイエット”(運動編)
体重を落とすためには、有酸素運動でエネルギーを消費することが大切です。
など、継続しやすい運動を行いましょう。
一つの運動を長時間継続できると脂肪の燃焼に効果的です。
なお、無理な運動は継続しづらいうえ、体に悪影響となってしまいます。
運動をする際は、ご自身がやりやすいものを選びましょう。
太りやすい人に“おすすめのダイエット”(食事編)
- 1日3食バランスの良い食事をとる
- 副菜→主菜→主食の順で食べる
- 減塩を心がける
といった点を心がけると、太りやすい体質の人でも減量が期待できます。
痩せるための工夫① 1日3食、バランスの良い食事をとる
3食バランスの良い食事をとると代謝が良くなるため、痩せやすい体作りにつながります。
3回の食事では、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- たんぱく質を毎食摂る
- 副菜・主菜・主食を揃える
- 腹八分目に抑える
たんぱく質は筋肉を作り、基礎代謝のアップに効果的です。
たんぱく質を多く含む食べもの
赤身肉、鶏むね肉、ささみ肉、マグロの赤身、卵、大豆 など
副菜・主菜・主食の食材例・量の目安
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食材例
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量の目安
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副菜
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生野菜、海藻、きのこ など
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両手たっぷり
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主菜
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肉、魚、卵、大豆 など
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片手分
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主食
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ごはん、そば、うどん など
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こぶしひとつ分以内
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1日3食きちんと食べるようにしましょう。
食事を抜くと、間食や食事量の増加などを招き、結果的に太りやすくなります。
痩せるための工夫② 副菜→主菜→主食の順で食べる
食べる順番を工夫することで、糖質や脂質、塩分の吸収を緩やかにしたり、食べ過ぎ防止にもなります。
特に、副菜で「海藻」を摂るのがおすすめです。
海藻は、糖質や脂質、塩分の吸収をゆるやかにするため、最初に食べることで、肥満・むくみの防止につながります。
また、「野菜」で空腹を満たして、主食の食べ過ぎを防ぎましょう。
野菜は血糖値が上がりにくくカロリーも低いためおすすめです。ただし味付けや調理方法によっては、高カロリーにもなります。その際の食べ過ぎは禁物です。
痩せるための工夫③ 減塩を心がける
塩分の摂り過ぎは「むくみ」の原因になります。
減塩を心がけると、余計な水分を体の中に溜め込みにくくなります。
食事を作るとき、食べるときは以下を心がけましょう。
- 味噌汁や煮物は、しっかり出汁をとる(無塩の出汁を使いましょう)
- 調味料は「減塩」のものを使う
- 水産加工品(※1)、畜産加工品(※2)、漬け物等を食べ過ぎない
- お惣菜・インスタント食品の頻度、量を減らす
- ソースや醤油はかけずに、小皿に少量出してつける
(※1)水産加工品…スモークサーモン、しらす、干物、いくらなど
(※2)畜産加工品…ベーコン、ハムなど
\「減塩で物足りない…」そんな人へ!/
香味野菜やスパイス、酸味をプラスすると、減塩による物足りなさを感じにくくなります。
ぜひ、試してみてくださいね。
合わせて読みたい
2022-08-30
湯船につかるのがダイエットにいいって本当?
どれくらい湯船につかれば痩せる?
湯船につかることとダイエットの関係について、専門家に聞いてみました。
正しい湯船のつかり方も紹介するので、痩せやすい体を手に入れたい人は必読です。
湯船につかると痩せるってホント?
湯船につかっても筋肉を動かしているわけではないので、運動のような脂肪燃焼効果は期待できません。
ただし、血流が促進されて代謝がよくなるため、痩せやすい体作りに役立つ可能性はあります。
また、ゆったりと湯船につかると、ストレス解消や疲労回復の効果が期待できます。
これにより「自律神経の安定」が促されると、食欲を抑えやすくなります。
湯船につかる習慣は「美肌効果」もある!
湯船につかって体を温めると、肌のターンオーバーが促されます。
古い角質や余分な皮脂が取り除かれるため、美しい肌を保ちやすくなります。
ダイエットをサポートするお風呂の入り方|温度・入浴時間など
入浴の際には、以下の点を守るようにすると効果が出やすいです。
▼おすすめの温度
40度がおすすめです。
冬場は、温度が低くなっていないか確認しましょう。
熱いお湯(42度以上)の入浴は避けましょう。
▼おすすめの入り方
全身浴で、しっかりと湯船につかりましょう。
半身浴では体が温まりにくいです。
▼おすすめの入浴時間
湯船には、10分〜15分程度つかるようにしましょう。
「体が気持ちよく温まるまで」が目安となります。
入浴中の「マッサージ」もおすすめ
湯船の中で「足の裏」や「ふくらはぎ」を押してみましょう。
マッサージを行うと、代謝の向上や血流改善効果が高くなりやすいです。
マッサージは「体の外側」から「体の中心部」に向かって行います。リンパに老廃物が流れるように行いましょう。
足や腹部など冷えやすい部分を中心に揉むことがおすすめです。
「長湯」は避けよう
長湯は避け、体が温まったら入浴を終了しましょう。
長くお湯につかっていると、体への負担になったり、脱水や肌の乾燥を招いたりすることがあります。
特に
心臓や循環器に不調がある人
体調が悪い人
疲労が溜まっている人
妊娠している人
は、長くお湯に入りすぎないようにしてください。
また、脱水を避けるために、入浴前と後でしっかりと水分補給を行いましょう。
効果を実感するまでの期間は?
毎日湯船につかっているのに、あまりダイエット効果を感じません…。どれくらいの期間続けるとよいでしょうか。
「基礎代謝がアップする」といった体質改善には、数週間〜1ヶ月ほどかかると考えられます。
まずは1ヶ月程度継続して、変化を確認してみましょう。
さらに効果をだすために!+α
入浴前に筋トレを行う
入浴後にストレッチを行う
毎日20分以上の有酸素運動を行う
糖質や脂質を控える
睡眠をたっぷりとる
湯船につかる習慣に加えて上記の点を心がけると、ダイエット効果がさらに高まります。
その① 入浴前に筋トレを行う
筋トレをすることで、筋肉量を増やして基礎代謝を上げる効果が期待できます。
眠る前に筋トレをすると、体が興奮して眠れなくなるので、入浴前に行いましょう。
筋肉がほぐれて質の高い眠りにつながります。
その② 入浴後にストレッチを行う
入浴後は血流がよくなり、体も柔らかくなっているため、ストレッチが効果的です。
首のストレッチ
両足・片足前屈
などを行ってみましょう。
ストレッチを行うと「代謝の促進」「血行促進による冷え性の改善」「筋トレ効果の向上」などが期待できます。
首のストレッチ
首をゆっくり前に倒して、右に3回まわす
反対も同様に3回まわす
※首が背後にまわるときは息を吸って、前に倒れるときに息を吐きましょう。
両足・片足前屈
両足前屈
床に座り、両足を揃えて前に伸ばす
両手を前に伸ばしながら、上体を前に倒す
(倒すときに息を吐いて、戻るときに息を吸う)
「2」を10回繰り返す
片足前屈
片足だけ前に伸ばし、上体を倒す(2と同じ呼吸法で)
「2」を10回繰り返す
上記を続けていくと体の動かせる範囲が広がって、運動しやすい体になります。
その③ 1日20分以上の有酸素運動を行う
脂肪燃焼には20分以上の有酸素運動が効率的です。
ウィーキング・ヨガ・ジョギングなど、簡単な運動でよいので、毎日行いましょう。
さらに、入浴で運動の疲れを癒すと、夜もぐっすり眠れるでしょう。
その④ 糖質や脂質を控える
糖質や脂質の多い食事ばかりだと、脂肪代謝が低下し、太りやすくなります。
特に夕食は、食べた後に眠るだけなので、糖質の摂取を控えましょう。
また、油分は「オリーブオイル」「亜麻仁オイル」「コメ油」など、良質な油を少量ずつ補給してください。
その⑤ 睡眠をたっぷりとる
ダイエット効果を高めるために、夜更かしや寝不足は避けましょう。
個人差はありますが、6~7時間程度の睡眠時間を確保するといいでしょう。
睡眠不足は
基礎代謝の低下
自律神経の乱れによる食欲増進
など、ダイエット効果を下げる原因になります。ダイエット中は、特に十分な睡眠を意識するようにしてください。
また、入浴は就寝時間の2~3時間前に済ませると、質の高い睡眠につながりますよ。
▼参考
e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
合わせて読みたい
2022-08-31
「サウナは痩せる」って聞いたけど、ホント?
サウナで内臓脂肪や皮下脂肪を燃焼できるのかどうか、専門家に聞いてみました。
おすすめのダイエット方法も紹介するので、効率的に痩せたい人は必読です。
サウナで「内臓脂肪」が落ちるってウソ・ホント?
健康や美容によいと思ってサウナをはじめました。サウナで「内臓脂肪が落ちる」という噂を耳にしましたが、本当でしょうか?
ウソです。
残念ながら、少しの時間サウナで体を温めるだけでは、内臓脂肪は燃焼されません。
内臓脂肪を落としたいのであれば、有酸素運動で体を動かして、エネルギーを消費する必要があります。
皮下脂肪は燃える?
皮下脂肪もサウナだけでは落とせません。
「皮下脂肪」はゆっくりと蓄積する脂肪で、内臓脂肪よりも落としにくい傾向にあります。
皮下脂肪を落とすには、筋トレがおすすめです。
筋肉を動かすことで基礎代謝が上がると、皮下脂肪は燃えやすくなります。
じゃあ…ダイエット目的のサウナは意味ないの?
全く意味がないわけではありません。
“サウナに入る→外気浴をする”という行為は、体の代謝に関わる「甲状腺ホルモン」の働きを促します。
そのため、習慣的にサウナに入っている人は、その分脂肪が燃焼されやすくなるといえます。
サウナに入るだけでは痩せませんが、運動と合わせて習慣化すると、効率的にダイエットできるでしょう。
また、サウナは余計な塩分を排出できるので、むくみ改善にも役立ちます。
ダイエットをサポートするサウナ後のケア
サウナに入った後に「マッサージ」をしよう
サウナに入った後は、
脂肪を落としたい部分
普段動かさない部分
を「マッサージソルト」などをつけながら、やさしく揉んでみましょう。
サウナに入った後は、新陳代謝がアップしていて、老廃物を排出しやすい状態です。
マッサージをすることで、むくみ解消につながります。
サウナ直後の「食事」や「飲酒」は控えよう
サウナ後の1時間程度は食事を控えましょう。
サウナに入ると、体がリラックスして栄養分を吸収しやすい状態になるため、食事で太りやすくなります。
また、サウナの後の飲酒もおすすめできません。
酔うと「塩辛いもの」や「カロリーの高いもの」に、つい手が伸びてしまうものです。
せっかく新陳代謝が上がっているのに食べすぎてしまっては意味がありません。
サウナの直後は、常温の水での水分補給にとどめておきましょう。
内臓脂肪を落とす!おすすめのダイエット法
バランスのよい食事を摂る
有酸素運動を行う
筋トレを取り入れる
内臓脂肪を落としたい人には、サウナだけでなく、上記のようなダイエット方法を取り入れてみましょう。
ダイエット法① バランスのよい食事を摂る
1日3食、毎日同じ時間に食事を摂る
糖質や脂質を摂りすぎない
野菜を多めに摂る
といった点を、普段から意識しましょう。
食事の時間がまちまちだったり、食事を抜いたりすると、血糖値が上がりやすくなり太る原因となります。
また、糖質や脂質に偏った食生活も太りやすくなります。
野菜もきちんと食べて、栄養バランスが偏らないようにしましょう。
よく噛んでゆっくり食べよう
よく噛むと満腹中枢が刺激されるため、食べすぎ防止につながります。
満腹を感じやすくなるよう、食物繊維の多い「野菜」を最初に食べるのもおすすめです。
ダイエット法② 1日20分以上の有酸素運動を行う
内臓脂肪を落とすには、毎日20分以上の有酸素運動を続けることが大切です。
ヨガ
ウォーキング
ジョギング
など、少し汗をかく程度の運動を続けましょう。
20分以上続けると、内臓脂肪が効率よく燃えてくれます。
ダイエット法③ 筋トレを取り入れる
筋トレは基礎代謝を上げるので、痩せやすく太りにくい体を作ることができます。
すぐに行える「プランク」や「スクワット」がおすすめです。
プランク
うつぶせの状態から両肘で体を支える
腰を浮かせて、頭から背中・腰・足先まで一直線になることを意識する
この姿勢を20秒間キープする
10秒間のインターバル(休憩)を入れる
①〜④を3回繰り返す
スクワット
肩幅より少し広めに足を開き、つま先は外側に向けてまっすぐ立つ
腕を胸の前でクロスして、まっすぐ前を向く
ヒップを「斜め後方に引くような感覚」でゆっくりしゃがむ
「床面と太ももが平行になる」ところまでヒップを落とし、1秒間キープする
膝が完全に伸びきらないあたりまで立ち上がる
1セット10~15回、1日3セットを目安に行う
▼参考
内臓脂肪型肥満 e-ヘルスネット